2、友人の手袋を編むこと

 片手に5日かかった。両手で2週間。家事の合間に取り掛かった。出来栄えはもう一つ。

 これには私の脳力テストの意味もあった。

 2年前、編み物をしていてショックな出来事があった。セーターや靴下を編んでいたのに、段数や目数が合わなくて「私はボケてきたのかな?」と思った。

 母親が80過ぎて編み物をしていたころ、あれほどきれいだった編み目が不揃いになり、目数もあやふやになっていた。

それを思い出したので「ボケ始めたのかな?編み物はやめ!」と2年間封印していた。材料も義姉に渡してすっかり始末したつもりだった。

 編み物ができないという若い(私より)友人に一言「手袋!編んであげようか」と言ったのがやぶへびだった。私の思っていたものより注文の多い手袋だった。「5本指で、第2関節まであるもの」早々と買ってきた2色の毛糸。おまけに彼女の手は華奢。私の指や手ではサンプルにならない。

 編み棒を探し、編み始めた。手がブランクを物語り、網目がそろわない。認知症の検定を受けるつもりで、せっせとと編んだ。片手ができるころに「カン」を取り戻し何とか仕上がった。