友人が「読んで」と貸してくれた本

「北斗は冴えて 山河遥けし」  武井 知

 著者はどうも彼女の叔父さんみたい。「著者はあなたの叔父さん?」と聞くと、「この本を出版してから第2弾をと言われたのだけど、認知症が出て叔母がお断りしたのよ。87歳で亡くなったの」という。

 樺太、サハリンの著者の体験記。「体験記」などという言葉でくくってはいけないけど。武井さんちは松山の出身。樺太で育って教師をしていた。「理数系の叔父がこんな本を出版したのに驚いた」とも言っていた。

 私は樺太についてほとんど知らなかった。日露戦争後半分日本の領地になっていたけれど、第2次世界大戦後ソビエトにもどされたということくらい。

 いま日本は北方領土を返せと言っているがそのニュースのほとんどは国後や択捉。帰りたい島民のニュースなどが報道されている。確かに返してもらいたいと思う。北海道旅行の時すぐそこに見えた島。

 でも、樺太で悲しい出来事があったことを知らなかった私。 あまりにも知らないことがこの本に出てくるので、もっと樺太を知りたいと、その関係の本を借りに行った。

 司書さんに聞いてとりあえず手に入った本は「樺太地上戦…終戦後7日間の悲劇」という本だった。

 今、私は武井さんの本の第2章…終戦前夜の項とその本とを平行して読んでいる。「ソビエトが攻めてきて闘い、攻撃される人の話」と「逃げてくる人たちを避難させて、迎えた。そこへも攻撃されている」武井さんの話。その悲惨さが伝わってくる。

 後半は武井さんがソ連領となったところで働き、残っている日本人(彼も含めて)が引き上げるまでの話だ。そして巻末には当時の樺太の様子などが書かれている。

 そうなんだ。樺太ってこんなところだったのだ。初めて知ったことばかり。

 著者にはもっと長生きしてもらって、第2弾3弾と書いてほしかった。お会いしてお話をもっと聞きたかった。

 でも、今だから、この年になったから、この本に会えたかもしれない。

 人間いつまでも勉強だね。知らないことだらけ、知りたいことだらけ。

「樺太」の本をもっと探してみよう。