原爆症の認定申請を却下された東京都などの被爆者30人が、国に処分の取り消しを求めた東京第1次訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。稲田龍樹裁判長は国が昨年4月に導入した「新基準」で対象外となった原告10人のうち、9人を原爆症と認定、却下処分の取り消しを命じた。原告30人のうち1人を除く29人が原爆症と認められた。

 

 判決は新基準では対象外の肝機能障害や甲状腺機能低下症などを抱えた原告も原爆症と認めており、国が定めた救済範囲をさらに広げた形。一連の集団訴訟は2006年の大阪地裁判決以来、国の敗訴が続いており、今回で18連敗。原告側は各訴訟の一括解決を求めており、早期解決に向けた政治決着の行方や被爆者行政の見直しが焦点となる。

 

 被爆地に入った「入市時期」が投下から13日後だった男性原告1人については、放射線の起因性を認めなかった。1人当たり300万円の支払いを求めた損害賠償請求も一審と同様、棄却した。


公務員の不祥事 ( 関東地方etc )-原爆症訴訟
勝訴を喜ぶ原告団=28日、東京・霞が関


<日本経済新聞>