20才過ぎた頃からと記憶しているのですが、なんとなくあがり性になってしまいました。周りに気を使わなかった10代の頃は、殆どあがるというのは、なかったのですが、「失敗したらどうしよう・・・」的な思考が常に付きまとうようになってしまいました。思い出して分析してみると、考え方が感覚的でなくなってしまったのが一番の要因だと思います。難しいギターの曲に挑戦して、うまく弾けず、自信がないというのも原因となっているのですが、それ以上に、社会と関わるようになり、色々と気を使うようになってしまい、考え方が感覚的でなくなってしまったのが一番の原因と思われます。
何かの発表会などでうまくいかないと、「場慣れしてないからだよ。」と、良く言われると思うのですが、あがった状態でも、ある程度パフォーマンスを出せてしまうような人も存在している気がしていました。緊張してあがってしまうと、「頭が真っ白になる。」「どうしていいかわからなかった。」などなど、人により様々な悲惨な結果が待っていると思います。緊張状態では、楽器演奏など、繊細な動きが要求される事をすると、ほとんどの場合うまくいきません。楽器の発表会などであがった場合を思い出してみると、演奏する以上に、余計な思考が頭をよぎり、演奏どころではなくなる、というような感覚と思います。この状態では、身体の動きを、頭の思考が邪魔している状態です。「こう動かせばこうなるだろ・・・」のように、イメージ優先ではなく、頭の思考優先の身体のコントロールです。「ここのフレーズは、いつもフラット気味で難しいよ・・・・ ここは苦手な場所だけど練習したから大丈夫だ・・・」みたいな歌い方をすると、まずうまくいきません。これも頭の思考優先の身体のコントロールです。頭で考えはじめた時点で、身体の動きはぎこちなくなります。身体に勝手に動いてもらうには、頭の思考をなくさないといけないという事のようです。まったく緊張しない人は、後先も、結果も、何も気にしない人だと思います。それは尊敬すべき事ではあるのですが、そういう生き方を、すべての人にやれと言っても難しいと思います。
普段は、周りにも気を使えるかなり普通の人で、普通に緊張するような人でも、きちんと演奏をこなしてしまう人もいます。そういう人のパフォーマンスを良く観察すると、たいてい、目をつぶって演奏していたり、なんとなく、何も考えてないで、楽に演奏しているような雰囲気を出しています。周りから見ると緊張してるようには見えないのですが、聞いてみると「緊張したよ。」と言います。中には、緊張してないけど、緊張したという人もいるかもしれません。ただ、本当に緊張しているような場合もあります。だけど、かなり良いパフォーマンスを発揮しているのも間違いないようです。
プロとして場数を踏んで、自然に集中できるようになった人は、なんとなくそうなるだけなので、説明はできないと思われます。そういう人がどうやって集中しているかという部分は、一番ミステリアスで謎の部分です。たくさん練習して自然に身につけたからで済ませれば簡単なのですが、それでは、何の解決にもならないですね。ある人は、「人と合わせて弾く時は、右脳と左脳を行ったりきたりするので疲れる。」と、言っていました。格好よく言っていますが、相手の事を考えている時は、頭優先の動き、イメージに入った時は、身体優先の動きをしている事だと推察できます。結局、大部分は、考えないで弾いているだけだと思います。
また、サッカーやバスケットなど集団スポーツの場合は、相手の動きを読んでいる時は、頭優先で、実際にパスを出す時は、身体優先になっていると思われます。
この辺の事があまり問題視されないのは、日常生活をするだけならまったく必要ない技術だからだと思われます。また、プロフェッショナルな人は、せっかく死に物狂いで練習して身につけた感覚と技術を、簡単に教えてくれないというのもあるかと思います。核心を教えたくないというのは、多くのプロフェッショナル共通の部分ですね。
すごいパフォーマンスをやってのける人を、冷静に観察していると、最後は、「勝手に身体が動いてるだけ」という所に行き着きます。野球の打者は、何を投げてくるか頭で考えていても、ボールをバットで打つ時は、飛んでくるボールを目で追って、イメージで打っているはずです。雪道で車が滑ったら、無意識で修正しようと試みるはずです。イメージで処理しないと間に合わない本当に短い時間の出来事です。経験と技術が必要なのは間違いないのですが、最終的な処理は、「無意識の状態」で行うのが、一番ベストなパフォーマンスを発揮できるという事になるようです。色々な事象を観察していると、なんとなくそういう所に行き着くと思います。
無意識状態に持っていく方法(集中の仕方)というのは、人によって色々なやり方があるかもしれません。
場慣れして、たまたまできているのか、確信犯的にできているのか、中々教えてもらえない部分ですね。