雪のない夏道を登り、意外にあっさりと到達した雄山の頂上。



次に目指すのは立山の最高峰である大汝山。標高は3,015m。



雄山で引き返す人も多いが、ここまで来たのなら3,015mのピークを踏んでおきたいと思うのは、ピークハンターとしては自然な心境だ。



もちろん自らの力量に見合っていることが大前提。事前にリサーチをした限りでは、僕の実力でも十分に辿り着くことができるとの判断で先に進む。



雄山から大汝山へのプチ縦走、残雪期における核心部となり得るのが、雄山をスタートして最初に訪れるトラバースだ。


雄山から岩場をダイレクトに降りてもいいのだが、トラバースの方が歩きやすそうなので、そちらを選択している人の方が多い感じだ。



僕も迷わずトラバースを選択。足を踏み外すと滑り落ちそうな斜面ではあるが、トレースがあれば歩きやすいし、短めの区間なので、実際に歩いてみると大したことはなかった。



むしろ僕にとっての核心部はその先にあった。雄山で再びアイゼンを装着したわけだが、このアイゼンが邪魔になってしまう急な岩場が何箇所かあるのだ。


その都度着け外しをするのは現実的ではないし、雪がゼロというわけではないので、アイゼンを装着したまま歩いたのだが、これが歩きにくいったらありゃしない。まさに残雪期ならではの難しさ。



雪と岩のミックスというよりは、ほとんど夏と同様の岩場剥き出し状態だし、緩やかな稜線歩きの箇所はアイゼンがなくても問題ない感じだったので、いま考えれば、トラバースの後でアイゼンを外してしまってもよかった。



そんな岩場の登り下りを繰り返しながらも、大汝山までは、時間にして30分弱というあっという間の道のりだ。



快晴ということもあり、大汝山の頂上も多くの人で賑わっている。



あまり端っこに行くと雪庇があって怖いので、その辺には近づかないよう気をつける。




前週に続いて2回目となる雪山3,000m峰のピークを無事に踏むことができてホッとすると同時に絶景にため息が漏れる。



雷鳥沢のテント場もゴールデンウィーク前半の快晴ということで大賑わいの様子だ。



しばらく景色を堪能して撮影などをした後に下山を開始する。



行きも帰りも結構気を遣ったのがクレバスのようになっている雪の裂け目だ。覗き込むとかなり深いところもあって、落ちたら自力で上がるのは難しいだろう。これも残雪期ならでは。



雄山まではサクサクと歩けたが、雄山から一ノ越へと降りる登山道が渋滞してしまう。仕方がないので、この区間はかなりのんびりペースで歩くことに。



一ノ越からはどこを降りてもいいような感じなので、再び軽快に歩き出す。



斜度がそれなりにある場所については、シリセードで滑り降りたらしながら。



そんな感じで帰りはあっという間の下山。名残惜しさから立山を振り返りつつ室堂に到着。



室堂の駅に入ると凄まじい人だかりが。こんな辺鄙な場所にこんなに人が来るのか!と驚きを禁じ得ない。




最後はバスの時間までしばし雪の大谷を観光。



バスの高さと比較すると、なかなかの高さだということがよくわかる。


帰りは再び4つの乗り物を乗り継いで、途中で黒部ダムのスケールに圧倒されたりしつつ扇沢まで戻る。




登山自体は約4時間という短めの山行であったが、室堂までのアクセスが大変で、帰りの中央道の渋滞なんかも含めるとなかなかハードな山行だった。