グーグル、自社設計のサーバを初公開--データセンターに見る効率化へのこだわり

http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20390984,00.htm

2009/04/06 07:30 [文:Stephen Shankland(CNET News.com)翻訳校正:川村インターナショナル]の記事

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書くと、Googleの自社設計のサーバを一部公開し、その効率の良さの原点とデータセンターの運用について軽く説明されている内容。

前回の「いま明かされる、グーグル・データセンターの秘密」でも書いたが、Googleのその並々ならぬチャレンジ精神がここにも出ている。

前にも書いたのだけど、大抵のDCは大手メーカーより、サーバを購入してデータセンターを構築しているが、Googleは自前でサーバを設計し、且つ、内製している事は書きましたが、そのサーバの内部構造を一部、記事は紹介しています。

「Googleは、何十万台ものサーバを保有していて、そのサーバを稼働させることが自社の中心的な専門技術の一部だと考えており、自社独自のサーバを設計および構築している。Googleのサーバの多くを設計したBen Jai氏は、高度な技術を持つ、非常に熱心な聴衆の目の前で、現在のGoogleサーバを公開した。」

公開は、技術者特に、米国内でのDC技術者に対して行われたものであるようで、聴衆は、相当熱気があったに違いない。
何故なら、今やGoogleのDCの運用は、数あるDCでも効率の良い仕組みであり、関係者にしてみれば特に関心があることに他ならないからだ。

「Googleサーバで非常に驚くのは、サーバ1台1台が、それぞれ12Vのバッテリを備えていて、メイン電源に問題がある場合には電力を供給することだ。」

この事に関して言うと、やや私は門外漢的ところもあるので、解らないがこのバッテリー内臓については、聴衆のDC関係者にとってみると驚きだったらしい。
※日本のDC設計者にとっては、差ほどでもないことなのかもしれないが。

「(略)…Googleがそれを何年間も秘密にしてきたことに驚いていた。」

とあるので、ある意味、採用アプローチが違うと感じられたのかもしれない。

$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-GoogleServerMedium
初公開されたGoogleのサーバデザイン
提供:Stephen Shankland/CNET

※上記、記事より転載しています。

「Googleは、エネルギー効率に非常にこだわっており、現在では、その経験のより多くを世界と共有しようとしている。Googleの運用担当バイスプレジデントのUrs Hoelzle氏は、不況が運用予算を圧迫し、環境に対する懸念が広がり、エネルギー価格は高騰、エネルギーの制約が強まるという状況で、Googleが効率性の普及活動を拡大する機は熟したと語る。」

Googleの運用担当者の上記の言葉からは、DCの今後の電力消費量の問題は、加速すると考えられるので、それらに対応する為にも自社の電力を効率的に使う技術を公開しますから皆さんも一緒にやりましょうと言う、姿勢を感じることが出来る。
単なる自社宣伝がけではないと言える。

また、Googleは様々な、「配電や冷却、さらに暖気と冷気が混じらないようにする取り組みなど、データセンターの問題にも焦点を当てている」といい、「米環境保護庁(EPA)が2011年までに達成可能と希望しているレベルに、既に到達している。」と言っている。
環境に対する配慮も怠っておらず、且つ、その基準であるところも既に達成しているとも言う。

「われわれはこれを、いくつかのイノベーションや、ベストプラクティスを適用することによって達成した。そのなかに、市場のほかの企業に利用できないものはない」(Malone氏)

私は、Googleを全面的に支持している訳ではないが、彼らにこの姿勢には敬服せざるを得ないと思う。
何故なら、常に、最善のサービスを提供する為には、何が必要なのか常に考え、止まらずイノベーションを起し続けているからだ。
このチャレンジ精神とそれを行わせる社風や社員の特性は、日本の企業に備わっているだろうかと振り返ると不安になってしまう。

「ベストプラクティス」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9

さて、話は元に戻るが、記事は「なぜ内蔵型バッテリなのか」に言及しているので、そこに注目してみたい。

私が面白い発想だなと思ったのが、前回の「いま明かされる、グーグル・データセンターの秘密」でも書いた「安価なサーバでデータセンターを作る」と非常に似ていると言うこと。

「通常のデータセンターは、無停電電源装置(UPS)と呼ばれる、大規模な集中型マシンに依存している。これは基本的には、メインの電源に障害が発生した際に、発電機が始動するまでに動く、巨大なバッテリだ。Jai氏は、サーバに電源を組み込んだ方が安価であり、コストがサーバの数に直接比例することになるとしている。」

「これは巨大な集中型UPSよりもはるかに安価だ。そのため、容量の無駄がない」(Jai氏)

要は、強大なUPSなどを使っうより実は、サーバに組み込んだ方が、コストが安いと言っている点。
これは、意外である気もする。
ただ以下の記事を読むと非常に納得できる。

「効率性は、もう1つの財政面でのファクターだ。大規模なUPSの効率は92~95%に達することができるが、これは大量の電力が無駄になることを意味している。Jai氏は、サーバに搭載されたバッテリの方が効率性が高いと言う。「われわれの実際の使用では、効率が99.9%以上であるという測定結果が得られた」(Jai氏)」

大規模なUSPで電力を提供しても逆に言うと、使わなければそれだけ無駄に消費されると言うことである。バッテリーと言え時間が経てば、消費されるので、電力を使わないまま破棄してしまうと言うことを指しているのではないかと思う。
と言うことは、サーバ台数や云々とは違う意味で、無意味な電力消費が発生しているので財政的に無駄と言うことになる。
費用だけ発生し、利益を生んでいないと言うことになる。
それらを加味した上で、Googleは、内蔵型バッテリに落ち着いたとなっているのだろう。

「無停電電源装置(UPS)」とは何?って方は、以下参照。
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%81%9C%E9%9B%BB%E9%9B%BB%E6%BA%90%E8%A3%85%E7%BD%AE

正直、ここまで来ると徹底してた効率だと思うし、測定した数値も提示されているのだから今後のサーバ製造にどのような影響が出るのか解らないが、考えておくべき事なのかもしれない。

記事では、他にも様々な事を紹介されているので、是非、全てを読んで頂きたい。
Googleの並々ならぬ努力とチャレンジ精神が積み重なって、今のGoogleがあり、今も続けている彼らは、日本IT企業にとっては、とんでもない相手であることは確かである。

また、後半の記事にも書いてあるが、Googleはコンテナ式のDCを採用しているらしい。
と言うことは、Googleの日本への本格進出は時間の問題とも思える。
日本市場は、他の海外企業の市場に比べ、ややデータ保管などに対しては、保守的である。しかし、それが、日本にGoogleがDCを作る事を正式に公開し、営業戦略の一環としてしまうと、日本DC企業の地理的優位性は確実に落ちるだろう。

そもそも、Googleは、土地など気にしていない可能もある。
何故なら、以下のようなニュースもあるからです。

「グーグル、洋上データセンターで特許申請」
 ↓
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20380047,00.htm?tag=deq:1

記事の内容は、2008年9月のもので、古い印象もあるがこれって、ある意味、地代って何?って事になりうるわけです。

故に、日本のベンダー企業は、真剣に対応策を練り始めているのは、その為だろうと思われる。
昨今の日本ベンダー企業のクラウド事業の提携報道は、それを物語っていると見るべきです。

多くの日本SEや開発者は、その事実を対岸の火の様に見ているが、実は、もう直ぐそばまでにやってきている事に気が付かなくてはならない。
来た時に慌てて相手を知っていても意味は無い。
今、出来うることは、相手がどんな存在なのか?これから日本で何が活路となるのか、来るべきクラウドの暴雨風に吹き飛ばされない様に考えておく時であると私は思えてならない。