青空文庫 | ドット模様のくつ底

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青空文庫


青空文庫は、著作権が消滅した文学作品を
無料で読むことができる電子図書館です。


有名な文学作品でいうと、

「吾輩は猫である」「こころ」「坊っちゃん」  夏目漱石

「人間失格」「羅生門」  芥川龍之介

「銀河鉄道の夜」  宮沢賢治

「蟹工船」  小林多喜二

「遠野物語」  柳田国男

などの作品が公開されています。


著者の没後50年を著作権保護期間としている
現行制度において、

その期限が消滅した作品や、

掲載の許可を得た作品などを合わせると

収録作品点数は、約12000点を超えています。



青空文庫が立ち上げられたのは
今から16年前のこと。

富田倫生氏(今年8月に他界)が中心となり
その普及に貢献されました。

ネットユーザーにとって、
今や当たり前のように活用している
Googleや、iモードもない時代です。


氏が中心となり、
手作業で入力された文学作品を
順次公開していきました。

   
作業はボランティアで行われ、
これらの公開作品の閲覧や2次利用は無料です。




これは今年7月ごろ話題になったことですが、

環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉過程で、

著作権保護期間について、
米国が日本に対し「死後70年」とするよう要望しており、

保護期間をめぐる論議が巻き起こっています。



欧米など主要国と合わせるべきとすれば没後70年までの
保護期間延長が妥当となるわけですが、

そうなることで、
現行で利用可能となっていた過去の著作物利用に
制限が発生するため、反発が起こっているのですよね。

青空文庫においては
当然反対の立場をとっています。

今まで閲覧可能となっていたものが、
見られなくなってしまい、

公開できる作品の点数も大幅に減少してしまうからです。

たとえば、

有名な作家名でいうと、

現状
夏目漱石、太宰治、宮沢賢治、芥川龍之介、柳田国男などの
文学作品が無料で読めるのですが、

これが没後70年になると、

柳田国男は、今年没後50年を迎えたところで、
作品が公開されたばかりですが、

これは閲覧できなくなりますし、

今後、現行でいくと
あと数年後に閲覧可能になっていく作品の作家では、

2016年に谷崎潤一郎、2018年に山本周五郎や、
2021年に三島由紀夫がいますが、

この方々の作品の無料での公開閲覧が、
さらに20年延長されるということになります。


早く読みたければ出版元から
作品を購入すればいいことではありますが、

青空文庫のような活動はネットユーザーにとっては
たいへん有難い存在です。


日本にとっては
保護期間延長によるデメリットも多くあり、
今後、慎重に議論されていくことになりそうですね。



参考: 日経産業新聞 2013.7.21付





それでは今日も皆様が
健康で幸せに過ごせますように。


(作家・敬称略)