はじめての(30年前の)台湾で、一番印象に残ったのが、龍山寺でした。
 
なにしろ、今とは全く違う街並み。
舗装されていない道路を、ものすごい数のバイクが走るし、
当時できたばかりだった(と思う)シェラトンの周りは草が茂る空き地がまだまだいっぱいあって、
地下鉄もなかった。
そんな中、龍山寺に行ったら、なにしろにぎやかで、しかも、多くの人が、普段着のまま、本気で祈っていました。
この「本気で祈っている」姿に胸をうたれたんです。
いつも祈っているんだ、と。
日々の暮らしの中に寺院があって、日常的に祈るっていうのが私にはなかったから。
 
去年、久しぶりに龍山寺に行ってみて、
そこには、人は少し減っている気がしたけど、変わってない同じ光景がありました。
日々の暮らしの延長で、本気で祈る姿。
 
私も、お客さんではありますが、
台湾の街をあるいていて、寺というか、廟に出会うと、必ず寄って、手を合わせます。
そうしているうちに、いろいろな副神がいる台湾の民間信仰に、ますます興味がわいてきました。
ご存知のとおり、台湾の寺廟には、メインの神様はじめ、居並ぶ副神のみなさまにも、
それぞれご利益の分野というのかな、「何に効く」というのがあるようです。
現世利益、を求めていい?ということなのかなーと、ぼんやりと思っていました。
(台湾仏教五座山、9大宗派、が主流のところらしいです。85%以上がなにかを信仰しているとか。道教と融合しているものもあって、
民間信仰がどういうものか、正確なところはわたしにもわかりません。)
 
それで、今回は、一人でをまわってみよう!と。
 
学問、恋、財、仕事、縁、といろいろある中で、
ま、20代なら恋?学問?
30代、40代は、仕事? 仕事と財はペアだから両方かな?
しかし、あなた、50代なら、まずはなによりも健康でしょう、ということで、最初にここをたずねました。
image
大龍峒保安宮
宋時代の天才医師、医学の神様、保生大帝を祀った寺廟だそう。
健康と長寿の神様と。いいですね~♡
 
圓山駅から、歩いて10分くらいかな。
とってもローカルなエリア。
駅からの道は、ずらっと自動車修理店(工場というサイズではない)。
ほんとにずらーーーーっと。
 
 
※お隣には、孔子廟もあります。
 
艋舺の龍山寺、清水の厳祖師廟と並んで台北の三大寺廟だそうです。
 
image

 

image

image

お寺によって違いますが、

こちらは、袋に入ったお供え物セットがあって、購入すると、

竹線香も入っていました。

セットは、豪華度によりますが、30~70元くらい。

お線香だけなら、10元とか。

中には自由にとってね、というところもあります。

お供え物の中には、コンビニでも売ってそうなクッキーとか、普通のお菓子も入っていたりします。

神様用のお金もはいっているのが、また、現実的でいい。

 

竹線香は、長崎も同じ。

わがふるさと長崎では、曹洞宗の禅寺でも、これと同じような竹の長い線香です。

これを、1本差すのはよくないと、子供のころから言われて育ったんですが、

ここでは、OKみたい。

 

1香炉に、1本ということで、

この大龍峒保安宮には、10箇所あるから10本。

拝む順番も書いてあります。

ガイド本によると、

「顔の前でお線香を持ち、自分の名前、生年月日、年齢、住所、今日は何のために来たのか」を心の中で言って、

全部の神様に順番に挨拶する。

そして、何のために?にあたる行為はそのあとからやる・・・と。

 

なので、何人かいらっしゃる神様の中の、ある神様に本気で祈っている方(そこでずっと祈る、そこに豪華なお供えをおく、など)もいます。

若い清純そうな女子が座って、一心に祈っていたりすると、恋?なの?そんなに好きなの?と妄想、妄想。

 

image

 

私は、子供のころから、

寺や神社で、願い事はしたらいけん、と言われて育ちました。

ありがとうございます、とお礼だけ言えと。

でもって、お願いは、どうしてもしたかったら、自分の家の先祖代々の墓でやれ、と。

ましてや、神様に商売繁盛とか願うな、罰かぶる、げさっか(下品だ)・・・と。

 

ま、それで、うちの商売はダメになったのかもしれませんが、(苦笑)

大きな事故や大病もなく割にみんな寿命を全うしていたり、親も80歳過ぎても元気だから、

なによりありがたいと思っています・・・。

 

話を戻します。

だから、この神様ごとに、願い事をするというのが、なんとも不思議で。

しかも、聞けば、もしかなったら、どんなお礼をするか?もはっきりと言ったほうがいい、のだそうです。

それによって忖度される???

 

現世利益を求め、与えてくれる、というのが、信仰が暮らしの中にすっぽりと入っている理由なのかなー。

 

image

↑これ、杯筊(ポエ)も、たくさんの方がやっていて、

迷っていることを言って、祈って、投げると、

表と表、裏と表、などで、どちらに行くべきか示してくれるとか。

※これはおみくじを引くときも、使うんですって。まず引いて、これでいいかどうか、ポエにきく。

 

たいがい、人は、どっちがいいか、自分で決めているものだから、

これを投げて、自分で自分の背中を押すのかな・・と思いました。

 

結局、私は旅人でもあるので、

これまでの流儀通り、まずはお礼を。

次に家族全員の顔を順に思い浮かべ、笑って健康に、ってことと、

旅の無事を祈ってきました。

 

image

 

ところで、この場所。

圓山駅の近く(徒歩、10分ほど)なのですが、

なによりも驚いたのが、飛行機の近さ!!!

衝撃でした。

松山空港に近いんですね。

松山は、世界的でも、めずらしいくらい街の中にある空港だとは思いますが、

ここまで近くを飛ぶ飛行機を見たのは初めてでした。

手が届きそうな?(香港なんてもんじゃないです)

しかも、ものすごーーーーーーくうるさいし、

どんどん来る。ゴー、ガー、ゴーゴゴゴゴー。

 

私が3回目に台北に来たときはまだ松山空港はなかった(大工事中)ですから、

つい最近と言えば最近のこと。

日本だったら、さぞや反対運動が起きていたことでしょう。

どんなにうるさくても、空港が近いほうがいい?っていう合理的な判断?だったのかな。

 

image

 

今回は、数えてみれば、大小、8つの廟を回りました。

 

中で、もうひとつ、行天宮のことをまた次回。

 

###

●12月1日は、クックブックカフェ @下北沢B&B書店 お申込みはこちら

●12月7日は、NHKカルチャーで、「酔っぱらってても作れる 10分おつまみ」刊行記念クラス 日本酒と合わせますよん。

お申し込みは こちらNHK青山カルチャー

※代官山の教室は年内満席となりました、感謝。ぜひ、↑こちらで~。

●新刊出ます、12月1日発売「酔っぱらってても作れる 10分おつまみ」 (カドカワ さんから)

●最新刊は「野菜のたのしみ」 「いっしょに作るから朝がラク 今日の晩ごはんと明日のおべんとう」