今年から雪山登山を始めた初心者の僕が定番で行きそうな山がいくつかあるわけだが、その中の1つが上州武尊山。


群馬県に位置する標高2,158mの山で、単に武尊山ということもあるが、発音が「ほたかやま」ということで、穂高岳との区別が紛らわしいので、上州武尊山と言われることも。


失礼ながら夏山シーズンは少し地味なイメージがある山だけど、冬山シーズンになると、川場スキー場のリフトを使って、比較的短時間で雪山登山を楽しめるということで人気を集めている。


難易度としても、北横岳や黒斑山ほどの気軽さはないものの、行動時間が短めで、そんなにシビアな箇所もないので、雑誌などでも雪山登山初心者におすすめの山として紹介されることが多い。


そんな武尊山だから、雪山初心者である僕のターゲットリストにも当然入っていて、今回、残雪期ではあるが、ギリギリのタイミングということで日帰りでサクッと登ってきた。



直前のヤマテン予報でも午前中は晴れることが期待されたので、絶景を期待して登ったわけだが、結果としては、一瞬も絶景を拝むことはできなかった。



スタートからゴールまで終始ガスの中を歩いた感じ。360度どこを見てもガスに囲まれている感じで、最初のうちはそのうち晴れるだろうと期待しながら歩いていたが、ついに晴れることはなかった。



まあ、自然相手だから、こういうこともある。前向きに考えれば、来年以降で再訪する理由ができたということだ。次回は絶景に期待したい。



今回の登山の起点は川場スキー場。まずはリフト券を購入する。



登山者はココヘリの携行が義務付けられており、僕は持っているので問題ないが、持っていない人はここでレンタルすることになる。



リフト券を買ったら今度はリフトに並ぶ。リフトを2つ乗り継いで登山口へ向かう。



リフトに乗っている時点で、山の上の方はかなりガスガスな状況だとわかったので、この時点で既に不穏な空気は漂っていた。



リフトで登山口に到着してからアイゼンを装着して準備を済ませる。



晴れることを期待して登山スタート。残雪期で最近気温が高かったせいか、雪がシャーベット状になっており、場所によってはアイゼンが効きにくい。



あとは踏み抜き。まあまあ踏み抜いた跡なども残っていたし、僕自身も特に下山時には何回か踏み抜いてしまい、少しヒヤリとする場面もあった。


これが残雪期ならではの難しさなんだなと勉強になった。特に下山時は、あまり勢いよく歩き過ぎると体重がかかり過ぎて踏み抜きリスクが高まるということを身を持って体感できたのは収穫。




ガスガスの中、淡々と歩いていく。そんなに難しい場所はなかったが、歩き始めて20分ちょっとの剣ヶ峰は、両側が切れ落ちた痩せ尾根で、風が強かったこともあり、ここの通過は少し緊張した。



あとはホワイトアウトまではいかないものの、ガスガスの状況で開けた場所になると、ルートファインディングが難しいところも少しあった。


実際、山頂付近は事前に予定していたルートではなく、そこを少し外れて登ることとなった。



今日は僕が山頂一番乗りだったこともあり、後続の方々も僕と同じルートを辿ってきていたようだ。



山頂からの下山は当初の予定ルートで降りようかと思ったが、少し降りてみて方向感覚がわからなくなったので、やめておいた。登り返した上で、来た時の道を確実に引き返すことに。



山頂もガスガスで眺望ゼロ。ガスが晴れそうな雰囲気もなかったので、待っても仕方ないなと判断して、そそくさと下山することにした。



結局、下山時までずっとガスに包まれた状態だったので、この判断は正しかったかなと思う。


そんなことで、トータル2時間半ちょっとのコンパクトな山行となった。



下山も僕が一番乗り。スキー場ということもあり、リフトで降りるのは登山者くらい。リフトで登ってくるスキーヤーからチラチラ見られたりしながら、リフトを乗り継いで無事に下山。



ガスで何の景色も見えなかったのは残念だったけど、残雪期ならではの登山を経験できたのは大きな収穫と言ってよいだろう。



武尊山、確かに雪山初心者にはほど良い山だと思った。木曽駒ヶ岳あたりと比べればグッと難易度は下がるが、それなりに急な登り下りもあって、確実なアイゼンワークは必要になるし、ピッケルもあった方がいいと感じた。


そういう雪山の基本を短い時間の山行に凝縮した感じのコースで、北横岳とかで雪山のフレーバーを感じた後にトライするのに最適かもしれない。



というわけで、絶景は手に入らなかったけど、残雪期登山の経験値を手に入れた今回の武尊山での山行。高速も渋滞フリーで充実した1日となった。


来年以降、ぜひ再訪して今度は必ず絶景を堪能したい。