ウイングアークが帳票サービス新版 クラウド対応も急ぐ

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1004/26/news075.html

2010年04月26日 21時30分 [藤村能光,ITmedia]の記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、「ウイングアーク テクノロジーズは4月26日に記者会見を開き、帳票サービスの最新版「Super Visual Formade(SVF) バージョン9」の提供を7~8月に開始すると発表」とあり、同サービスのクラウド化も進めまっせとの内容。

「ウイングアーク テクノロジーズ」のHP
 ↓
http://www.wingarc.com/

「Super Visual Formade(SVF)」の紹介ページ
 ↓
http://www.wingarc.com/product/svf/

「SVFの概要」などの紹介ページ
 ↓
http://www.wingarc.com/product/svf/outline/about.html

上記のSVFとは、何なのかと言うことなのですが、「帳票出力基盤」と言えますが、同ページぁらの概要から抜粋致しますと以下のようです。

「企業システムの業務アプリケーション開発を効率化するために、帳票システムの分野で、これまでのスクラッチによるシステム開発によらず、ソフトウエア部品による「繋ぐ・組み合わせる」手法によって、短期構築・早期サービスイン、さらにシステム基盤の上で一元的な帳票運用を永続的に続けられる基盤ソリューションをご提供しています。」

概要から読み取ると帳票出力用の基盤となります。
そのSVFは、多くのERPに採用されており、財務諸表、管理会計帳票の出力などに採用されているものです。
今回、ウイングアーク テクノロジーズは、そのSVFに「Webによる帳票運用を簡単にする機能を追加」したバージョン9の販売発表を行ったのですが、ここで注目すべきは、この帳票基盤であるSVFもクラウド対応を視野に入れたSaaSの開発を公式に述べたところでしょう。

「SVFのクラウド対応も進めていく。サービス基盤に米Amazon Web Servicesの「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」を採用し、EC2の仮想サーバ上で動作させたSVFから、基幹系システムの帳票を印刷するサービスなどを開発している。クラウド化の進ちょくは「30~40%」(営業統括本部 SVF戦略室 谷口功室長)であり、「帳票をクラウド上で運用できる可能性が出てきた」という。」

ERPの財務会計処理でボトルネックになってくるのは、実は、膨大な量データ集計後のの帳票出力である。
これは、非常にサーバに負荷を掛けてしまうため、良く使われるのは深夜によるバッチ処理を実行させ、帳票出力(PDF化)を行い、通常の昼間の業務と重複しないように時間をずらしたりする。
ただ、それではどうしても自前のサーバの能力に限界があり、極稀に深夜では帳票出力が終らないなどもままある時もあるようです。

それを米Amazon Web Servicesの「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」を採用して、自前サーバの負荷を分散させることにより、高速で帳票が出力出来ると言うならば、非常にその使い勝手は相当よくなる。

出力のレイテンシ(遅延)は、ある程度見込むとしても、AmazonEC2の負荷分散処理の設定を従量制で行えば、料金的にも自前サーバを持つより、高速で処理を完了できるのではなかろうか。
開発の進捗としてまだ30~40%と言うことなので、直ぐにSaaS版の発売は無いだろうが、ついに帳票基盤においてもクラウドの波はやってきたと見るべきだと思う。

「レイテンシ」とは何?って方は、以下参照。
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7


そもそもSVFは、連携通信にXML形式のものを採用しているので、XML-PRC形式でデータを送り、期日までに帳票として生成してくれたら言い訳であるからバッチ処理をもAmazonEC2と組み合わせる事で業務も効率化が期待できる。

ただ、現在のSaaSの売上高にも言及しており、

「ウイングアーク テクノロジーズでは約3年前からSaaS(サービスとしてのソフトウェア)事業にも取り組んでいる。内野弘幸社長は「売り上げ全体で見ると1%に満たない」と話す」

と言う。ただ、興味深いのが以下のコメントである。

「SVFのサーバの切り替え期間は7~8年。この時期に企業のクラウド(サービス)への乗り換えが進む」

要は、SVFのサーバ切り替え後に、順次、クラウドサービスに乗換えが進むと判断しているのである。

「1万6000社(2月現在)に上るSVFの採用企業に「選択肢を提供する」目的で、クラウド化を急ぐ。クラウドサービスの提供は2010年度内を予定している。」

とあるように、1万以上の企業がSVFを帳票出力基盤として採用しており、今後、自前所有のパッケージとクラウドサービスの両建てで戦略を立てることとなりそうだ。
結局、パッケージ販売で進めていた当社の帳票システム販売でも、クラウド・コンピューティングの加速度は無視し得ないと言うことだろう。

実際、バッチ処理系の集中的な処理に関しては、米国ではAmazonEC2などを使い、負荷分散を行い、時間短縮とコスト削減をすることが多くなっていると言う。その様な面からもこのSVFのSaaS開発の動きは注目に値するもので、他の帳票基盤のパッケージも順次、SaaS開発に参入していくだろうと考えられる。

ERPパッケージ開発者もクラウド・コンピューティングの利用と言う視点で、今後は無視できない点になることは確かのようだ。