山崎が、ついにバーに勝った。
東京に出て来たころから、バーに憧れている。東京のバーで、年齢も職業もバラバラな人とお酒を飲み交わし、時にはセッションし、まだ誰にも聞かせてない新曲を聴いてもらうのが夢なのだ。
「新曲できたの、ちょっと聴いて」
〜歌う〜
「なんて最高なんだジェニー!」
「ああ、全く最高だ。」
よく分かんないけど、そのバーの仲間内だけは「ジェニー」とか「サラ」とか呼ばれたいのだ。よく分かんないけど。
この間、初めて一人でバーに行った。
私も23歳。
一人で飲みたくなる夜だってある。
カウンターに座ってウーロンハイを飲んでいると、店員さんが話しかけてくれた。
「お住まいはこの辺りですか?」
「はい」
「……」
「……」
「明日お仕事は休みですか?」
「あ、午後から…」
「そうなんですね」
「はい」
「……」
「……」
弾まない。
自分で言うのもなんだけど、私、別に初対面の人と話が全く弾まないタイプではない。
だけど、やっぱりバーの店員さんといえども、相手は仕事中の人。どうしても、
「私に友達がいなくて勝手に一人で来てしまったが故、大変お忙しいお仕事中、私に気を遣って話しかけさせてしまってごめんなさい。どうぞ私のことはお気になさらず、仕事の続きを…」
という気持ちになってしまう。
会話も仕事のうちだ、みたいなのは知らない。
会話を求めるなら、たぶんホストとかがいるお店に行く。絶対行かないけど。
申し訳なくて、結局2杯で出た。
一杯で出たら「あ、居心地悪かったかな」と思わせてしまいそうで申し訳ないし、3杯分も居座ったら仕事の邪魔かなと思ったので、2杯。
バーに申し訳なさを持ち込まない。
それを標語に、今度は友達がよく行っているというバーに連れて行ってもらった。
そのバーには楽器が沢山置いてあった。
あ、これ音楽やってるとか言ってしまったら何か歌えってなるやつだ。怖い。
友達と二人、カウンターで飲んでいると、バラバラと他のお客さんがやってきて、おもむろにセッションを始めた。綺麗なお姉さんがタバコをくわえながらピアノを弾いていて、超シビレた。
友達「なんか歌いなよ」
来てしまった。そういうの、来てしまった。
私は必死に遠慮した。遠慮しても引き下がらない友達にムキになって、「なんで私がシンガーソングライターやってるか知ってる?音楽で友達!みたいな雰囲気が怖くてバンドマンと馴染めないからだよ!音楽があればみんなピースフルみたいなの苦手なんだよ!無理だよ!」と怒った。
結局、ギター伴奏だけした。
玉置浩二さんの「メロディー」の。
知らないおじさんとセッションした。
…このままで良いのか。
バーに申し訳なさは持ち込まないんだろう。
初めて来た私なんかが、常連さんに混じってリードボーカルやったら申し訳ない、なんて思ってないか。思ってるだろう…?
……気がついたら楽しくなってて、思いっきり「夜空ノムコウ」と「ライオンハート」でリード取ってた。
また今度、このバーに来ること、そしてなぜか周年パーティーにも遊びにくことを約束して、後にした。
バー、怖くない。
バーに勝った。
やったー!!!!
一人で食べるご飯や、
シールドと二人で食べるご飯に飽きたので
やったね。
P.S.
最近、 新山詩織ちゃんと食べる夕飯が美味しくて、よく一緒に食べています。私は普段、声が小さすぎて友人に「え?」ってよく聞き返されるんですけど(その度申し訳なくてどんどん口数減っていく)、詩織ちゃんは聞き逃さない能力が凄いみたいで、全部聞き取ってくれるので、ずっと喋ってしまいます。
主に、行きたい美味しいお店と、行きたいレジャースポットの話をしています。
最近は、茶畑に遊びにいきたいらしいです。めんこいな。人生で一番の安全運転で連れて行ってあげたい。