真言密教では仏頂尊勝陀羅尼ぶっちょうそんしょうだらに宝篋印陀羅尼ほうきょういんだらに阿弥陀陀羅尼あみだだらにを「三陀羅尼」として尊重し、毎日の勤行でお唱えします。この中で、三番目の阿弥陀さまに関しては皆様にもよく知られ、お寺の本尊としてもお祀りされています。ところが仏頂尊ぶっちょうそんとなると、どういう仏さまなのかよくわかりません。またお寺で 宝篋印塔ほうきょういんとう という石塔をよく見かけるものの、説明されることはほとんどありません(下写真)。

 

 

そこで私は、このたび『尊勝仏頂法そんしょうぶっちょうほう宝篋印経法ほうきょういんきょうぼう』という行法次第(供養の方法)を刊行し、ご住職さま方に仏頂尊や宝篋印塔への関心を深めていただきたいと考えました(下写真・青山社刊)。

 

 

仏頂尊とは仏さまの頭上に盛り上がった仏智(肉髻にくけいといいます)を、尊格として象徴した仏さまです。よく不機嫌な顔つきを「仏頂面ぶっちょうづら」などといいますが、とんでもないことです。仏さまの智恵が最も集まっているので「尊勝」とお呼びするのです。

また宝篋印塔という石塔も五輪塔ごりんのとう光明真言こうみょうしんごんの塔)と並んで、その功徳ははかり知れません。そのことは『宝篋印陀羅尼経』に明記されています。つまり、「三陀羅尼」は光明真言と共に、先祖供養への最勝の陀羅尼だといえるのです。

私のささやかな刊行によって、ご住職さま方が三陀羅尼への意欲をさらに深めていただくことを願ってやみません。