僕は登山をする時には、iPhoneを2台持っていく。山で電波が繋がる可能性を少しでも高めるために、1台はau、1台はdocomoという形でキャリアも分けている。


仕事上、普段から2台使いということで、自然と山でも2台待ちとなった。


この辺の話は、以前、遭難対策について思うことを整理した時にも書いた。



その中でも記載したのだが、そうは言っても、山中における携帯の電波は脆弱なので、いざという時のために、どんなに低山を登る時であっても、ココヘリとガーミンのインリーチミニは常に携帯している。


携帯電話の電波が通じなかったとしても、空が見えるところであれば、自分の居場所を知らせることができて、仮に遭難したとしても発見してもらえる確率はぐっと高まるとの考えからだ。



ココヘリは発信機になっていて、遭難した時にその発信機からの位置情報を頼りに、ヘリコプターで捜索をしてもらえるサービス。



ガーミンのインリーチミニは、簡易的な衛星電話のようなもので、通話まではできないが、ショートメッセージの送信とSOS信号を送ることができるようになっている。もちろん、位置情報も共有される。


衛星電話を持とうとすると非常に高価だし、ランニングコストも現実的ではないが、この2つであれば比較的安価なランニングコストで通信手段を確保することができるので、僕的には登山者がこの2つを使わない選択肢はないと思っている。


ココヘリだけじゃなく、ガーミンも持っていくのは、いざと言う時に、自分から積極的にSOS信号を送ることができるメリットが大きいと考えているからだ。ココヘリだけだと、どうしても「待ち」にならざるを得ない。


また、実際に使うかどうかという視点だけでなく、そういった保険をかけていることでの心理的な安心感も得られる。


そういった意味で、大事な大事な山用デジタルガジェットなわけだが、最近、この2つが使われたらしい山岳遭難のニュースを目にした。



記事の中に出てくるSOS信号を受信したアメリカの会社というのは、おそらくガーミンであろう。二人のうち、お一人は亡くなってしまったとのことで、ご冥福をお祈りしたいが、もう一人の方は無事だったようでよかった。


詳しい状況は不明だが、厳冬期の北アルプスで遭難して、二人のうち一人は助かったというのは、衛星通信の力が発揮された可能性が高いと言えるだろう。


また、八ヶ岳での最近の遭難事故では、おそらくココヘリが使われたようだ。





最初にニュースを見た時には、まだ発見に至っていない様子だったので、無事を祈るばかりであったが、その後の続報で残念ながら亡くなったということを知った。ご冥福をお祈りしたい。


こういったニュースに触れて、やはり実際にココヘリやガーミンの端末が活用されているんだなぁと改めて実感するとともに、それがあるだけで安心というわけではないんだなということを改めて痛感した。


いくらGPSで現在地を知らせることができたとしても、天候不順も含めて、すぐに見つけてもらえるとは限らない。


救助が来るまでの間、生き延びられる保証など全くないどころか、季節や気候条件の違いで、数日間生きられることもあれば、たった1日で亡くなってしまうこともあるわけだ。


そもそも滑落してしまえば、見つけてもらう前に死に至る可能性がかなり高まるだろう。


そう考えると、やっぱり山は怖いと思うし、衛星通信があるからいざという時も安心なんてことは全くないことを十分に理解しなければならない。


もちろん、だからと言ってココヘリとインリーチミニが無駄なんてことはない。間違いなく、持っていないよりは持っていた方が、遭難時の生存確率は上がるだろう。ただ、過信してはいけない。


そんなわけで、亡くなったお二人のご冥福をお祈りしつつ、気を引き締めて雪山登山に臨むこととしたい。