「クラウド」普及へ特区 総務省 データセンター建設の規制緩和

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819481E2EBE2E1E28DE2EBE2E6E0E2E3E29F9FEAE2E2E2

2010/4/10 9:00 日本経済新聞の記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、総務省がネットワーク経由での「データセンター」建設の特区を東北もしくは、北海道に新設しまっせと言う内容。

まぁ、いよいよもって日本も思い腰を上げだしたと言っていいのではないでしょうか?
ただ、官庁主導というのもやや情けない気もしますが。

このクラウド特区の創設される経緯は、概ね以下の通りの模様です。

「総務省の調査では日本のネット経由の通信量の半分近くが海外のデータセンターを使っている。調査会社のIDCジャパンによると、08年の国内のデータセンターの利用額は7612億円。これに匹敵する利用額が海外に流出した計算になる。」

要は、お金が海外に流れているってのが、ハッキリと試算されてきたので、食い止める必要があると言うものと、やはり問題となっているデータの保管場所の問題があるのでしょう。
どうしても現在は、日本国内の企業は、心理的にも、また法適用においても日本国内にデータを少なくとも保持しておきたいと言う、強いニーズがあることは、確かで、故に、なかなかコストが安い海外のクラウドを利用しないと言うものがある。
しかし、現在の日本国内のDCは、地代もさることながら、記事にあるように「建築基準法」などの規制により、どうしても割高な箱物の建設となってしまうようだ。
実際、米国などで採用されている設備コストを大幅に低減させることの出来るコンテナ方式ですら倍に上るとの試算もあるらしい。

そう考えると日本国内でのDCの標準的な利用の単価は、どうしても高くなり、国際競争力としてもやはり見劣りするのは否めない。
とは言え、現在、旋風を巻き起こしつつあるクラウド・コンピューティングに対応する為には、DCの日本国内での建設は進めなくてはならない施策になりつつあると言うことであろう。

実際、この特区が設定された場合、問題となるのは日本大手ベンダーがGoogleやAmazonのような「規模の経済」によるクラウド構築を速やかに実施できるのかと言うのも実はある。
記事では、「国内外の事業者を誘致し、最大でサーバー約10万台分のデータセンター構築を想定する。」とあるが、果たして、思惑通りに行くのかやや疑わしい気もしないでもない。

数十万台のサーバ運用ならば、日本大手ベンダーも出来ないことはないと思われるが、Googleの手法のような低単価のサーバを使ったインフラ構築と運用を日本IT技術者が、現在、習得しているのか…微妙な気がしている。
また、そのそもが、高機能なサーバの性能に頼っていた為に自動化の仕組みを、現在、日本国内でツールとして作る能力やサービスそのものをローンチしうる能力は、確実に落ちていると思える。

これは、前のブログでも書いたかもしれないが、日本のIT技術者がパッケージ販売に傾倒し過ぎた結果が、今、見えないツケとして跳ね返ってきているのではないだろうか?
Googleのようなチャレンジ精神を持ち、サービスを生み出すものが無ければ、いくらクラウド特区を作ったとしても恩恵を受けるのは日本企業ではなく、先行して走るGoogleやAmazonなどのクラウド・コンピューティングの先駆者達ばかりではないだろうか?

でも、私個人としては、歓迎したい構想だと思っている…なぜなら、このインパクトがあって初めて、日本IT業界も大きく動き出すと思えるからでもある。
そんな、希望を私はもっている。