2023年の山納め。


舞台に選んだのは西丹沢。西丹沢ビジターセンターを起点に、犬越路を経由して、大室山、加入道山というややマイナーな山のピークを踏んでから、白石峠経由で下山する周回ルート。




丹沢は先日、大倉から馬鹿尾根をピストンして塔ノ岳、丹沢山と登り、デビューを果たした。



その後、気付いたのがYAMAPの丹沢ハイカーのバッジ。


YAMAPでは、アプリ上で色んなバッジを集められるようになっていて、丹沢ハイカーバッジをゲットするには、次のピークを全て踏む必要がある。


丹沢山

蛭ヶ岳

塔ノ岳

鍋割山

檜洞丸

大室山

大山


先日の馬鹿尾根ピストンで丹沢山と塔ノ岳はクリアしたので、あと5つでゲットということになる。


そこで、当初は西丹沢ビジターセンターから、ツツジ新道を通って、檜洞丸、蛭ヶ岳とピークを踏んでピストンで戻ってくる計画を立てた。



しかし、直前で胃腸炎になってしまい、まだ本調子ではない感じなので、そんな中、累計標高差2,500mを超える道のりを日帰りピストンするのはちょっと自信がない。


ただ、今回は西丹沢に行く気満々になっていたので、いったん丹沢最高峰の蛭ヶ岳はまた今度に取っておくことにして、同じく西丹沢エリアの大室山のピークを狙う計画へと変更。


少し変化を持たせる意味でピストンではなく、よく登られている加入道山を組み合わせた周回コースを歩いてみることにしたわけだ。


そんなことで前置きが長くなってしまったが、2回目の丹沢、そして初めての西丹沢エリアの記録。



今回も暗いうちに家を出て日の出前に西丹沢ビジターセンターの駐車場に到着。駐車場のキャパは少な目だが、僕以外に停まっている車は2台だけ。



この時点で外の気温はマイナス4度。都心でも、この冬一番の寒さということで、今日は寒さを覚悟して登る必要がありそうだ。



日の出とともに登山開始。登山口までのアプローチは2キロ程度の車道歩き。車道沿いにキャンプ場があるのだが、さすがにこのシーズンの平日にキャンプをしている人は皆無。


と思ったら、お一人だけ朝から焚き火を焚いているキャンパーを発見。この寒さの中でキャンプをするなんて、本当に好きな人なんだろうな。




ようやく登山口に到着。用木沢出合というところから登山道へと入っていく。



最初のうちは沢沿いに歩いていくなだらかな道が続く。




沢沿いということもあって、何回か渡渉する場所もある。雨がたくさん降った後は歩きたくない感じだ。




しばらく歩くと沢から離れていき、段々と登り基調になっていく。道もゴツゴツした岩などが目立ち始めるが、まあ、難易度としては初級者向けと言って良いレベルだろう。




最初のポイントである犬越路が近くなると登りが急になってきて、息が上がってくる。今回は体調が万全ではない中で、最初に飛ばし過ぎてしまい、後半バテてしまったのが反省点だ。




樹林帯を抜けて稜線に出たところが犬越路。案内板の通り、武田信玄が北条を攻める際に、犬を先頭に越えた場所というのが名前の由来らしい。武田信玄もここを通ったのかぁと思うと感慨深い。


ちなみに、大河ドラマの影響で、この時の僕の頭の中に、阿部寛の顔が浮かんでいるのは言うまでもない。




犬越路には避難小屋とトイレも併設されている。避難小屋は比較的新しく、中も綺麗だった。




少しだけ休憩して、ここからは尾根沿いを歩いて大室山を目指す。



少し歩くと景色が開けてきて、ドーンと富士山が見えてくる。疲れた身体に最高のご褒美だ。



富士山そのものは、登山をしなくても、先日見たように、例えば山中湖の湖畔からその山容を余すことなく堪能することはできるわけだが、山の上から観る富士山はまた違う。



富士山に癒されながら歩くのだが、犬越路を過ぎてから、非常に気になるのが、これまでの登山では経験したことのない獣臭。



たまに凄まじい獣臭が漂っているのだ。2回ほど熊の糞と思しきものも発見してしまうし、これまでで最も熊の存在を身近に感じながらの山行であったと言えよう。



しかも、スタートしてからこの時点までにすれ違った人は誰もいないという状況。まさに静かな山歩きということなのだが、静か過ぎるところにこの獣臭で、さすがに不安になり、途中で持ってきたラジオのスイッチをオン。





先を急ぎたい気持ちとは裏腹に、思った以上の急な登りで、なかなか足が先に進まない。もう少し楽なルートかなと思っていたが、歩いてみると、結構キツいルートだ。


それでも何とか登り切ってもう少しで大室山というところで、ようやく初めて人とすれ違う。結局この人も含めて5時間ちょっとの間ですれ違った人は2人だけなので、この季節の平日の西丹沢がいかに空いているかがよくわかるだろう。




大室山の頂上は景色を見るという感じではないので、写真撮影を済ませたらすぐに歩き始めて、次は加入道山を目指す。





加入道山までの登山道では獣臭はしなくなっていた。まずはグングンと下ってから、その後、加入道山へ向かって登る。この間も途中までは富士山が声援を送ってくれる。




加入道山の山頂も景色はあまり望めない感じ。




ここにも新しい避難小屋があるので、中に入って少し休憩し、柿ピーで補給。



登りはこれでお終い。あとは下山。加入道山から少し歩くと白石峠。この分岐を用木沢出合方面に降りていく。




ここからはかなり急な下りが続く。登ってきた道と比べて、やや荒れ気味だし、この季節は落ち葉が積もっていて滑りやすいので、慎重に歩かないと危ない。




ただ、足下ばかりに気を取られていると、今度はルートを見失いそうになるような感じの道なので、たまに顔を上げて冷静に周囲を見渡す必要がある。



幸いピンクテープや看板も多めで、あれ?っと思ったところで顔を上げると、すぐに目印を見つけることができるので、迷うことはなかったが、ピンクテープがここまで充実していなければ、道迷いの危険性があるルートと言えるだろう。






あと、下山時もとにかく沢を渡る機会が多い。雨が降った後で増水していると、渡るのが結構大変だろうなという場所も何箇所もあったので、雨の日や、晴れてても雨の次の日などは避けた方が無難なルートかもしれない。



そうして順調に下っていき、ようやく車道に出る。ただ、ここからダラダラと車道歩きが2キロほど続く。



行きと違って帰りは、車道に出た時点で、登山という気持ちは終わっているのに対して、実際のゴールはまだ先という状況なので、帰りの車道歩きの方が精神的には嫌な感じだ。



そんな感じで車道をしばらく歩いて、ようやくゴール地点の西丹沢ビジターセンターに到着。ビジターセンターでコーラを買って、2023年山納めのささやかなセルフ慰労会。


こうして初めての西丹沢での静かな静かな山歩きを終える。出会ったのは人間が2人、鹿が1頭、そして出会わなかったけど、熊の気配を感じさせる獣臭ということで、これまでにない登山経験となった。


山のメジャー度合いでいえば、マイナーな部類に入る山で、かなり渋めの山納め。


年明けの登り初めは初詣を兼ねつつ、丹沢ハイカーのバッジ集めも意識して、大山あたりに行ければなどと思案しながら今回は筆を置く。