上七日の御本尊が大観音様、下七日の御本尊が小観音様ですので、
下七日になる前日の三月七日に入れ替えが行われます。
後入(ごにゅう)前の午後11時から、後夜の走りでは、
観音様を驚かさないようにとの配慮から、
五体投地(ごたいとうち)は格子にぶら下がって体を打つ「ツレ五体」になります。
(以下、日程)
籠松明くじ引き
正午
食堂作法
日中上堂・内陣掃除
午後1時
日中
数取り懺悔
下堂・入浴・仮眠
午後2時
小観音(こがんのん)花ごしらえ
版木湿し
午後4時
お目覚(おめさ)
日没上堂・内陣掃除
午後5時
日没
例時作法
内陣掃除・小観音(こがんのん)出御準備
午後6時
※時香の案内・小観音のご出御(しゅつぎょ、本尊を入れ替える。内陣の東側に置かれていた小観音の御輿を礼堂の北側に遷し、荘厳(しょうごん)して祈りを捧げる[出御])。
練行衆出仕。雅楽の演奏あり。御宝前を荘厳したあと、処世界以外の練行衆下堂。
手向山八幡宮宮司と堂童子が残り、御厨子の警護にあたる。
三度の案内(時香の案内はすでに済んでいるため、2回)
午後7時
初夜上堂(松明10本)
練行衆上堂。上堂後すぐ、御厨子前で礼拝する。
通常は差懸(さしかけ・練行衆が履く木鞜)を踏み鳴らし上堂するが、
小観音への配慮から静かに上堂し内陣へ入る。
初夜
午後8時のおわりごろ
大導師作法(神明帳)
午後9時
内手水
午後10時
咒師作法
午後11時
半夜
内陣掃除・本手水
走り
*修二会をはじめた実忠和尚[じっちゅうかしょう]の伝説に由来する行法。
5,6,7日、12,13,14日、半夜の時の後に行われる。
笠置[かさぎ]の山中で兜率天[とそつてん]の菩薩たちが行う法要に感動した実忠は、
人間界でもこれを行いたいと考え、一昼夜が地上の400年にあたる天界に追いつくため、
走って行を勤めることに約したという。
練行衆は足袋裸足で内陣を走り、次々に礼堂[らいどう]に走り出て五体を打つ
香水(こうずい)授与
*観音様のお下がりとなるお香水が授与される。
走りの行法の後、練行衆や三役らに続き、聴聞者に配られる。
局の格子から両手を出し待っていると、
手のひらに香水を少しだけ頂くことができる。それを口に含んだり、手や足に刷り込んで功徳を授かる。
午前0時
後夜
小観音後入り準備
小観音後入り
午前1時
大導師作法
咒師作法
午前2時
晨朝・下堂・就寝
(参考:『東大寺お水取り 二月堂修二会の記録と研究』小学館より)