今日は雨降りなので、昔の事などをつづっていこうと思います。

今から40年以上前、ヨガで言うクンダリーニが上がってしまった私は、まともに働くことが出来なくなり日雇いの仕事ばかりをして食いつないでいました。

夏場の暑い盛りに倉庫内の作業をしていた私は、30度以上の気温で体調を崩し、しばらく仕事を休む事になりました。

お金も無くなり、さりとて冷房の無い倉庫内での作業はもう体が持ちそうも無いので、悪友が勧めた銀座のクラブのウエーターをやってみる事にしました。

さっそく履歴書を書き面接に向かいます。

飲み屋の場所は資生堂本社ビルの近くの雑居ビルの中でした。

面接に向かうとさっそく恰幅の良い店長さんが居て、話がはずみ即採用という事になりました。

最期に店長、「ところで、今日はこれから予定は有るのか?・・・」

といきなり言い始め、「良かったら今日からやってくれないか?」

私、「「えっ・・・」

突然だったので驚きましたが、せっかく採用が決まったので、ここで断ると、次に来た人に職を奪われる可能性があるので、致し方なくその日から働くことになりました。

 

本当はウエーター募集と有ったのですが、調理場のチーフが使い込みが発覚して首にしたらしく、急遽私が飲み屋の料理番に抜擢されてしまいました。

店長、「晩飯を食わせるから、今日のお通しの作り方を今連れてゆく割烹のサザエのつぼ焼きを見て覚えてくれ。」

と言うわけで同じビルの中にある割烹へ入りました。

さっそく、サザエのつぼ焼きを注文して、その作り方と盛り付け方を現物を見ながらのレクチュアーを受けます。

まあかなりいい加減なものです。(笑)

お客さんは料理目当てではないので、料理はお飾りなんですけどね~。

 

材料は仕入れて有りますので、だし汁の中にサザエの細切れを入れて軽く味付けです。

自炊はしていましたので、料理は一応こなせはしましたが。

こちらは素人ですので、出しの引き方も習ったわけでもないのでいい加減なものです。

煮たサザエを元の貝に戻し、三つ葉の葉を乗せて完成です。

客に持っていく時は、下の砂利にアルコールを掛けて火をつけてテーブルまで持って行きます。

よくもまあ、銀座の会員制の高級クラブのお通しが、そんな素人の作ったものを出せたものだと、今更ながらあきれ返ります。

 

のちにこのサザエが豚でもない危機を迎えるのですが、もう時効ですので、それは次の回でお話します。