18世紀のフランスに、ジャン・ジャック・ルソーという偉大な思想家がおりました(写真)。私はたまたま誕生月日が同じという奇遇も手伝ってか、若い頃からこの思想家に興味をいだき、その著書も愛読しました。ちなみに、童謡の『むすんでひらいて』はルソーの作曲です。歌詞(作詞者不明)は「もめごとがあった時は、互いに手をゆるめよう」というのが本当の意味です。

 

 

ルソーは著書の中でこんなことを述べています。

「歩くということは、私を生き生きとさせ、思索を活性化させるものがある。じっとしていると、私はほとんど何も考えることができない。私の精神を動かすためには、私は動いていなければならないのだ。田園のながめ、心地よい景色、大気、それらすべてが私の魂を開放し、思想をいっそう大胆に導く。私の心は気に入るものを統合し、一体化し、美しい映像に囲まれ、甘美な感情に酔いしれる」(『告白』一部中略)。

およそ散歩という日常の行為を、これほど知的に昇華しょうかさせた人はいないと思います。ルソーは孤独でありましたが、孤独とさびしさは異なるものです。そして、人はその本質が孤独であることも知らねばなりません。孤独を自覚してこそ、人は自分に立ち返り、求める幸福から与えられた幸福を知ることができるのです。さびしいと思うのは、あれがあればこれがあればと、幸福を外に求めるからです。

皆様の近辺にも、心をいやせる場所が必ずあるはずです。本来の自分にもどれる時間を、ぜひ作 ってください。太陽の光は幸せホルモンとなり、自然の草木は絵画となり、鳥のさえずりは音楽となるのです。