田中角栄さんへの

興味が高じて、

 

日本列島改造論

読みました。

 1972年6月20日発行の

この本は、当時90万部を超える

人気書籍だったそうです。

 

 古い本なので

今ではAmazonなどで

中古で販売されるだけ。

 

 1972年当時も

東京一極集中がすでに生じていて

地方都市の過疎化が進んでしまったことから

 

工業再配置と

交通・情報の全国的ネットワークの構築により

大都市から地方への

人とカネ、モノの流れをつくる

 

計画です。

 

 本によれば1972年当時の

東京都内の人口は

1,141万人、全人口の11%でした。

 

 現在は1,400万人

総人口の11.1%と、

当時と状況は

まるで変っていません。

 

 むしろ、総人口には外国人人口も

含まれるので、1972年当時より

東京一極集中が進んでいるように思います。

 

 コロナ禍で近年初めて

東京都から転出超過がありましたが

東京圏全体でみれば

今でも一極集中であることには

変わりがないと思います。

 

 日本列島改造論に書かれていることで

約50年後の現在、実現されていないのは

「工業再配置」です。

 

 交通と情報の全国的ネットワーク形成は

概ね、できているのではないかと

思います。 

 

 田中角栄氏は

 

工業再配置は

 

工業地帯を太平洋ベルト

地帯から、その他の地方にも

移転させることに加え、

 

公害が発生しないよう

規制や設備投資を行うことや

 

環境への配慮を

十分に行った工業地帯の周辺に、

 

公園や医療施設、学校、ショッピングセンター、文化施設などが集まり、人が豊かに、文化的に、健康的に暮らせるインダストリアル・パークをつくり、

 

また、工業が発展したように

農業も生産性の向上を図るべきであると

 

述べています。

 

 

 1972年当時に予想されていなかった事象が発生し、現在と比較して異なるのは

 

(1)公害はほぼ発生していない

  →しかし、地球温暖化対策が必要

(2)製造業は製造拠点を国内から国外へ移転している

  →しかし、コロナ禍でサプライチェーンの再構築が必要

(3)少子・超高齢化社会化が深刻化

 

 ざっくりこの3点ではないかと思います。

 

 このほか、田中氏は石油パイプラインをはりめぐらせる構想も盛り込んでいましたが、現在では石油一辺倒の時代も終わりに差し掛かっているのではないかと思います。  

 

 

 日本列島改造論の時代から

50年を経て、実現していない

「工業再配置」に着手するのであれば

 

海外から国内に製造拠点を移す際には

計画的に国が統制し、

地方に製造工場を配置したうえで、

 

もちろん、脱炭素型の工場になるよう

整備すべきであることは

言うまでもありません。

 

 さらに、少子・超高齢化が進んでいる

現状を鑑みれば、

機械化、IcT化による生産効率の

大幅な向上も必要です。


 

 人が暮らす快適な町については

現在、国も「コンパクトシティ」構想や

IcT化でさらに高度化した

スマートシティやスーパーシティなどの

構想を打ち出しています。

 

 こうした構想と

工業再配置を

うまく組み合わせれば

 

東京一極集中の流れが

緩和されるのではないかと

思います。

 

 一方で、農業については
生産性は向上していると思いますが

(調べてないですが)

第1次産業人口が

当時の17%(昭和15年ごろは44%)から
現在は5%程度まで低下しており、

食料自給率は、37%まで低下しています。

 角栄氏は第1次産業人口を

第2,3次産業人口に振り替え、

60年代に7%まで下げられれば、

と書いており、

この点については、達成されているように

思います。

 

 一方、食料自給率については

国際情勢の影響を受けないレベルとして

角栄氏は80%が理想であると述べており、

この理想からは完全に乖離しています。

 角栄氏の理想は、

夫婦・親子が共に暮らし、自分たちで食べる米や野菜を作り、自宅から通える工場に勤める。

 

 そういう国民の暮らしでした。

 

 この点からは第1次産業人口を増やすか
あるいは生産性をさらに向上させる取組が必要です。

 

 ・・・っていうのは簡単なんですよね。

 

 田中角栄さんがご存命だったら、

 

今の状況に激怒し、

世の構造を変えてくれることでしょう。

 

 東日本大震災が発生したとき、

現地のお年寄りがこうおっしゃったそうです。

 

「田中角栄さんがいたら・・・・・・」

 

 

 最後に日本列島改造論の一説を。

 

・・・・・・・・・・以下、引用・・・・・

 昭和60年の日本の総人口は約1億2千万人に達し、いまの大勢のまますすめば、その80%以上が都市生活者になると想定される。しかし、これらの都市生活は必ずしも東京や大阪など既存の巨大都市に集まり住むことを意味しない。工業再配置をテコとする地方開発によって地方に職場を作り、地方の所得水準を高め、公園、上下水道などの生活環境を整え、医療、文化、娯楽などの優れた社会環境を提供すれば、人々の多くは必ず地方に定着するはずである。その時初めて大都市の秩序ある発展と、都市と農村が共に繁栄できる道が開かれるだろう。このための先行投資は国民経済の将来から考えてみて、いちばんメリットの高い投資である。

・・・・・・引用終わり・・・・・・