ということで、台北の話に戻りますよ~。

 

今回の台湾では、拙著の出版イベントというのが、ひとつの楽しみ、でした。

 

私の『明日から料理上手』という本が、『明天開始、輕鬆做好菜』として、台湾で出版され、

その出版イベントをやることになったのです。

 

で、招待されたんだ~と思われている方も多いかと思うのですが、

いやいやい、そんなわけはなく、私がもともと、台湾へ行く予定だったので、

その日程の中で、組んでいただきました。

かんたんに言うと、

私のプライベートな(あたりまえに自腹の)旅の中で、1日を、イベントに当てた。。。わけです。

 

まず、私は、この本が台湾で出ることになり、すごくうれしかった。

過去に、英語版が出たりしたことはあるのですが、台湾版ははじめて。

相方もおもしろがってくれて、FBで、台湾の出版社の社長さん、エミリーとつながり、

やりとりできるようになりました。

そこで、いつか、台湾に行ったときになにかできるといいねーと。

それで、11月に行くことにして、

彼女がイベントを組んでくれたのです。

 

自腹で?と友人たちには驚かれたのですが、

私は、すごくよかった~と思っています。

 

はじめて台湾で本を出す、どこの馬の骨?かもわからない著者が招待されるはずもないのは、当然です。

 

一方、私は、この本のおかげで、

台湾の(台北の)方々が、どんな風にこの本を感じてくれたか?直接聞ける。

なんて貴重な機会、おもしろい!

 

さらに、ただの旅行では知りえない、

台湾家庭料理事情や、今、どんなことに興味を持っているのか(料理で)、

そもそも家庭料理って?どんな感じ?

とか、どんな味が好き?とか、市場にはいくの?とか、まあ、聞いてみたいことがたくさん聞ける。

台湾に知人や友人がいても、それは市井の、私を全く知らない人ではないから、

今回は全く知らない人から、また違ったリアルな話が聞けるんじゃないかと、楽しみでした。

 

加えて、台湾では紙の本がどうなのか?

なんていう出版事情も聞けるんじゃないかなーと。

 

これは、自腹でも行きたい!!、自分の栄養じゃん、と思ったわけです。

とにかく、とってもとっても、興味津々で臨みました。

 

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まず、ひとつめのイベントは、

料理のデモンストレーションと、テーブルスタイリングの話を、

HENGSTYLE という、

今の台湾のライフスタイルをリードする会社のキッチンスタジオで。

 

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こちらの会社は、台湾の百貨店やモールにも入っていて、

ボダムや、ダイソンなどの輸入代理店でもあり、

ライフスタイル誌も発行しています。

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台湾のライフスタイルのトレンドをリードする、というか作っている会社だそう。

もちろん、エミリーがブッキングしてくれて、

当地へ行って、初めて知りました。

 

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ものすごくかっこいいキッチン。

台北の中心部から車で15分くらい?の、

マンハッタンか?というような新しい街並みの中にありました。

前には、PAUL(パンの)など、海外からの進出組の店もあり、

大変お高いというタワーマンションが立ち並び、

外資系やマスコミの方々が多く住んでいるとか。

 

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これまで、日本のイベントや教室では、私の場合は、必ず自分で見て材料を準備しています。

なにしろ、材料を目で見て触ってそろえたい。

でも、今回はすべてお任せしました。

本の中から、チキングリルと、青菜の白和えを作ることだけ決めて、

材料はお任せ。

私は、日本から白みそと、はちみつ、エディブルフラワーだけ持っていきました。

 

HENGSTYLE で、働く女子4名と、エミリーの会社の編集の方々がお手伝いしてくださって準備。

鶏のもも肉は、さすがのすべて骨つきでした。

私も一応、朝、東門市場で立派なホウレン草を買っていたたのですが、(心配性で・・)

それもちゃんと準備してあり、

ほかの材料も完璧でした。

 

なにより感動したのは、

アシスタントに入ってくれた、4人のことでした。

 

みなさんに試食していただく料理を、早めに現場に入って作っていたときのこと。

 

私が、白和えの衣に、持参したはちみつを、存在感が出ないくらい、ほんの少しだけ加えました。

ちょっと甘さとコクを足したいなと思って。

 

それを見ていたひとりが

「その、はちみつはどのくらい入れますか?」

「え、あ、ほんの少しよ。でも、レシピにはないから、デモンストレーションでは入れないから。」と私が言うと、

「レシピにはないですよね、私たち、今日のこの料理を、本を見ながら3回つくりました。」と・・。

 

ええええ、日本でもなかなか聞けない言葉に、本当に感激しました。

 

あとで、彼女たちの上席の方に聞いたら、

みんな本を読んで、この日をものすごく楽しみにしてくれていたとか。

泣けました。

そして、さらに泣けることも・・。

 

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この日は、「明日から料理上手」にある、スタイリングの話もしてほしいといわれていました。

メールでやり取りしているときは、ピンとこなかったのですが、

現場には、上記がセットされていました。

 

ここで、スタイリングの話を・・と言われて、

ふむふむ、でも、これ私がやったスタイリングじゃないしなーと思って、

ここで、どうやる?と訊いたら、

「これは、先生の本を見て、その考え方通りに、私たちがスタイリングしたんです、あってますか?」と。

季節を取り入れる、生の花を使う、さりげなくがんばりすぎない、ホテルみたいにばっちり決めない・・などなど。

 

いやー、ほんとに泣けました。

それで、この彼女たちのスタイリングをベースに、

私が持参していた、出来上がりの料理用のクロスや、台湾で前日に調達した麻ひもやリボン、

彼女たちが用意してくれていた生花を使い、

いくつか簡単なアレンジも紹介しました。

 

目を輝かせて準備を手伝ってくれる彼女たちが、

もう、うれしくって。

これだけでも、来てよかったとしみじみ思いました。

 

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デモは、通訳さんに訳していただきながら。

やりながら、皆さんを見ていると、なんと熱心。

ものすごくメモを取っています。。。ありがたいというか、身が引き締まる(この段階で、2キロ増だったけど)。

 

例えば、私が家庭でもできることとして こだわっている、冷たいうちから焼くか、熱くしてから焼くかの話や、

青菜のゆで方のささいなとこだけど大事なコツや、

そもそも青菜って・・みたいな話も、熱心に聞いていただき、ほんとに料理熱を感じました。

質問も、本気で作ろうとしているな・・・と思うものばかり(いや、日本の教室がそうじゃないってわけじゃないですよーww)。

 

また、豆腐を生でたべることがないようで、

水切りして衣にすることも新鮮だったよう。

 

さらに、白和えの説明でお話しした、精進料理の話にも興味津々で。

ちなみに、台湾も、僧侶は動物性のものは食べないと・・儒教はOK?とおもっていたから、ちょっとびっくり。

 

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スタイリングのパートでは、

ああ、きっとこれから、

家でのおもてなしを楽しむ、

ちょっとテーブルを飾ってみる、とか、そういうことが

どんどん浸透していく、はじまりのところなんだなーと改めて感じました。

 

私は、家でのおもてなしは、リラックスしてもらうのがいちばんだと思っているから、

ホテルみたいなスタイリングにしないとか、

あえてすこしハズして、とかそんなことをお話ししました。

麻のナプキンとかおいてあるとかえってプレッシャーだからね、と。

大きく頷いてくださったけれど、

でも、もしかしたら、いったんこれから、ものすごく完璧なスタイリングも人気になるのかもしれません。

 

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白和えに、エディブルフラワーは、喜んでもらえました、笑。

こういう、盛り付けを楽しむことも、

これからどんどん入ってくるでしょう(後日、今どきの台北のハイエンドスーパーにはあった!というご報告がありました。)

 

この前日までの、台北ひとり旅の段階で、

台湾の料理は、屋台やファストフード、おべんとうでさえも、

塩分は優しく、素材の味がいかされ、全体に半歩手前で止めているとかんじていたので、

この日の重石をのせて焼くチキングリルも、私がいつも家でつくっているくらいのお味にしました。

(日本でイベントの時は、自分の家でつくるより、気持ち強めにしたりしています。)

 

これもとても気に入ってくださって、

すぐにエミリーのところにつくレポがきたり。

とってもうれしかったです。

 

お客様には男性も。

「これから料理を自分でしようと思って来ました」 って、なんてすばらしい♡

 

そしてそして、台北駐在の日本人の方もおふたり来てくださいました。

なんと私の最初の本「もてなしごはんのネタ帖」をお持ちで。

これにもほんとに感激しました。

次回は、駐在の方が多く住む、天母にも行きたいな~。

 

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アジアは、家で料理しないで買って帰る人が多い印象。

かつて足繁く通ったタイも、

90年代までは、そもそもコンドミニアムにキッチンをつけるかどうかを選択するくらい、

家では料理しない感じでした。

中国はご存知の通り、文化大革命で、家で料理したり人を招くのはブルジョワのすることとして粛清された歴史もあり、

北京や上海では、家で料理したり、ホームパーティをするのは、オリンピック後に流行ってきた、と聞きました。

 

台湾も女性も働くのが当たり前だから、買ってくる人も多いようではありますが、

みんなものすごく食べることが好きだから、料理もする、と。

日本以上に、男女の役割関係なく、料理する、という話も。

「台湾人は、家を建てられなくても、おいしいものにはお金を使うんですよ」

という言葉も印象的でした。

また、「母が、チキンをグリルしてくれるんだけど、脂っぽくて苦手だった、こんどは私が作って母とたべます」と。

 

件のアシスタントしてくれたある女の子が

「自分が作ったのとは違っていた、どうしたら、上手にできるんだろう?何が違ったのかな?」

というつぶやきも、ああ、わかる、そうだよねー、私もよくそう思う、と。

「次はおいしくできるし、料理は、結果より、つくるプロセスを楽しめばいいんだよ~」と答え、ハグハグしました。

 

私、ほんとにここで、何にもかえがたい、

ただの旅行では味わえない、

貴重な経験をさせてもらえました。

 

ああ、本を出してよかった、とあらためて。

エミリーがこの本を翻訳し出版してくれたおかげです、ありがたい。

 

・・・と思うのは、夜の書店でのイベントでも。

そこではちょっとびっくりなお話を聞くことになるのでした。

 

続きはまた次回。

 

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