柔道整復師、いわゆるほねつぎは、昔は(明治時代)は柔道の先生に免許が与えられた。

 柔道の道場を構える道場主は、かつては柔道によって壊した関節を治す技術も併せ持っていた。そうしないと自分の道場でけが人を出して何も為すすべがないのは道場主として困るからであり、またかつての武術には相手を壊す技のみでなく、治す技もあったのである。

 今は分業だ。なぜなら医療資格を持たない者は医業をしてはいけないと法律で決まっているからである。

 

 さて、関節技とは関節を極める技であるが、極めるということは関節がもうこれ以上動かないという角度に持って行き、それ以上に力を加えることである。この時の関節の状態のことを最密肢位という。手首と足首以外の関節は、最密肢位で壊れるようになっている。手首と足首は最大開大位で壊れる。つまり関節技に秀でた者は、関節を最密肢位にすることに長けているのだ。

 

 では、関節を治す技はどうなのか。実は関節を最密肢位に持って行き、そこからわずかな軽い衝撃を加えることで壊れた関節が正常な並びに補正される。つまり関節を最密肢位に持って行くことに長けた者が関節の施術にも長けてくるのだ。

 

 「武医同術」を唱えた先人がいらっしゃるが、武道(関節技)の要領と医術(関節施術)の要領は共通するところが大きい。したがって、関節技に長けると関節施術にも長けるというわけだ。