時は文禄元年の5月、ある兄弟がいた。
歳は3つ離れていた。
その兄弟は大変仲が良く、下級武士で貧乏であっても、常に武芸の稽古に励み、
学業にも熱心だった。
その兄弟が30も半ばのころ、住んでいた村で農民一揆があった。
首謀者は農民であった。
当時、一揆を企てた者には藩からの処刑や切腹などの極刑が待っていた。
当然、全員極刑である。
兄弟たちは「 農民たちは何もしていない。首謀者だけが裁かれるべきだ 」と
役人を説得したうえで、実は自分たちが農民をたきつけて一揆を行ったのだと
主張した。
首謀者は我々だ。我々が首謀者だ。
農民のみんなの処刑は何としても防がねばならぬ。
その一心だった。
藩よりお沙汰があり、首謀者は即刻、切腹せよ。
この兄弟はもとより何の迷いもなかった。
こんな命くらいで農民のみんなが助かるならば、武士の本懐だ。
なんと嬉しいことではないか。
さらばだ。
来世きっとまた会おう。
兄弟は手を取り合った。
二人は辞世の句を詠みあげた。
まず弟が切腹して果てた。
その死を見届けてから、兄も切腹して果てた。
兄弟の亡骸は農民たちに手厚く埋葬された。
この兄弟の心
この世に、これ以上に崇高な心があるだろうか。
自分に深く深く共感させるとともに、皆様にもご紹介致したく、書きました。
それでは、本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
ネラ・ファンタジア サラ・ブライトマン
なんとスケールの大きい詩でしょうか。なんと心を込めての歌声でしょうか。
こういう詩と歌が、自分の何かに共感させます。