中国人は新聞紙と呼んだ
新聞という言葉は古来の日本語にはない。この語の初出は、元の時代に編纂された新唐書であり、風聞、つまりnewsという意味であった。清朝末期に欧米人が中国で新聞(newspaper)を発刊し、これを真似て中国人たちも新聞を発刊した。これを中国人は新聞紙と呼んだ。明治時代に英語 のnews に相当する訳語として、この中国語が取り入れられ、newsを新聞、newspaperを新聞紙と呼ぶようになった。一部の人が誤解しているように日本で作られた造語ではない。現在のようにnewspaperを「新聞」とよぶようになったのは、おそらく明治末期以降のことであろう。ただし、夏目漱石の小説の中でもnewspaperは新聞紙であり、昭和初期に書かれたものの中にも、newspaperを新聞紙と呼んでいるものがある。新聞紙条例 、新聞紙法 などの「新聞紙」はnewspaperの意味である。「日刊紙」「全国紙」「各紙」など、「新聞」の意味で「紙」という漢字を使うのもこの語法の名残であろう。
その後、「新聞紙」を「新聞」と略すようになった。それにともない「新聞紙」をnewspaperの意味で使うことは減り、紙自体を指すようになった。中華圏 では現在も「新聞」をnewsの意味で使い、newspaperは「報紙」と言う。