アメリカで弁護士として働き始めて6年が経とうとします。その中で、転職活動もした事があるので、カリフォルニア州で弁護士の転職活動について、お話ししたいと思います。
ロースクールを卒業したばかりの弁護士は、コネであったり、エリートの学校を卒業して、インターンシップで良い成果を残した場合でない限り、中々、就職先を探すのは大変です。以前、ある法律雑誌の編集長が、セミナーで話していた「人との繋がりの重要さ」について納得させられた事があります。彼が言ったのは、「It's not about who you know. It's about who knows about you.」。直訳すると、「あなたが誰を知っているかなんていうのは、さほど大した事ない。重要なのは、誰があなたについて知っているかという事。」彼が言いたかったのは、どの業界でも人との繋がりが大事。自分がどれだけ色々な人の事を知っていても、その人たちがあなたの存在(価値)に気づいてくれていなかったら、意味はない。弁護士であったら、案件をクライアント、同僚、友達、知り合いから紹介して貰ってビジネスが成り立つので、周りの人が、困った時に自分の事を思い出してくれれば、素晴らしい事だという事でした。私は、弁護士業に限らず、困ったときに聞いてみようと思われる人間になるように頑張りたいです。
私が最初に頂いた仕事は、学生の頃にセミナーに参加して、名刺を交換した男性がたまたま、一人で事務所を構えていて、パートで働ける学生を探しているとの事で、面接も無くすんなり仕事を頂けました。卒業後も、司法試験に合格してから同じ所で雇って頂けました(それから間もなく辞職しましたが)。やっぱり、学校の図書館で勉強ばかりしているのではなく、外で出会いを求めるのも大事だなと思った瞬間でした。
ここ最近、転職活動をしていて、いくつか面接をさせて頂きました。コロナの影響もあって、殆どがZoomでの面接でした。通常は1対1での面接が殆どですが、ちょっと前に、面接官が7名の7対1の面接がありました。リクルーターさん曰く、7対1の面接は今まで聞いたことが無いとの事で、「怖かったでしょ?」と感想を聞かされました(笑)結果としては、オファーを頂けたので良かったです。
通常、面接の前に、履歴書、ロースクールの成績証明書(事務所による)、および仕事で書いた書類のサンプル(writing sample)を提出します。リクルーターを通さない場合は、カバーレターも出して、どうして求人されているポジションが自分に合っているか伝えます。リクルーターがいる場合は、既に、顔パスというか、リクルーターはプロで、「経験がマッチしているから紹介してるに決まってるでしょ」という前提なので、大抵は必要ありません。もし、経験がマッチしていない人を紹介したら、そのリクルーターは役立たずと事務所に見なされるので、仕事が少なくなると思います。履歴書や書類のサンプルに誤字脱字があった場合は、書類審査で不合格になり、面接にもこぎつけません。また、個人のe-mailアドレスは、やはり社会人なので、ちょっとふざけたe-mailアドレスだと、この人はプロ意識が無いのではないかという事で、書類審査も落ちるかもしれません。なので、私のロースクール友達は、パーソナルなe-mailも苗字.名前@gmail.comという普通のe-mailが多いです。
面接で、最近聞かれた質問では、
(1)なぜ転職したいの?
(2)5年後の自分は何をしていると思う?
(3)もし、今、4時間自由時間があったら何をしたい?
(4)もし、クライアントあるいは上司から、違法な事をしようとしていると言われたらどうする?
(5)もし、チームメンバーが全く仕事をしていなかったら、どうする?
(6)あなたの長所と短所は?
(7)なぜ、雇用法を専門にしようと思ったの?
(8)あなたの今までの仕事経験を教えて。
(9)どうしてこの事務所で働きたいの?
(10)この事務所について、何を知っている?
(11)働く環境で、どういった事をあなたは重視する・求める?
(12)最近、自分が成長したなと思う点は何?
面接をした後には、お時間を割いて頂き有難うございましたe-mailを必ず24時間以内に送ります。リクルーターさんを通した場合は、必ず合否の返事を頂けます。ただ、自分で応募した場合は、面接結果が来ない事も結構あります。やっぱり、不採用となると悲しくなりますが、私はアメリカのテレビ番組のこのシーンを毎回思い出して、自分を元気づけます。Arrested Developmentというコメディーなんですが、50代位の女性が、30代位の男性とお付き合いしていたんですが、振られてしまい、その女性が、たまたま家にいたお手伝いさんに、こう言い放ちます:「You know what?! It's his loss. It's his loss. IT'S HIS LOSS!!!」この女優さんの迫力と表現力に圧巻ですが、直訳すると、「ちょっと待ってよ。彼が損してるのよ(小声)。彼が損してるのよ(普通の声)。彼が損してるのよ(叫)!!!」と最後は相当の飛沫が飛んでいるのではないかと心配になるくらい興奮気味に言ってます。毎回、Youtubeでこの場面を見ると、面白くて噴き出しています(笑)
日本だったら、「見返してやるー!」という感じがしっくり来るんでしょうか。私も主人と出会う前は、片思いでずっと振られっぱなしだったので、このテレビ番組に出会っていたら、「見返してやるー!」ではなくて、「あんたが損したのよ!」という思いで生活していた事でしょう。皆さんも、もし悲しくなった時は、この女優さんの演技で元気になってみてください。