Cook  Book Cafe  @ 下北沢本屋B&B 

~ あの人に 好きなCOOKBOOKを持ってきてもらって、みんなで話そう、という会。

※放送作家のわぐりたかしさんがはじめた会♡です。

 

毎回お招きするゲストの方々に、テーマに沿った 『あなたの好きな料理に関する紙の本』を選んでお持ちいただきます。

 

このスタイルになっての第4回、

テーマは 『おふくろの味?ママの味?』

さる2月24日、土曜日 午後2時から開催しました。

 

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おふくろの味、という言い方を始めたのは土井勝さん(土井先生のお父様)だといわれています。

以来、50年くらい?

ブログやSNSが始まってからは、どっちかっていうとママの味という印象に。

はて、このふたつは違うのかな?

そうそう、パパの味もあるよね?

私の嫌いな言葉、“胃袋をつかむ”と、おふくろの味も、なんかリンクしてる気がしたり・・・。

 

ということで、受験シーズン真っ盛りでもあり、

『おふくろの味?ママの味?』をテーマにしてみました。

このテーマに合わせ、ゲスト=プレゼンテーターとしてのご登壇をお願いしたのは、こちらの方々。

 

下写真の左から、

粟飯原 理咲(あいはら りさ)氏
:アイランド株式会社代表取締役。今や料理好きではなくても、知らない人はいない、レシピブログ、おとりよせネット、などのサービスを立ち上げ、料理とブログ・ソーシャルをつなげた第一人者。

 ★阿古 真理(あこ まり)氏

:作家・生活史研究家。食や暮らし、女性の生き方などをテーマに執筆。『小林カツ代と栗原はるみ』は大きな話題に。最新刊は「料理は女の義務ですか?」
★ 浅野 聡子(あさの さとこ)氏 :講談社「たのしい幼稚園」副編集長 「ane♡ひめ」副編集長。ともに、雑誌低迷の中、変わらぬ人気を誇る、講談社のキラーコンテンツ・児童向け雑誌。3児の母であり、ばりばり働きながら、家事育児をこなす、超読書家。

 

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いつも、テーマを決めてから、ゲストを考えています。

今回は、おふくろの味から、ママの味へ、

SNSの普及で大きく変わった気がする・・・と私は思っていて、そのあたりの検証、

ちょっとした“おふくろの味呪縛”っていろんな立場の人にあるんじゃないの?

胃袋つかむ → おふくろの味 の相関関係って、どうなんだろう?

そして、パパの味はどーした?っていうジェンダーにからむ話まで、

みんなで話せたらなーと思って、僭越ながら人選させていただきました。

 

うっしっし、きっとあの方がこんな話を、といつも勝手にひとりで妄想するのですが、

いやー、私の妄想以上に盛り上がりました。

 

ほんっとに、3人3様の引き出し (しかもそれぞれ数が多い、深い、ひろい、いっぱい入ってる)から、

出るわ出るわ・・・、

知性と教養とユーモア、

それぞれの深堀専門分野、

魅力的なキャラ、

ぜんぶまるっと、司会進行も忘れて、楽しませていただきました。

 

『やはり、SNSが始まって、これまでのぞくことができなかった、ほかのうちのごはんが、

簡単にみられるようになって、いろいろ変わってきた!』

(ヨネスケの隣の晩ごはんが人気であるように、みんな見てみたいと思っていた?) という話から始まり、

 

ブログやSNS、さらには今後AIなどで、おふくろの味がどうなっていくのか?という話へ。

近い将来、写真や映像から、レシピの配分(みりんが多いとか、かなり具体的なこと)までわかるようになるかもしれない。。。その時が来たら、家庭で伝えて継がなくても、広く伝わっていくのかもしれない・・とも。

 

また、血がつながったおふくろでなくても、ママでなくても、

愛おしく思い、慈しみ、作られた料理の記憶は、心にともる灯や、ほっとする温もりとして残るんだよ、といった、いい♡話も。

料理にはそういう力がある、と。

しかし、これが強すぎて、共依存になってくると、

呪縛につながることもあるわけで・・・と、母娘、親子の話へ。

 

一方、そもそも、おふくろって言うのは、女性を穴と袋で表す呼称・・という某著名大学教授の言葉も紹介されました。

『若い娘よ、記号としてであっても、プレイであっても、夫を主人と呼ぶな!』という話へ。

『主人警察になっちゃう!』(主人と呼ぶ人を取り締まるぞ。。。と。)

 

さらには、実は料理する、してあげることで女性はイニシアチブをとっているのではないか?

ジェンダーバイアスを語る一方で、ケア→やってあげる力を権利として温存しているのではないか?

それを放棄したら何か残るのか?ケアすることを除いて、ガチの人間力みたいなことだけで求められるのかな?と。

『ケア=してあげるって、今一番高く売れるものかもね。』

ということから、木嶋(旧姓)死刑囚のお話にも。

 

イベント後、中継したら?という声もいただきました。

そうですよねー、私もライブって、すごいな、と改めて。

やっぱり、目の前にその方がいて、台本なし!段取りなし!

(→ ないんかい!って、ほんとに、打ち合わせなし、でやってます。)

で展開される話って、進行している私はややドキドキですが、

見ている人にはおもしろいんだなー、と。。。今回もしみじみ思いました。

 

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※ほぼ満席でした~ありがとうございます。

 

まだまだ書き足りず、ぜんぶ書き起こしたいくらいですが。。。

最後に、

3人が選んでくれた、おふくろの味?ママの味?と言われてうかぶ、COOKBOOKをご紹介します。

 

粟飯原さん選書
『お料理さん、こんにちは』 (小林カツ代)

 ~小林さんが料理家として著名になる前のエッセイ。

嫁に行くまでごはんの炊き方も知らなかった(衝撃!)小林さんが、家庭を築く中でつくりあげていく、

家の味、両家から引き継ぐおふくろの味の話も。

『シチューの歌とかつくちゃったりして、変わってるんですけど、読むと無性にシチューが食べたくなるんです、

料理がたのしい、食べさせたい、よろこばせたいっていう気持ちが伝わってくる』(粟飯原さん)

※残念ながら、この本、現在購入が難しくなっております。


『赤毛のアン』 (モンゴメリ)

~ご存知!ですね。アンが引き取られた家で食べる味、友達に作ってあげる味、ママじゃないけど愛があれば、それは心に残る味、

おふくろの味なんじゃないかな?という粟飯原さんの優しい目線。

※ちなみに、進学して一人で暮らしてからも、アンは料理好きです(アンの青春などでぜひ。)

余談ですが、私、カナダ(東側)に行くときに、このシリーズを全巻持っていき、改めて読み、

たいへん盛り上がりました。カナダ旅行にはぜひ!(そこか!)


●『461個の弁当は、親父と息子の男の約束』 (渡辺俊美)

~パパの味!ミュージシャンの渡辺さんが、高校生の息子と約束した弁当づくりにまつわるあれこれ。

SNSで毎日アップされる写真が話題になり、書籍に。

『お弁当って、はじめて、ほかの家のごはんを見る、知る、機会ですよね』(粟飯原さん)

※これ、母親だったら、そもそも本にならないよね~、男の約束って、かっこよくてなんかずるい、という声も、なるほど。。でも、かなり立派なお弁当なんですよ~くうう、涙(なぜか泣く)。

 

阿古さん選書

●『庭の桜、隣の犬』(角田光代)

~30代夫婦。実家母の料理を毎日のようにもらってくる妻、一人になる空間を持ち続ける夫、でも仲良し?

料理による母の呪縛がある?阿古さんがあげた義母と主人公の梅干しのエピソードなども、深い。

※個人的には、料理好きな角田さんの目線をばしばし感じます。

 
●『博士の愛した数式』(小川洋子) 
~映画化もされました。一定の時間しか記憶が続かない博士と、そこへ通う家政婦さん。その息子。

血縁関係のない人が作る毎日の料理・・そこには?

 

●『365日のめざましスープ』(有賀薫) 

~有賀さんとプライベートでも親交のある阿古さん。母が息子に作り続けたスープだったんだなーと知りました。

そして、やっぱりスープは特別なもの、と。『スープって途中で味も見られるし、足していくこともできて、作りやすい。失敗も少ない料理。でもそこには、作る人の工夫とか知恵とか思いやりがつまっていて、それが伝わるんだと思います』(阿古さん)

 

浅野さん選書
●『PINK』 (岡崎京子) 

~このチョイスを見て、私も、そうだ!これ、継母の味がでてくる!と思い出しました。

そして意外にも料理上手な主人公にみる、本当の母の姿、料理上手だった気配。

当時、漫画が文学になったといわれた作品。(このあとどんどん文学になるわけです。)

冷静に考えるとすごい暮らしっぷりの主人公が、育ちの良さオーラを放ち、下品ではなく、ちゃんとしてる?感があり、、、。

しかし、最後は泣けます。


●『ごはんのことばかり100話とちょっと』 吉本ばなな 
~母の料理、姉の料理、そこに少し距離を置く妹(ばなな氏)がつづる食べることのエッセー。

父のまずい料理の話も(いや、巨匠も料理するんだなーと思って読みましたが。。)

 『吉本さんのお母様との微妙な関係性もあり。料理ってどうしても母子の関係を語ることになると思う』(浅野さん) 

ここから、イライラしながら作ると、料理はまずくなるのか?という話へ、ww

 

●白洲次郎・正子の食卓 牧山桂子 新潮社
~ご存知、白洲家のごはんを、リアル白洲家の食卓の写真とレシピでつづった本。

器がすごい!とこの日も話題に。

『ここで料理をつくっているのが、長女。お料理をしなかった(家に料理人がいた)母のもとで育って、

ものすごい料理上手になった、わけです、なんかおふくろの味?ママの味?って思います』(浅野さん)
 

山脇選書
● 『 くじ 』 (シャーリィ・ジャクスン)

~ 奇才、シャーリィ・ジャクスンの短編集 『くじ』の中にある、ずばり『おふくろの味』。

原題は、“Like Mother Used to Make ” ママがよく作ってくれたように・・といった意味かと思いますが、『おふくろの味』秀訳です。

物語はこのタイトルからは想像もできない設定で始まり、

最後は、深町さんが おふくろの味 と訳したことに大いに納得!するんじゃないかと。

後味の悪さにかけてはピカ一の作家(私比較)なので、この作品もしかり。

だけどね、わかるっ!ありそう~!な話でもある。

世界中でおふくろの味の力って綿々とあるんだな、と。

 

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さて、クックブックカフェは、流れとしては、どうして、おふくろの味?ママの味?で、これらの本を?という理由を

各人にプレゼンしていただくことから、始まります。

意外な理由あり。

おー、やはり!と納得する理由もあり。

そこから上記のように、大展開していく・・・各人のお話を引き出す、本の力って偉大!といつも思います。

 

いずれも、読んでいなかったら読みたくなる!読んでいたらもう一度読みたくなる!

ということで、この日もたくさんの方が、選書から、ご購入して帰られました。

阿古さんの新刊は、完売御礼!! 

いやはや、このイベントを本屋さんでやる意味ですな・・。

紙の本を盛り上げようぜ!という気持ちでやっているので、ほんとにうれしい。

 

地方の書店さんでも、やったらどうかなーと思ったりしています。

その地域の面白い人、オピニオンリーダー(死語?)みたいな方をプレゼンターにして、どうでしょう?

 

私は、本と料理に、幾たびも救われてきた、

このふたつが親友だぜ!と思っているので、

このイベント、大切に続けていきたいなーと思っています。

 

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次回は、6月を予定しています。

またまた、下北沢の本屋B&Bさんにて。

(ブック&ビアーです、生ビールがおいしい♡)

みなさま、ぜひ、次回もお運びください。

 

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