紅白歌合戦は生放送なので、さまざまなアクシデントが起きる。
裸っぽいスーツを着て踊っただの、ステージでギターに火をつけたりシャンパンをぶちまけただの、歌や歌手の名前を言い間違えるだの、そのへんはもうニュースにもなったし語り伝えられている。


しかし、とある昭和の紅白歌合戦のハプニングはあまり話題にならなかったと思う。
私は共演したプロミュージシャンから飲み会の席で聞いた。


昔、NHKの紅白歌合戦は今とは違って本当に「歌合戦」だった。
中継もなく、つなぎの出し物もほとんどなかった。
ロックやエレキが不良のアイテムというレッテルを貼られていた時代、NHKにロックバンドやロック歌手が出る事もなかった。
なので、伴奏は始終固定のバンドメンバーだった。


ゲネプロ(本番どおり通しの舞台練習)も含めると長時間演奏する事となる。


ある年、バンドのドラマーがトイレに行けなかった為に、なんと本番中に失禁してしまったらしい。


ところが、そのドラマーは最後まで演奏し続けたのだそうだ。

衣装も、ひょっとしたら楽器も汚してしまい、広げた股間が冷たい中平然と間違えずに叩き続けたという事である。
臭いもあったと思うが、怒られるどころかまわりから、そしてバンドマスターからも「最後までよくがんばった」と絶賛されたという事である。


最近はすごい派手な衣装の出演者がずいぶん増えたけど、どうやってトイレで用を足すんだろう?って思うね。
小林幸子さんなんか、衣装の中にトイレも完備されているんじゃないの?


私は・・・これまで本番中トイレに行きたくなった事はないなあ。
過去に後輩があまりに使えなくて(動かなくて)ゲネプロ中舞台から離れられなかったという事はたくさんあったけど。


もっとも今となっては年をとったし子供も産んであまり我慢のきかない体。
最悪の場合ミュート用のマフとか突っ込むかなあ(←きったないよ)。