一昨年の七夕、夏と海が好きだった父が、夏を待たずに旅立ってしまった。

春に「覚悟してください」と言われていたけれど、覚悟なんかできるわけがなかった。


父は虹の橋を渡り、飛行機雲になって語りかけてくれるようになった。



そして今年の4月、母も旅立ってしまった。

蝋燭の火が消えるような最期だった。


9月生まれの母は、自分の誕生した9月にお父さんや私の姉を亡くし、9月は怖いから何事もなく早く過ぎてほしい、9月は嫌い、と言っていたのに、私の誕生月の4月に旅立ってしまった。


母はきっと、鳥になった…


母がいる間は、まだ少しだけ、思い出は手のひらにあった…気がする


父も母も旅立ってしまった今、手を離してしまった風船🎈が空へ飛んでいくように、それらの日々は遠くへ、ひたすらに遠くへ行ってしまった…ように感じる


戻れるならいつに戻りたいだろう?

子供の頃?

でも、やっぱり一番幸せだったのは、子供達も小さくて、家族みんなでバタバタと過ごした日々…

きっと父も母も、私に子供が生まれて、みんなでいた日々が一番幸せだったのではないかな?と思う。

たくさん、幸せな瞬間も、辛くてたまらない瞬間もあったけれど…


でも、どの瞬間も、どんどん遠くに離れて、もう手が届かないところへ、見えないところへ、

離れてしまった


それは、寂しいけれど、哀しいけれど、消えるものではなく、

ずっと心の中にあたたかく光り続けるものなのだろう…

そこに確かにあった大切なかけがえのない時間だから…