本当は6人。

 一人は陶芸家。登り窯を作りアチバイヤで製作販売をしている息子さんも陶芸家だ。夫も20年前に出会っている。奥様は「はまこさん」という。夫は自分の友人に同名がいるのですごく親近感を持っている。よく覚えている。私にも「いい人だろう」と言う。彼女は夫の焼き物に絵を描いたりしている。作品もたくさん見せてもらった。会いたいと思ったのはこの顔の焼き物が面白いと思ったから。     

 息子さんの作品だとか。にこやかな顔が一番好き。机に前に置きたいと思った。お義姉さんも同じことを感じてすごいと言っていたら甥っ子がその窯元に連れて行ってくれた。ご夫妻の作品。

     

 お土産に「垂れない醤油さし」を買った。どことなく息子さんの作品の「3面体」に似ていると思った。息子さんはインターネットなどで作品を販売している。お父さんの方は「ついていけないので息子に任している」と言っていた

           

 あとご夫婦。旦那さんは目医者さん、奥様は日本食のレストランを経営している…こういう立派な人は私の世界にはいないと思って1度出会っているのにすっかり記憶を飛ばしていた私・・・2年ほど前に来日した時しまなみ海道を案内したことがある・・・そうな。覚えてはいるけど「この人」という自信はない。彼女はしっかり覚えていてくれていた。甥っ子が会う機会を作ってくれて「日本食レストラン」に行き御馳走になった。目医者さんは、苦学して医学部に行き開業した。今はビル1棟眼科関係にしている。奥さんは実業家みたい。事業熱があり、いろいろなお店を経営してきて今があるのだそうな。以前は人を使って縫製事業をしていたのでまだ家にミシンが何台も「転がっている」(奥さんの弁)らしい。会ったときは「明日から内陸の池なのに砂浜ができるところに1週間ほど旅行に行く」とのこと。甥っ子に言わせると彼は(目医者さん)そんなところを見つけてきては遊びに行っているとのこと。留守中は娘さんにお店を任せるのだそう。

 義姉さんは気分がよくなったのか、お酒は飲むは!ビールは飲むは!お酒の弱い家系なのでそんなことは1度も聞いたことも見たこともない飲み方、「コップ1センチ入れて」と言いながら何度も飲んでいた。翌日そのことを言うと「そんなこと私は知りません。お酒なんか飲んだことない」と言い張った。

 

 もう一人は60年前に40日間の船旅で花嫁としてブラジルに来た人。旦那さんが8年前に亡くなってからアチバイヤに来た。甥っ子夫婦と仲良しだ。

「できすぎた野菜をもらってもらうので会いに行くけど叔母さんたち行く?と誘ってくれた。私はそんな境遇の人の話を聞きたいと思っていたので2つ返事。82歳のご婦人。義姉と話が合って楽しそうだった。

 40日の船旅の苦労や酪農の仕事などつらかった日々もあっただろうに朗らかに話していた。最後に甥っ子のお嫁さんと2人で「ブラジルに来てよかった。ここで暮らして幸せだった」と言い合っていた。心底そう思っていることが分かって私もよかったと思っている。

 

 甥っ子と陶芸家、眼科医さんはブラジルに来たとき同じ人に世話になったそうだ。コーヒー園を経営していた人で、「僕に世話になったお礼はいらない。次の時代の若い人を世話して、その人たちを育ててください」と言ったそうだ。夫はその人に出会っている。

 「僕は日本でイマジと言う所に行きましたよ」と言ってたそうだ。よくよく話してみたら「今治」市の事だった。

 今は彼も亡くなって、そのコーヒー園もない。

 甥っ子はその人の遺志を継いでいるのかよく人の世話をしている。