トランプは復活を賭けている
10月13日にトランプ前大統領は、アイオワ州の政治集会で
演説したという。
米国ではいよいよ来年の中間選挙モードに入りつつある。
ほとんどの米国政治のコメンテーターが指摘するように
共和党は未だに 「トランプ党」 のままである。
事実、同日にはグラスリー( Charles Ernest Grassley)
上院議員が登壇し、トランプを大歓迎している。彼は
来年の選挙で8期目を目指す超ベテラン議員である。
共和党内では最古参といっても良いのだが、今年2月
には、トランプを批判するメモを公表していた。要は
1月6日の議事堂乱入事件について、大統領の姿勢を
批判する内容であったのだが、自分の選挙が近づくと、
一転してトランプ人気に迎合する姿勢を見せたのである。
実際、共和党支持者に対する世論調査では興味深い
結果が示されている。
すなわち、共和党支持者の67%がトランプに大物の政治家
として残ってほしいと考えており、かつ44%が24年の大統領
選挙に出馬することを望んでいるという。
トランプは今でも、2020年の選挙は盗まれたものであり、
勝者は自分だと言い張っている。
民主主義の大原則は、選挙で示された民意を尊重すると
いうものだが、トランプはこれを無視する姿勢を崩していない。
これとは別の調査結果をみると、2020年に大統領選挙に
投票した人のうち1/4の人は、2016年のトランプが当選した
選挙には投票していないというものがある。
つまり、ヒラリーの勝利を確信して(ないしは反ヒラリーで)
投票に行かなかった人の多くが、2020年には 「このままでは
まずい」 と考えて投票したことを示唆しているのである。
バイデン大統領下の米国政治は、厳しい分断状況を癒す
どころか、かえって深刻化させているようにも見える。
「民主主義の危機」とは綺麗に語られることが多いが、
トランプの姿を見ていると、うすら恐ろしく思えてくる。
なお、調査はいずれも Pew Research Centerによる
ものである。
67% of GOP want Trump to stay in politics, 44% want him to run for president | Pew Research Center