(前回の様子はこちら)




東天狗岳からいったん根石岳方面に下りることを決めた僕だが、いきなり両側が切れ落ちているところを通らなければならず、少しビビりながら歩き出す。



夏場は安心な鉄製の橋も、冬場はアイゼンを引っかけたりしないよう、まあまあ気をつかう。



実際に雪庇を見たのは今回が初めてかもしれない。近寄らないように気をつけながら歩く。でも、人間ってこういう危ないものを美しいと思ってしまうのが不思議。美しさに吸い寄せられないようにしないと。



途中、立ち止まって顔を上げると、大迫力で目の前に迫り来る硫黄岳の爆裂火口。来年はぜひ冬の硫黄岳にも登ってみたい。



雪と岩のミックス帯を降りていくが、僕にとっては今日一番の難所と言っていいかもしれない。



こんなところ、落ちたら嫌だなぁとか考えつつ、落ちないようにゆっくりと着実に歩みを進める。



ようやく鞍部に降り立つ。秘湯として有名な本沢温泉方面はトレースがなく、かなり厳しい道になりそうな雰囲気。



そして、ようやく西天狗岳と東天狗岳の両方を一度に見渡せるビュースポットへ。



西天狗岳、東天狗岳が揃い踏みといった感じで、なかなか絵になる山だと思う。東天狗岳からわざわざ降りてきたかいがあったというものだ。


この場所は、昨年の夏に息子と2人で歩いた思い出深い場所でもある。冬の時期に来ることができてよかった。



しかし、素晴らしい景色を手に入れた代償は大きい。初心者の僕にとっては試練となる雪と岩がミックスになった難易度高めの急登を登り返すことに。



結構、気をつかう場所が多くて、この区間にはかなり時間をかけた。まあ、でも来年以降、赤岳を目指すことを考えると良い練習になったかもしれない。



ここまで来ればあと少し。最後まで気を抜かずに両側が切れ落ちた箇所を慎重に通過する。



再び東天狗岳の山頂に。朝に比べると雲も湧いてきた。ここからは中山峠を経由して黒百合ヒュッテを目指す。



この区間は北八ヶ岳の展望が開けたルートで、非常に気持ちよく歩くことができた。たまに風でトレースが飛ばされ気味なところだけ気をつければ、そんなに難易度は高くなかった。



振り返るとさっきとは別アングルの西天狗岳。山容は丸みを帯びているが、直下の登りはゴツゴツした感じもあって、何とも味わい深い山だ。



高度を下げてきたので、少しずつ木々たちの姿を目にするようになる。それにしても、トレースが本当に有難い。



中山峠の分岐点。ここまで来れば、黒百合ヒュッテは目と鼻の先だ。NHKの「にっぽん百名山」では、みどり池から登るルートを紹介していた。僕もそのうち歩いてみたい。



ようやく黒百合ヒュッテが見えてきた。都心に住む僕は自然を欲して山に入っているのに、人工的な建築物を見るとホッとするのは何故だろう。



黒百合ヒュッテ。通年営業の山小屋でテント場もある。冬期テント泊の入門的な位置付けで紹介されることも多く、僕もそのうちここでテント泊してみたいなと密かに画策していたりする。



写真を撮り忘れたが、ここで休憩してランチを頂く。一番人気のビーフシチューではなく、カレーライスを美味しく頂いた。



カレーライスでエネルギー補給も完了したので、ここからはサクサクと下山。再び気持ちの良い冬の森歩き。



あっという間に渋の湯との分岐点。黒百合ヒュッテは、渋の湯と唐沢鉱泉のいずれからもアクセス抜群。僕は唐沢鉱泉方面へと進む。



この橋を渡れば唐沢鉱泉まではあと少し。夏場は下を水が流れているということなのかな。



程なくしてゴール地点となる唐沢鉱泉に無事到着。それなりに疲れる山行だったけど、それだけに充実感も大きい。



YAMAPの山行記録。ラッセル区間以降、かなりゆっくりペースで歩いたが、カレーを食べてからスピードアップ。最後は概ね標準的なタイムに収まったイメージ。



風がなかった冬の八ヶ岳。そしてトレースもなかった冬の八ヶ岳。



ちょっとレアな状況だったと思うけど、僕にとっては快晴で無風という最高のコンディションの中で、自身の経験値をアップさせてくれる貴重な機会であった。



八ヶ岳の中でも北八ヶ岳エリアは、僕のような冬山初心者にとっても歩きやすいルートが多いので、来年はまた違ったルートを楽しみたいと思う。