いつものようになじみの古本屋を歩いていた時のこと。

確か冬のことだったと思う。

 

大体自分の読書傾向としてビジネス書、ノンフィクションなどが8割、小説2割の比率なので、やはりよくいくのはビジネス書などのコーナーになりがちで、小説は目当てのものがある時くらいしか行かないのですが、このときは

 

「たまには小説も読まないとな。世界観のショボい人間になってしまう。」

 

という発想が頭に浮かんで、ふらりと小説コーナーに立ち入りました。

 

で、この『優美なハリネズミ』のタイトルと表紙みて、ジャケ買い?してしまいました。

明らかに名作であるとは思えなったのですが、なぜか惹かれるこの表紙。

 

さっそく読んでみるぞ!と思い立って買ってから半年近く放置されていました(笑)

 

で、先日バーベキュー会場の場所取り係になった際に一気に読みました。

 

ー以下感想ーーーーー

 

あらすじ。

 

高い知性を持ちつつも、敢えてアパルトマン(アパートの管理人)の典型を装って生きる未亡人のルネと、天才的な頭脳を持ちつつも家族や世間のくだらなさに絶望し自殺を志願する少女パロマ。この二人の交互の独白によりストーリーは進む。哲学、映画、音楽、絵画など様々なテーマに話は飛びながら、マンションの住人の様子をユーモアたっぷりに皮肉っていく。

 

面白い点。

 

今までに読んだことのない作風。「マルクス経済学」というような高尚なものから「マンションの管理人はこうあるべき」という俗世的なものまでフランスの様々な常識を知ることができる。また、俗世的なマンションの住人達に対するルネやパロマの批判的な視点の切り口が面白く参考になる。

 

感想。

 

不思議な小説で、どこか幻想的な箱庭のような感じがある。

ルネとパロマの視点がそれぞれ書き分けられていて作者の力量を感じる。

ただ、フランス文化に対する知識が乏しく、ネタがわからないところもあった。日本版でこのスタイルの小説が出版されたらもっと楽しめることは間違いない。

衝動買いだったが新しいタイプの小説に出会えて満足!

 

 

 

 

優雅なハリネズミ