河瀬直美監督と東大寺の大仏蛍 | ドット模様のくつ底

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奈良が好きなライターの瞬間ブッダな日々の記録。
福祉的な目線から心の問題を考えています。

2年以上前のですが、

奈良在住の映像作家である河瀬直美さんが、

カンヌ国際映画祭でカロスドール賞を受賞されました。



私は2009年に監督とお仕事させて
頂いており、

2009年バージョンの「火垂」を拝見しました。


この作品は、

ストリッパーあやこと陶芸家の大司、

お互い大切な人をなくしたばかりの心に傷を負った二人の

純愛ラブストーリーです。


育った環境からストリッパーになる主人公の心は

感受性豊かであり、すごく純粋です。


自分がこの仕事であることを大司に告白するシーンでは、

壊れそうなほど繊細で複雑な心境が伝わってきました。


ちょっとリアル過ぎて理解するのが難しい部分もありますね。。。

裸で踊っちゃうの?そんなところで??っていう。



映画のはじめのあたり(だったと思います)で、


主人公の子どもの頃の回想として

東大寺の修二会のお松明のシーンがあるんですよね。

この映像が印象的でした。


また元興寺の地蔵会が映像で出てきたりもします。

東大寺と元興寺の関係は、
「僧力結集」でも書かれていますが、
僧侶同士が親戚である人がおり、
戦後まもなくの福祉事業を支えあったりしていました。


映画制作当時、
東大寺管長だった方が、
上司永慶師(第215世別当)で、
制作を支援されていたそうです。

10年以上前のこと。

上司永慶管長は、
任期途中で遷化されました。

連絡を受けてすぐに
河瀬監督は弔いに行かれたそうです。

そのとき、
永慶師の枕元に

蛍が飛んできて留まったとか。

「火垂」と書いて「ほたる」と読みます。

蛍は梅雨前くらいに

環境のいいところで観られるものです。


永慶師の遷化の時期と重なりました。

永照師にこのお話を伺ったのですが、

東大寺で観られる大仏蛍も

河瀬監督とともに、

永慶師の自坊まで弔いに

訪れたのだと思いました。