アホウドリ➂ | 矢的竜のひこね発掘

矢的竜のひこね発掘

ご当地在住の作家が彦根の今昔を掘り起こします。

 絶滅寸前まで追いつめられたアホウドリを題材にした「舞い上がる島」をキンドル本第5弾として発売する準備もなんとか進み、表紙の絵も出来上がった。

 

 タイトルについては最後まで悩んだ。子育てを終えた無数の鳥が一斉に飛び立つ光景は、まるで島そのものが空に舞い上がるかのような錯覚を抱かされた。そう語った人の言葉を転用させてもらった訳だが、鳥と島の漢字はよく似てるので誤読されるのではないか。

 

 そこで島の代わりに嶼という漢字を使おうか、と考えた。島嶼といった具合に使われる漢字で、漢和辞典を見ると嶼には「小島」という意味がある。

 ところが「舞い上がる嶼」と表紙に載せてみると、バランスが良くない。結局、元のタイトルを踏襲することにした。

 

 かように本のタイトルは最大の難問で、いつも苦労する。タイトルだけで話題独占した例はいくらでもある。団塊の世代の筆者の記憶に焼き付いているのは「限りなく透明に近いブルー」だ。

 村上龍のデビュー作で1976年に発売されたこの作品は第75回芥川賞に選出され、ベストセラーになった。

 

 有吉佐和子の「恍惚の人」は1972年に新潮社から発売され、認知症が一気に注目されるきっかけを作った。ネットによると72刷を数えるロングセラーとある。

 

 筆者が「三成最後の賭け」の発行元である新潮社を表敬訪問した際、この別館ビルは「恍惚の人」で建ちました、と教えてくださった言葉が脳裏に焼き付いている。

 

 表紙の絵も苦労したが、なんとかまずまずの出来に仕上がった。ところが出版手続きの段階で間違ったボタンをクリックし、予約販売のリストにあがってしまった。これを修正しようと試みたが、なんだかんだと難しそうな手順がいるようなので諦めた。

 すんなりいけば2~3日前に発売できていたところ、12月30日発売となった次第です。お読みいただければ幸いです。

 

 本年も「矢的竜のひこね発掘」をご覧いただきありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。

 どうぞ、よいお年をお迎えください。

 

 近日発売!