どうか嘆かないで。
世界があなたを許さなくても、私はあなたを許します。

どうか嘆かないで。
あなたが世界を許さなくても、私はあなたを許します。

だから教えてください。
あなたはどうしたら、私を許してくれますか?




あなたの乾きを癒せない。
真実を欲するあなたがそれを認めないから。

あなたの乾きを癒せない。
あなたの期待する真実が存在しないから。

それでもあなたの渇きを癒したい。
あなたを砂漠に放り出したのはわたしなのだから。





井の中の蛙は幸せでした。
井戸の外に何も興味がなかったから。

井の中の蛙は幸せでした。
井戸の外で何があっても関係なかったから。

そしてあなたも幸せでした。
井戸の外で何があったか知らなかったから。





砂漠にビーズを落としたと少女は泣いた。
少女は百年かけて砂漠を探す。

砂漠でなく海かもしれないと少女は泣いた。
少女は百年かけて海底を探す。

海でなくて山かもしれないと少女は泣いた。
本当に落としたのか、疑うのにあと何年?





一度目なら、今度こそはと私も思う。
避けられなかった惨劇に。

二度目なら、またもかと私は呆れる。
避けられなかった惨劇に。

三度目なら、呆れを越えて苦痛となる。
七度目を数えるとそろそろ喜劇になる。










誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその享受。

誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその履行。

私だって幸せになる権利がある。
難しいのはその妥協。




Frederica Bernkastel


なんとなくフレデリカの詩をまとめてみただけです。
暗い荒涼とした世界。

私はそこを歩くしかなかった。

何故なら私が追放者だからだ。





かつて私は美しい丘に居た。

神によって守られる世界。

そこは慈愛と慈しみに溢れる世界。

その中で私だけが異端だった。

私が育てた作物はいつも枯れた。

私が世話をした動物たちは皆衰弱し、倒れた。

私が水を汲めば井戸は枯れた。

しかし、弟は違った。

弟は誰からも愛された。

彼が触れたものは何でも生気を取り戻した。

私が枯らした井戸も彼が触れればたちまちのうちに潤った。

私はそんな弟に嫉妬心など抱かなかった。

むしろ愛してさえいた。

弟も彼を愛していた。

異端である私を弟は支えてくれていた。

だが、そんな関係はいともたやすく崩れ去った。



ある時、私たちは神に供物をささげた。

私は農作物、弟は羊の初子をささげた。

だが神は弟の供物のみを受け入れた。

瞬間私は何が何だか分からなくなり_________



気づいた時には足元には脳漿をぶちまけて転がる弟。

自身の頬に生暖かい液体が付着しているのを感じた時、

私を弟を殺したことに気付いたのだ。




そして私は丘を追放され、荒涼とした大地を彷徨っている。

私は罪人。

神の愛を受ける資格はない。

よって追放。


この大地でさえも日はわずかに照らしてくれている。

が、それも傾き、完全なる闇が訪れようとしていた。

ここからは亡霊の世界だ。

彼らはゆっくりと地面から這い上がり、私に石を投げる。


___________お前は弟を殺した。

___________おぞましい。

___________なんて愚かしい。

___________呪われてあれ。

___________追放者。

___________呪われてあれ。





「やめよ亡者ども」




そこには弟の亡霊がいた。

その顔に怨みは感じられなかった。

その姿は追放者である私よりも輝いていた。



「兄は私をあの丘から解放したのだ」

「あの丘は結局のところ神の支配下にある」

「だから私は神に気に入られるよう良き人間を演じてきた」

「自分を押し殺し」

「丘を嫌悪し侮蔑しながら」

「私にはそう生きるしか出来なかった」

「その生き方を心の底から憎んでいたくせに」

「あなたはそんな私とは正反対で自由だった」

「気付いていましたか兄さん」

「私があなたを尊敬していたことを」



「ありがとう」

「私はあなたに殺されたかったのです」



やがて弟は消えていった。

私は弟の名を呼んだ。

初めて声に出して吹き渡る風に向かって呼ばわった。

呼んだ声は風に巻かれて彼の耳に戻る。


それは自分の名だった。


そうだ。

私には弟などいなかった。

弟は自分の一部、世界に愛され、誰からも愛された私。

その自分を私は殺した。

私はとっくに荒野に住まう悪霊のひとつに成り果てていたのだ。




追放者
訳あって記事を消させてもらいました

申し訳アリマセン