(前回の様子はこちら)
木曽駒ヶ岳への登頂を果たして、再び乗越浄土まで戻ってきた僕を最後に待ち受けるのは八丁坂の下りである。
登山計画を立てた時から、僕にとっての今回の核心部は間違いなくこの八丁坂の下りになるであろうと考えていた。
しかし、前半の登りで、事前に想定していた以上の斜度に面食らってしまい、登り切った後にホッとすると同時にこんなことを思った。
「俺、後でここを下るんだよな。。。」
木曽駒ヶ岳山頂からの絶景で、いったんは八丁坂の下りのことは頭から離れていたが、乗越浄土に近づくに連れて不安感が増してくる。
とは言え、登ったからには降りなければならない。
アイゼン歩行の講習を思い出しながら、意を決して慎重に下りはじめる。
最初のうちは慎重になり過ぎて相当ペースが落ちたように思うが、歩いているうちに段々と慣れてきた。
厳しければクライムダウンで降りるしかないかなぁと思っていたが、実際にはそこまでする必要はなく、結果としては順調に降りることができたと思う。
最も急なエリアを通過して、降りてきた八丁坂を見上げてみる。後ろからも続々と登山者が降りてきている。
ここまで来ればひと安心。気持ちよく雪の上を歩けば、あっという間に千畳敷のロープウェイ駅に到着だ。
事前計画では4時間弱の行動時間を見込んでいたが、実際には3時間弱で戻ってこられたので、割とスムーズに歩けたということだろう。
下から八丁坂を見ると、続々と登山者が降りてきている様子がよくわかる。こうして見ると、よくあんな急坂を降りてきたなぁとしみじみ。
そんなわけで、初めての木曽駒ヶ岳。僕の数少ない冬山登山の経験の中で、最も難易度が高い山行であったのは間違いない。
それだけにもの凄く達成感のある山行となった。
木曽駒ヶ岳の山頂から見える大迫力の御嶽山、そして何と言ってもカッコよすぎる宝剣岳。
木曽駒ヶ岳への千畳敷からのルート、骨のある八丁坂の登り下りと冬の大絶景を短い時間の中に凝縮した非常に濃密なルートだと思う。
最後はロープウェイまでの待ち時間に、駒ヶ根グルメのソースカツ丼を頂く。
そうして登頂成功をささやかに祝った僕は、千畳敷の絶景に再訪を誓い、ロープウェイに乗り込むのであった。