$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-岡本浩一郎氏と樋口泰行氏
※弥生社長の岡本浩一郎氏とマイクロソフト社長の樋口泰行氏

弥生とマイクロソフトが協業--Azure上で動く「弥生SaaS」を2011年より提供開始

http://japan.zdnet.com/news/ir/story/0,2000056187,20411102,00.htm

2010年3月26日19時00分ZDNETJapan[大河原克行氏]の記事

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、「マイクロソフトのクラウドサービスである「Windows Azure」をプラットフォームとした「弥生SaaS(仮称)」を2011年半ばから提供するなどの施策により、3年間で36万社の小規模法人および個人事業主のIT化推進を目指す」という内容。

「弥生 株式会社」のHP
 ↓
http://www.yayoi-kk.co.jp/

両社は業務提携を行い、「2010年半ばから一部の会計事務所や顧問先ユーザー向けに弥生SaaSのベータ版を提供するほか、IT化促進のためのイベントやセミナーを年間6回共催する。」とあります。

この点では、ついに「弥生」もSaaSに展開を模索し始めたと見るべきかもしれません。

ただ、両社の業務提携は、上記にあるようにSaaSを主体とはしているものの、日本にある企業総数は420万社の従業員300人以下の99.5%の企業をターゲットにIT化が進んでいない中小企業の掘り起こしを行うのがその主たる目的である模様。

そこでの掘り起こしの中で、従来のパッケージを購入し、煩雑なインストール作業などをする必要がないSaaSが有効であるとの判断から「弥生」側も判断が入ったのでしょう。

上記の従業員300人の中小企業は、会計・経理業務などは諸規模になればなるほど外部委託するとの事で、自前の会計業務などはあまり行わないもしくは、行うにしてもこの時代に「手書き」などもあると言う。
確かに、中小企業もしくは、零細企業ともなるとなかなかIT機器を扱える人材を確保すること自体難しいし、IT資産を抱え込むのも早々出来なかったりする。
その様な、中小企業向けにパッケージ販売を行ってきていた「弥生」のブランドイメージは、確固たる物はあるわけだが、ここにきてそのブランド力を生かして、SaaSに登場してくるとなると基幹業務としてのインパクトは大きいのではないかと思う。

特に面白いのは、「Windows Azure」をプラットフォームを選んだことである。
クラウド基盤では、様々なものがある中で、今、マイクロソフト社の「Azure」が台風の目となるのではないかと目されつつある。
海外にGoogleに匹敵する巨大なDC(データセンター)を保持しており、その実力はGoogleを脅かす存在になりつつある。

「Windows Azure(ウィンドウズ・アジュール)」って何?ってかたは、以下参照。
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Windows_Azure

とは言え、弥生のSaaS本格参入は、2011年なのでまだちょっと先の事であるのだが、私がもっとも「弥生」が、そのITソリューションとは何ぞやと言うものを理解しているのが、凄いと思っていることがある。
それは、以下の記事中にある一部部分。

「SaaS版弥生をWindows Azure上で2011年中ごろに提供開始」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000001-zdn_ait-sci
3月26日20時2分配信 @ITの記事の一部抜粋---------

「「中小企業の業務IT化促進のための販売促進活動」では、PCメーカーと協力して「PC+弥生シリーズ+マイクロソフト製品」の特別パッケージを販売するほか、家電量販店と協力して業務ソフトセミナーを開催。また、両社の既存パートナー企業のネットワークを活用してさまざまな取り組みを行っていくとした。」

IT化が進んでいない中小企業に向けて、地道に家電量販店と協力して業務ソフトセミナーを開催していくと言う姿勢である。
思うに、このような一つ一つ細やかな対応そしてもらうことを本来は、IT化の進んでいない中小企業は望んでいるはずである。特に、PCなどそう触ることのIT業界以外の異業種では、なかなか業務ソフトなど触ることもないのだからその導入サポートをすることが、実は第一なのである。
そこを店頭販売で並べておいて、買ってくださいでは、この先のパッケージ販売は、確実に停滞してしまうだろう。
それは、クラウドとしてのSaaS販売でも同じことである。このような、地道な啓蒙活動を行ってこそ初めて、IT化の進展はあるので、是非、コツコツとやってもらいたい。

また、サービス提供と言う視点から見ると以下の点も非常に良い提言をしていると思う。

「SaaS版弥生をWindows Azure上で2011年中ごろに提供開始」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000001-zdn_ait-sci
3月26日20時2分配信 @ITの記事の一部抜粋---------

「ターゲットとする中小企業では、複数の役職を兼務している場合がほとんどだ。その実態を踏まえて、販売や会計などを意識せずに使えるようなスタイルにしようと考えている。例えば、現在のパッケージ版の場合、会計処理をする場合には『弥生 会計』を、給与計算する場合には『弥生 給与』を別々に立ち上げて利用しなければならない。このような状況を解決するためにこのような仕様にした。価格は、携帯電話やISPの月額利用料程度に抑えたい」(岡本氏)

これこそ、サービスとは、何なのかの提言ではないかと思う。
『弥生 会計』や『弥生 給与』などのそれぞれの機能をインストールし、それをそれぞれに立ち上げるのはSaaS的に無駄が多い。それも、理由があって、中小企業では、役職者がいろんな事を兼務しているからで作業に煩雑さがある。それを機能割ではなく、横串で括ってしまおうと言う発想である。

これこそ、正に、サービス=機能ではないことを指している。
機能そのものの重要性は否定しない。ただ、だからそれそのものがサービスではないのである。
(ITとしての)サービス提供とは、機能自体を使い、さらに何かしらユーザーの満足(結果を出す)を得ることを指しているはずである。
UIとApplicationを繋げるだけではないのである。

どうしてもサービスと言うと、機能(システム的要素)と考えてしまいがちな日本のベンダー企業において、上記の視点は、秀逸に値する気がする。
会計システムなどは、どうしても形が決まっており、UIも決まりきっているので細部のカスタマイズ(F&G分析)を行えば、終わりな感が日本ベンダーにはある。
しかし、ことクラウド・コンピューティングになってくるとその定型としていたサービス=機能という考えは、そのうち通用しなくなるのは確かだ。

エンドユーザー(もしくは、クライアント)の求めているのは、本当の所は、機能ではないからだ。
求めているのは、「こんな結果が欲しい!」なのである。
それを提供できるベンダーもしくは、システム・インテクグレーターだけが、クラウド・コンピューティングの狂想曲で生き残れるとのではないかと思う。

最後に、マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏の言葉を記載します。

「SaaS版弥生をWindows Azure上で2011年中ごろに提供開始」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000001-zdn_ait-sci
3月26日20時2分配信 @ITの記事の一部抜粋---------

「中小企業では、コスト削減や業務効率化のニーズが高いものの、IT化が遅れている。まだ半数の企業で手作業が残っており、ソフトウェアが生かされていない。普及へのポイントは業務への直接的な影響度や低価格で展開できることだ。この点、中小企業へはクラウドコンピューティングが非常に有効だ。その意味では、中小企業に圧倒的な影響力を持つ弥生との協業は大きなインパクトを持つ。『パッケージを買うのはなぁ……』と初期投資を悩んでいるユーザーには、弥生SaaSなどは最適だろう。今後もWindows Azureをプラットフォームとした提携を広げていきたい」