SaaS型CRM製品の最新版「Oracle CRM On Demand R17」発表
「BI、情報管理、価格でセールスフォースに勝つ」日本オラクル

2010/04/22 @ITの記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、日本OracleがSaaS型CRMアプリケーションの最新版「Oracle CRM On Demand R17」を発表し、「売上予測を行うBI機能や、パートナー企業の案件情報を管理できる情報共有機能を強化したほか、ユーザーインターフェースの利便性も向上」して、先行するセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」に対して対抗しうるものを売っていきますよってな内容。

「日本オラクル」のHP
 ↓
http://www.oracle.com/lang/jp/index.html

「「Oracle CRM On Demand」のページ
 ↓
http://www.oracle.co.jp/campaign/crm/products/ondemand.html

いよいよ、日本OracleもSaaSに手を伸ばしてきましたという感じでしょうか。
前のブログでは、米国オラクルが医療業務に関して、ピンポイントでクラウド事業に参入していくだろうと書きましたが、オラクルはなぜか、ダイレクトにセールスフォースの十八番であるCRM市場に機能強化した商品を投入してきました。
以前からややOracleは、クラウド・コンピューティングには静観的立場であったのですが、どうもそのような状況ではないことがいよいよ持って見えてきたといえるかもしれません。

記事には、「SaaS前提の提案依頼が急増」とあり、以下の様に日本オラクルは述べている。

「日本オラクルによると、新規システム構築に当たって「SaaSの活用を前提に考えている企業がここ1~2年で大幅に増えた」という。」

実際の新規システム構築でSaaS活用前提の企業が増えていると述べている訳だが、これが無視し得ないほどの期間で増えているというようである。なぜならOracleと言えば、RDBではその優位性は、高価ではあるがほぼ不動であるからシステム開発市場では、安定しているはずである。
そのOracleがわざわざある意味、パッケージ販売とは間逆のSaaS市場に入ってくると言うことは、1~2年間での市場のパラダイムシフトが思ったより、急速であることを指していると思われる。

「中でもCRMについては、SaaSの手軽さも手伝って、以前までは部門ごとに単独で導入するケースが中心だったが、「最近は蓄積した情報の有効活用、ITガバナンスの徹底、コスト削減といった観点から、既存システムとのインテグレーションを重視するケースが増えつつある」(日本オラクル 常務執行役員 CRM On Demand 統括本部長 藤本寛氏)という。」

と日本オラクル 常務執行役員 CRM On Demand 統括本部長 藤本寛氏が述べているように、SaaSの手軽さとコスト削減の傾向が、更に2009年から増加していると言う現実が迫ってきたと推測することができる。
バックエンドシステムの巨艦であるOracleですら安泰な立場ではないものが、既に起こり始めていると感じたわけだ。

そこで、先行するセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」の急激な成長が、Oracleとしても無視できないものとなり、その成長に歯止め及びライバルとして名乗りを上げる形でSaaS商品を投入してきたのだろう。
とは言え、先行する「Salesforce CRM」は、その急激な成長が示すとおり、性能や機能面でも優れており、何とかして機能などの差別化を図る必要がある事となる。そうしないと、後発の商品は、なかなか占有されている市場で食らい付いて行くことは難しい。

Oracleの差別化戦略は、以下に列挙される機能に象徴されるものであるようだ。

・ユーザーの使い勝手を高める「省力化」
・データの質と鮮度を維持するとともに、さまざまな角度で分析できる「データ活用」
・パートナー企業と情報連携する「チャネル活性化」


の3つを軸に機能を強化したとある。

yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-3つのBI機能強化
※「省力化」「データ活用」「チャネル活性化」を軸にBI機能などを強化 @ITより

「省力化」については、以下の通り。

「営業スタッフが自分のスケジュールなどを入力する際、過去に入力したデータをコピーして使い回せる「レコードコピー機能」を強化し、入力の手間を大幅に削減した。顧客情報や案件情報、あるいは特定の顧客企業の商談競合会社など、見たい情報をワンクリックで一覧できる機能も確保し「クリック数の削減に努めた」。」

「データ活用」については、以下の通り。

「無償のオプション機能「Oracle CRM On Demand Sales on the Go」を用意した。ノートPCに保存したプレゼンテーション資料を使ってPC画面を見せながらのプレゼンを行うことがよくあるが、「いつ、どの顧客企業に対して、何を目的に、どのプレゼン資料を使ったのか」といった詳細な活動記録を、その場で、あるいは商談後に手軽に記録することができる。また、オンライン状態になれば、その情報をOracle CRM On Demand R17にワンクリックでアップロードできるという。」

yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-取引先の関係者の人脈などを可視化
※取引先の関係者の人脈などを可視化することもできる @ITより

「チャネル活性化」については、以下の通り。

「パートナー企業が持つ案件情報の共有機能に加え、代理店をセグメント化して適切な代理店、適切な担当者にアサインできる「代理店審査機能」や、パートナー企業の営業スタッフに向けた「教育用プログラム」、共同キャンペーンプログラムを展開するための「情報共有機能」、その結果を分析する「代理店のパフォーマンス測定機能」などを装備した。」

とある。

非常に、記事を読むとユーザー視点での連動と使い勝手に拘って、機能強化を図っているようである。
その点では、日本人好みのCRMを提供出来ているのかもしっれないので、「Salesforce CRM」との差別化に大いに貢献できるのではないだろうか。

また「ERPをはじめ、既存システムとのデータ連携も容易」と記事にあるように、既存システムとの連携も十分に考慮された仕組みを考えているようである。

「既存システムとのインテグレーションに対するニーズに応え、Ajax、Flashを使ったオープンな技術基盤を採用しているほか、カスタムオブジェクトを使って「ERPのデータをOracle CRM On Demand R17に流し込む」など、既存システムとのデータ連携もスムーズに行えるよう配慮したという。」

「バルクロード機能もポイントだ。R16では顧客データなどをデータロードする際、一度にロードできる件数は3万件が上限だったが、R17では「約100万件のデータも一度でロード可能」。これにより「データロードを小分けにして行う手間がなくなり、データメンテナンスの効率が大幅に向上する」(山瀬氏)という。」

「インテグレーション」って何?って方は、以下参照
 ↓
http://www.shinki-kaitaku.com/s07_word/a/i74.html

「Ajax」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://e-words.jp/w/Ajax.html

「バルクロード機能」
 ↓
大量のデータをOracleデータベースにインポートできます。バルク・ロードは、SQL*Loaderユーティリティを使用して実行。
(SQL*Loaderの詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。)


上記、記事の内容のように非常に従来の機能を更にパワーアップした形で連携機能を強化している。

・価格は1ユーザー当たり月額7989円(税込み)

藤本氏は、最近のSaaS事情として、急速に浸透しつつあり、インテグレーション需要が高まっているとあり、確実に基幹システムに組み込まれていくだろうとコメントしている。
要するに、ERPが支えていた基幹業務の一部がSaaS化していく速度は、今現在、思われている以上に早いと実感しているのだろう。

最後に、同氏は

「 最大のライバルであるセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」についても、「CRM機能は負けていない。BI機能と情報管理機能、価格競争力で勝る」」

と述べている。

この言葉の意味することは、もうセールスフォース・ドットコムを無視しておける立場ではなく、非常に強力な勢力と見ているということであり、今後のクラウド・コンピューティングの波乱含みの状況を如実に現している。

このように、ニュースだけを読むとOracleがSaaS市場に進出してきたなぁ~と見えるだけだが、その背景や裏にある思惑などを推測するとクラウド・コンピューティングは、確実にバズワード説から抜け出し、クラウドではあるが実態のあるビジネスモデルであると言うことがハッキリと見える。
クラウドに対して、悠長に身構えているIT関係者がいるならば、正直、もうそのこと事態がその方は危ないかもしれない。

既に日本大手ベンダーも挙って、クラウドに参画し、その市場の奪い合いを始めている。
それをしっかりと捕まえ、情報を正確に捉え、ビジネスモデルの流れを常に意識して、自分の立ち位置を見極め、数年後をしっかりとイメージできていないとホントに何度もブログに書くが、取り残される事を意識するべきでだと思う。
日本人は~などの甘えた考えは、さっさと捨て去ること事が肝要だ。