息子は大の金太郎好きだ。以前、僕が段ボール、アルミホイル、画用紙などで作ってあげたマサカリの工作を何年も大事にしているくらい金太郎の大ファンだ。金太郎の絵本は何度読んであげたかわからない。その金太郎の伝説が残る金時山。僕と息子が、ちゃんとした装備を調えて初めて臨む登山にはうってつけの山といえるだろう。案の定、頂上に金太郎のマサカリがあるという話をすると、息子も乗ってきてくれた。
初の登山を決行したのは5月。ちょうど、新緑の季節に家族で山中湖のロッジに遊びに行く予定があったため、山中湖に滞在している間に、金時山まで足を伸ばして登山をすることとした。

今回のコースとタイムはこのような感じだ。

 



公時神社をスタートして金時山の頂上へ。下山は乙女峠方面に抜ける周回コース。周回コースにしたのは、何となく登った道と降りる道が同じだと息子がつまらないと感じるかなと思ったため。しかし、今思えば素直にピストンにしておいてもよかったかもしれない。理由は後ほど。

朝、山中湖から車を走らせて公時神社へ。息子に登山靴を履かせ、トイレを済ませてからちょうど8時頃に登山開始。



はじめに公時神社に立ち寄る。放し飼いされている鶏たちと少し戯れた後、神社で早速マサカリを発見し記念撮影。初めての登山なので、こういうところで子供の気分を盛り上げるのも大事だなと思い、あえて無駄に時間を使う。

登山道に入ってからは大きなトラブルもなくサクサクと登る。ほぼ登山やアウトドアの経験がない僕にとっては、この当時は、恥ずかしながら、登山道がオフロードというだけで結構なところに来てしまったなぁという印象を持ったものだが、今となっては懐かしい。





息子の方は身長が110cm程度ということもあり、ちょっとした段差でも大人と違い、岩や木の根などに手をかけながら登らなければならない箇所が結構あったりするものだ。ただ、息子にとっては、そういったアスレチック的な要素がとにかく楽しいご様子。大人と違って圧倒的に手を使うことが多いので、怪我防止のために、薄手のグローブをさせて置いてよかった。



そうこうしていると、あっという間に『金時宿り石』に到着。金太郎の伝説が残るこの大岩を見て息子も大興奮。登山者が木の枝を立てかけて、あたかも木の枝で大岩が支えられているかのような雰囲気を出しているわけだが、息子に対して、真顔で『あの木の枝がなくなると、岩がゴロゴロ落ちてくるんだよ。』と話をすると、本気で信じてくれたようで、木の枝で支えたい!と言い出して、手頃な枝を探して支えを一本増やすことに。幼児ならではの純粋な心には本当に癒される。

 





所々で塩分タブレットを舐めさせたりしながら、その後も順調に歩き、出発から90分ほどで山頂に到着。山頂のマサカリともバッチリ記念撮影を済ませてから、妻が朝持たせてくれたおにぎりを頬張る。おにぎりを食べた後は、楽しみにしていたおやつタイム。この日は、雲がそれなりにかかっていて、富士山はてっぺん近くしか見えなかったが、それでも山の頂上からみる絶景に息子も5歳児なりに感動してくれているようで、連れてきてよかったなと改めて感じる。



山頂では初めての登山バッジも購入。もともと登山バッジというものの存在すら知らなかった僕だが、山小屋で販売しているのを見つけて、息子も欲しがったので何となく購入し、息子のザックに取り付けてあげることに。この最初のバッジが、その後、続いていく息子の登山バッジ収集の第一歩となったのであった。



山頂では1時間20分近くゆっくりと休憩をしてから下山開始。下山ルートは長尾山を経由して乙女峠へと抜けるルートを選択。冒頭でも書いた通り、来た道を帰るだけだとつまらないかなと変な気を利かせてしまったことによるものだ。





登りは非常に順調だったのに対して、下りは大苦戦となった。公時神社からのルートと比べて、乙女峠のルートは圧倒的に岩場が多い印象。その岩場を身長110cm程度で実質登山初体験の息子が降りていくのはなかなか大変だ。大人は気をつけて降りれば済むくらいの場所であっても、息子の身長だと足が全く届かないため、その度にしゃがみ込んだりしながら、慎重に慎重に岩場を降りるため、かなりのスローペースとなる。その後、経験を重ねて、息子もそれなりに上手に下れるようにはなってきたが、この時は初めてということもあり、かなり時間を要することとなった。もちろん、怪我をしてしまうよりはマシなので、息子には自分のペースでゆっくり行こうと声をかけながら、できるだけ焦らせないようにと心がける。

そんな感じで下りに圧倒的に時間をかけて、13時半頃にようやく乙女口バス停に到着。11時前に下山開始を開始したので、13時前には到着できるかなぁと思っていたのだが、そううまくはいかなかった。まあ、でも怪我などすることなく降りてくることができてよかった。

乙女口バス停からは一般の車道を歩いて公時神社まで戻るのだが、この10分程度の道のりが結構怖かったりする。箱根の道にありがちな、歩道がなくて交通量がかなり多いというタイプの道で、登山でそれなりに疲労感のある5歳の息子と2人で歩くにはかなり気を使う。最後にこの道を通らなければならないという点も含めて周回コースにしたのは失敗だったなと反省。

そんなことで無事に金時山登山を終えることができた。装備も揃えていたし、事前に色々とリサーチもしていたので、大きなトラブルもなかったし、登る前は息子が飽きてしまったら面倒だなぁと心配していたが、いざ登ってみるととても楽しく登ることができたようで何よりだ。
もちろん、幼児なので、登り出して15分くらいで、『頂上ってもうすぐ?』などと真顔で聞いてくるのはある意味デフォルトと思っておいた方がいい。。。

あと、幼児はとにかくトイレが近い。金時山の場合は、駐車場と山頂の一箇所ずつにトイレがあって、大人はそこを使えばまあ問題ないのだが、息子は山の中で何回立ち小便をしたのかわからないほどで、人目を少し避けつつ、かつ危険のない場所を確保してあげるのがそれなりに大変だったなという印象。

金時山は都心からのアクセスも良いし、登山道も非常に歩きやすく、道に迷うような箇所も全くないので、幼児との親子登山のデビューを果たすにはうってつけの山なのではないだろうか。これから親子登山を考えている人はぜひ候補に入れるといいのではないかと思う。