麹屋さん
昨日のぐずらさんのコメントに木下こうじ店と手作りみそのことを書いておられた。
以前、私が雑誌モンタンの取材を受けたとき、地元人の酒のあてとして紹介したのがここの「金山寺みそ」だ。
実をいうと私は木下さんのことを良く知らなかったのだが、明永寺の住職がこれがいい!といちおしだったのがこの金山寺。
保存が容易な冬の間だけしか販売していない木下さん手作りの金山寺。そのままでもいいし、季節の野菜にちょっとつけたりすると、さらに美味しさが広がる知る人ぞ知る味だ。
大豆や米の収穫が終わったこの季節、この店の前を通ると、米や大豆の入った大きな袋が所狭しと並べられているのがガラス越しに見える。これは、八女市内外の奥様方が、自家栽培の米や大豆をそれぞれの袋に入れ、この店に持ち込んだものだ。それを木下さんが味噌に仕上げるのだ。希望を言えば、塩の指定なども出来るらしい。もちろん、麹だけ作ってもらい、我が家で自家製味噌をつくる人も多い。まさに、「木下こうじ店」は八女の食卓を陰で支える貴重なお店なのだ。
我が家のかみさんもおととしから味噌作りを習い、たまに失敗しながらやっている。おかげで最近は、当店の食事部屋は味噌の入った信楽焼きの壷の置き場がないほど増えてしまった。
ところで、「麹」というと日本独自のもののようだが、これは東アジア特有のものだそうだ。(この辺の話は「酒づくりの民族誌 ・八坂書房」に詳しく書いてある)
最近は抗菌だなんだといっているが、湿気の多いこの地方では、とても古い時代から麹のようなカビの仲間とは、むしろ仲良く暮らしてきたのだ。
中国と日本では麹の形状がちょっと違う。日本では酒や醤油、味噌などをつくる場合、バラ麹といって、米や麦が粒の状態で麹をつくるが、中国の紹興酒などはモチ麹と言ってモチ状にしたものに麹菌を繁殖させ、麹をつくるのだ。また、清酒と焼酎でも使う麹菌が違う。比較的冷涼な地域で作られる清酒の場合、黄麹が使われ、南九州や沖縄を中心に造られる焼酎や泡盛では、白麹や黒麹が使われる。暑い地域に使われる麹は、雑菌を殺すためのクエン酸を多く産出する黒麹なのだ。
おそらくヒトは長い長い年月を掛け、時には才能ある人物が、その地域の気候風土に合ったものを探し出し、その生活に取り入れ、文化として育んできたのだと思う。
あ、今日はさらっと流すつもりが、ついつい長くなってしまった。
午後から少し寒くなってきた。今日は熱々の日本酒、じゃなかった風呂に入ってさっさと寝よう。
かふたらう