子どもたちの認識を広げるための読みを
    『広い言葉、せまい言葉』の読みを通して

                                               二〇〇九.一.一〇 山岡寛樹

一、はじめに
 なぜ子どもたちに説明文を読ませるのか? についていつも考えています。考える力を育てることが主な目的となります。述べ方を学ぶということも入りますが、中心は考える力を育てることにあります。
 ①筆者が提示している対象について直接考えること
 ②筆者の考え方について吟味すること
 ③筆者の論展開の仕方について考えること
など、考えるべき内容は多岐に及びます。
 子どもたちが説明文に興味を持って学習するのは、新たな知識が自分のものになっていくという知的探究心が満たされる満足感があるからです。今回学習する『広い言葉せまい言葉』は、言葉の上位概念と下位概念を扱った説明文です。自然科学的な対象の明確性がありません。語られていることは抽象的なことです。要点や要旨をまとめることは、機械的にできる部分がありますが、内容の真の理解にはかなりきついものがあります。三年生の子どもには自分なりの言葉の使い方があり、それを客観化したり、別の言い方に置き換えたりすること実はとても大変なのです。

二、『広い言葉せまい言葉』の世界
 本教材は、教育出版の三年下の教材です。言語を直接扱った説明文です。上位概念(広い意味を持つ言葉)と下位概念(狭い意味を持つ言葉)を比べています。より抽象度の高い上位概念の言葉にまとめていく時に、「箱」という比喩を使っています。一つの箱に三つの例を出しています。一つ一つの箱に入れられた例が適切かも問題となります。例示の順番にも問題があります。三つという数字にも問題があります。例が三つで、「抽象の梯子」を登るのも「トンボ」「昆虫」「動物」の三つです。図抜きで、「『動物』と『植物』をまとめて『生物』という言葉があることを知っています」と説明していますから、「抽象の梯子」は、四つとも言えます。
 広い言葉を箱の大きさを比喩として使い、大小で入るということを確認していきますので、比較する言葉が多用されます。大小は見方です。比べるものによって、変化していきます。中間に入る「昆虫」は「トンボ」より「もっと広い言葉」となります。「かなり『広い言葉』だと思った『こん虫』が、『動物』とくらべると『せまい言葉』になってしまうのです」(本文引用)と、言う表現の仕方が子どもたちに分かりやすいかどうかを吟味していく必要があります。
 『広い言葉せまい言葉』の世界の難しさを整理すると、
 ①言葉の意味内容をどこまで具体化できるか
 ②上位概念と下位概念の使い分けがうまくできるか
 ③抽象の梯子を登る降りがうまくできるか
 ④比喩による説明が理解できるか
 ⑤大小の関係を比較する言葉の多用で混乱しないか
 ⑥例が三つであることの理由を考えることができるか
 ⑦説明の簡略化について行けるか
 ⑧言葉の言い換えについて行けるか
となります。子どもたちにかなり抽象的な思考を要求していくことになります。

三、教材文とその分析
 行空けを使う形で、四章、十三の形式段落からできています。何章という書き方はしていません。以下ゴチック体になっている部分が、本文です。( )内は、山岡の読みです。※本文をゴチックにしたのが無効になっています。平凡社の百科事典も同じ文字になっています。

『広い言葉、せまい言葉』             福沢周亮
(題名が、比喩表現になっています。「意味の」が入っていると、子どもたちも分かりやすくなるはずです。曖昧な比喩のため、いろいろな題名読みが可能になります)
① ここに、三まいの写真がならんでいます。
(写真や図と本文を繋げながら読む能力高めは、低学年のうちから必要です。この場合には、筆者が読み手に話しかける形になっていますので、何も言わなくても、写真や絵や図と繋げながら読むようになっていきます)
② 右の写真はシオカラトンボ、まん中はハグロトンボ、左はオニヤンマです。
(写真はきれいです。しかし、この並びが気になります。よく知られているという点から言えば、おそらく一番はシオカラトンボです。真ん中のハグロトンボが分かりません。写真から名前の想像はつきますが、困ります。オニヤンマはトンボでもヤンマのなかまになり、この辺の階層性が不明で混乱してしまいます。平凡社の百科事典には「トンボ目は体の構造,とくに翅や腹部の違いによって3亜目に分けられる。均翅類は前・後翅がともにほぼ同じ形,同じ脈相を示す。イトトンボ,モノサシトンボ,カワトンボ,ハナダカトンボなどの各科が含まれる。不均翅類は前翅と後翅の横幅が異なり,後翅の面積が広く,とくに基部のほうが広がっているため,脈相も違ってくる。サナエトンボ,ムカシヤンマ,ヤンマ,オニヤンマ,トンボ(シオカラトンボ,ハッチョウトンボ,アカトンボ,コシアキトンボ,チョウトンボなどを含む)などの各科が含まれる。ムカシトンボ類は翅形翅脈は均翅類型である」とあります。よく知られているものを中心にしているとも思えません)
③ この三つは、体の長さもちがうし、形もみんなちがいます。しかし、この三つは、どれもトンボのなかまです。ですから、この三つをまめて、トンボということができます。
(どれも、トンボの仲間→トンボと、すんなりいくのでしょうか。体長と形の違いを述べているだけです。共通点のことは名前しか言っていません。「まとめて」トンボと言われても、合点がいかない可能性があります)
④ 左下の桧を見ると、シオカラトンボ・ハダロトンボ・オニヤンマは小さな箱、トンボは大きな箱になっています。大きな箱は、中が広いので、小さな箱がみんな入ってしまいます。ほかに、ギンヤンマ・イトトンボなども入れることができるわけです。つまり、「トンボ」という言葉は、シオカラトンボ・ハグロトンボ・オニヤンマ………より、「広い意味をもった言葉」ということになります。図に表せば、次のようになるでしょう。
                シオカラトンボ
                ハグロトンボ
トンボ          オニヤンマ
                ……
                ……
(シオカラトンボなどが小さな箱に入るという意味がどう分かるか気になるところです。大きな箱の中に小さな箱が入るというイメージで広い狭いを比喩的に表現しています。「……より、『広い意味をもった言葉』ということになります」という定義の仕方は分かりやすいです。例を三つにして、後は、……で済ますというやり方も良いです。省略による説明です。ただ、何で例が三個なのか? 気になる子もいると思います。三つで、関連性をおよそ網羅するという考え方がそこにあります。三点が平面構成の条件であるという考え方と共通するものがあります。これは、大人にとっての「常識」に近いものです。ここで教えるべきか迷います。次からは、棒線で結ばれた上下の「図」は書かれません。上位下位の概念を考える時には、この図の方が良いと思うのですが、残念です)
⑤ 今度は、次のページの三まいの写真を見てください。上はシオカラトンボです。これはトンボのなかまでしたね。まん中はヒグラシですが、ミンミンゼミ・アブラゼミなどといっしょに、セミのなかまです。同じように考えて、
下のモンシロチョウは、チョウのなかまとなります。
(前の説明を簡単に確認しながら進む論運びは流石です。セミの説明では、箱の中にアブラゼミ・ヒグラシ・ミンミンゼミと並んでいます。なぜ、トンボの時のような並べ方になっていないのでしょうか? 気になります。これは本文に名前の出てない蝶の並べ方にも共通しています。アゲハチョウ・モンシロチョウ・キチョウとなっていて、文中にあるモンシロチョウが中央に書かれています。「~トンボ」とならないトンボの例を一つ挙げ、「~ゼミ」とならないセミを一つ例に出すなら、ここは、「キタテハ」などの「タテハチョウ」の仲間を挙げた方が一貫性が出ます。
平凡社の百科事典には「セミ科は雄の発音器の形などにより主として4亜科に分類される。発音器が完全で背弁をもつものはセミ亜科で,日本産のセミの大部分がこれに属する。また,背弁を欠き,発音器がより原始的な群はチッチゼミ亜科 Tibicininae である。チッチゼミ属およびその近縁属を主としたグループで新世界を除く各地に分布する。南アメリカ西部,アンデス山脈の西側の中・高緯度地方にはテティガデス亜科 Tettigadinae が知られる。雄に小さな発音器があるほかに,雌雄とも中胸背側方にやすり板状の副発音器があり,前翅脈の一部とすり合わせて音を出す。本亜科には約30種が知られ,いずれも乾燥地や高山にすむ。カリフォルニア,アリゾナを中心とした北アメリカ西部の乾燥地には,雄の発音器も退化したプラティペディア亜科 Platypediinae が知られる。約30種からなり,雄は翅を体に打ちつけて音を出す。日本には琉球諸島を中心に15属32種のセミが分布するが,チッチゼミ,エゾチッチゼミ,クロイワゼミの3種がチッチゼミ亜科に,アブラゼミ,ヒグラシ,ミンミンゼミ,ツクツクホウシ,エゾゼミ,クマゼミ,ニイニイゼミ,ハルゼミなど残りすべてがセミ亜科に属する」
(1)アゲハチョウ科 大型種が多く熱帯アジアには美しいトリバネアゲハ属が分布している。一方,中央アジアや寒冷地にはウスバシロチョウ属が分布していて,幼虫は刺激をうけると頭と前胸部の間から臭角を出す。ミカン科,ウマノスズクサ科,ケシ科などをおもに食べ世界で約600種が知られている。
(2)シロチョウ科 中型種が大半を占め翅の色は白色や黄色が多いが熱帯産のものにはオレンジ色や赤い斑紋のある種もある。幼虫は緑色で,いわゆる青虫とよべるタイプが多く,アブラナ科,マメ科などの植物を好む傾向がある。全世界には約1000種が知られている。
(3)マダラチョウ科 中型から大型の種が多く細長い体に対して翅の面積が大きく飛び方はゆるやかである。幼虫は有毒植物を食べる種類が多いために成虫ともどもいやなにおいや味で,捕食者からきらわれ〈擬態〉のモデルになっているものが多い。全世界から約450種が知られている。
(4)ジャノメチョウ科 褐色を基調とする翅には眼状紋(目玉模様)のある種類が多く中型種が大半を占める。温帯から寒帯に分布するものは明るくひらけた場所を好み,温帯から熱帯に分布する種類には暗い林の中などを好むものが多い。幼虫は単子葉植物(主としてイネ科)を食べる。全世界に約2500種が知られている。
(5)フクロウチョウ科 中央および南アメリカに分布するチョウで,後翅裏面にある大きな眼状紋がフクロウの目を連想させるところからこう命名されたチョウとその近縁種約80種のグループ。ジャノメチョウ科と近縁で,幼虫は単子葉植物(たとえばバナナなど)を食べる。
(6)ワモンチョウ科 東洋区やオーストラリア区の熱帯に分布する大型または中型のチョウで,成虫は夜明けと夕方に活動し主として森林内にとどまる。系統的にはジャノメチョウに近く幼虫が単子葉植物を食べるのも共通している。全世界に約100種が知られている。
(7)モルフォチョウ科 金属光沢に輝く翅をもつ種類が多いが,なかにはまったく光沢のないものもある。系統的にはタテハチョウやワモンチョウに近く,むしろそれらの祖先型と考えられる。南アメリカの熱帯地域にのみ分布し約80種が知られている。
(8)タテハチョウ科 小型から大型まで多様なグループで熱帯に分布するものは色彩がはでなものが多い。科の特徴としては,成虫の前脚が退化変形して歩行には用いず感覚器官になっていることがある。幼虫は体じゅうにとげのはえている型とナメクジ型に二分される。全世界に約3500種が知られている。
(9)テングチョウ科 口吻を左右から包む下唇のひげが長くのびているところから日本ではテングと命名され,世界に約10種が知られていて分布はきわめて局地的である。第三紀の化石が2種発見されていて(北アメリカ),系統的には古いチョウである。幼虫がニレ科のエノキ類を食べることは共通している。
(10)シジミタテハ科 小型種が多く名まえのようにシジミチョウとタテハチョウの両方に似た形質をもっているが,よりシジミチョウに近いと考えられる。翅の形には変化が多く色彩も多様で美しいものが多い。中央および南アメリカの熱帯に分布し約1000種が知られている。
(11)シジミチョウ科 小型種の大きなグループで世界中に分布し,一部は極地で採集された例も報告されている。幼虫の食性は植物に依存するものが大部分であるが,アリと共生する種類やアブラムシを食べる肉食性のものもあって変化に富んでいる。全世界に約5500種が知られていてチョウの中では最大の科である。
 次にセセリチョウ上科に属するセセリチョウ科は今まで述べたアゲハチョウ上科のものとは形態的にも次の点で異なる。(1)触角の先端がかぎ状かとがる。(2)体が翅の大きさに比べて太い。(3)後翅基部に翅棘(しきよく)があり前翅と連動できる種がある。しかし必ずしも系統的にはガに近いというわけではなく独特な方向に分化したグループと考えるべきである。幼虫は双子葉植物を食べるものもあるが単子葉植物に依存するものが多い。全世界に約3000種が知られているが約2000種は南アメリカに分布する」とあります)
⑥ さて、この三つを何か一つの言葉でまとめることができるでしょうか。シオカラトンボ・ハグロトンボ・オニヤンマ………をトンボという言葉でまとめたように、トンボ・セミ・チョウも、ほかの一つの言葉でまとめようというのです。なんという言葉か、わかりますか。
(「トンボという言葉にまとめたように、トンボ・セミ・チョウをほかの一つの言葉でまとめようというのです」と、課題の説明を繰り返した上で、「なんという言葉か、わかりますか」と念押しの問いかけをしています。こうしたクイズのような論の進め方を子どもたちは結構好みます。あきさせない工夫と考えられます。口悪く言えば、「できるでしょうか?」の質問には、答えを出していません。「まとめようというのです」ではなく「まとめられるのです」の方が素直です)
⑦ トンボもセミもチョウも、六本のあしをもっていて、頭・むね・はらの三つに分かれています。このような
とくちょうをもっているものは、「こん虫」とよばれています。下の絵のように、「こん虫」という言葉は、トンボ・セミ・チョウ………よりも、もっと「広い言葉」といえるわけです。
(昆虫が出てくると、子どもたちはカブトムシの名前をいろいろ言い出して大騒ぎになります。「虫キング」というゲームも飛び出します。クワガタムシや玉虫などを想起する子も出てきます。「よりも、もっと『広い言葉』といえるわけです」は、霞んでしまいます。平凡社の百科事典には「昆虫類は全動物の種類の3/4を占める最大の生物群であり,総種類数75万とよくいわれるが,毎年発表される莫大な新種の数からみて,実際ははるかに多くの種類を含むであろう。昆虫類はさらに個体数の多さでも大半の陸上動物を圧倒する。このことは日常出会う動物たちを昆虫とそれ以外に分けて数えてみれば容易にわかる。
【分類】
莫大な種類数に応じて,昆虫綱 Insecta は多くの分類群に分けられる。細部については専門家によって見解が異なるが,最上位の分類群である亜綱と目の,現在一般的に認められている区分を例とともに表に示した。昆虫はその大きな特徴である翅の存否によって,まず二大別される。無翅亜綱Apterygota は今まで翅を出現させたことがなかった類で,このうちシミ目が有翅亜綱の祖先型に近縁とされる。ただし研究者によっては,無翅亜綱の各目は,有翅亜綱と対等の分類群,もしくは昆虫とは独立な群とみなされ,ことに種数,個体数ともに多いトビムシ目は,かなり特殊な別の類だとの見解がある。
 有翅亜綱 Pterygota の諸目は表のように分かれており,下方の類ほどより進化した類である。この亜綱にも無翅の種類は多く,ガロアムシ,ハジラミ,シラミ,ノミの諸目は全体が無翅である。しかし,これらの無翅昆虫は,無翅亜綱と異なりすべて有翅の祖先型から退化して翅を失った。上記の最後にあげた3目の場合は,明らかに寄生生活に対する適応とみられる。
 表の目の名と例にあげた昆虫の名は,その目の昆虫の中での成功度と関係がある。例があまり聞きなれない名の場合,その目は(トビムシを除いて)多くは種類数の少ない,小型の,または目だたない虫たち,つまり現在あまり成功していないグループである。一方,目の名に昆虫名がついていない,直翅目,半翅目その他は,右側の例を見るとわかるように,形態や生態が変化に富み,一つの虫名で代表させにくい。これらの目は,さまざまな生活様式を開発して多様性を増大させた成功者といえる。目の名に翅が多く用いられているのは,動植物の分類の開祖 C. リンネが翅を重視して命名したことに基づく。翅は重要な形質だが,現在の分類にはそれ以外のさまざまな形質が用いられている。
 表の最後にあげた脈翅目以下の9目が,卵→幼虫→さなぎ→成虫の生活環を完成させた,もっとも高等な完全変態類である。そのうちの鱗翅目,双翅目,甲虫目,膜翅目と,不完全変態類でもっとも進化した半翅目とが圧倒的に種類数が多い。他のすべての目の種数を合計しても,これら5目のどれか一つの種数にも及ばない。つまりこの5目が,全動物の種数の過半を占める真の成功者たちだといえる。」 とあります。昆虫の定義は一応認められるということでしょう)
⑧ 最後に、次のページのもう一組みの写真を見てください。上のシオカラトンボを、これまで出てきたうちでいちばん「広い言葉」で表すと、「こん虫」という言葉になりますね。同じように、まん中のリュウキンは「キンギョ」のなかまであり、もっと「広い言葉」で表せば、「魚」のなかまとなります。下の白色レグホンは、もちろん「鳥」のなかまです。
(シオカラトンボは「トンボ」にまとめられ、次ぎに「昆虫」にまとめられ、その次には『動物』そして『生物』にまとめられて終わります。そうした考えがあるから、「これまで出てきたうちでいちばん『広い言葉』で表すと」という説明の仕方が出てきます。「同じように」で琉金について考えさせています。白色レグホンも同じような説明でいくのかと思うと、「鳥」とすぐにまとめてしまいます。ここはどんなものでしょうか。魚も鳥も、三種類出てきていません。例の省略です。ここは、具体的に埋めていく必要があります。白色レグホンの上位概念は、何でしょう。
やはり、ニワトリです。平凡社の百科事典には、ニワトリ
キジ目キジ科ニワトリ属の鳥類で,家禽(かきん)の一つ。祖先種は東南アジアに広く野生するセキショクヤケイ(赤色野鶏)とされているが,このほか,インド西部のハイイロヤケイ(灰色野鶏),スリランカのセイロンヤケイ(セイロン野鶏),スンダ列島のアオエリヤケイ(緑襟野鶏)なども成立に関与したとする説もある(〈ヤケイ〉の項参照)。家畜化は前3000年ころにインドで行われ,これが東は東南アジア,中国に,西へはイランを経て地中海沿岸諸国からヨーロッパへと広まっていった。日本には中国を経由して前300年以前に入ったと考えられ,古墳時代の埴輪(はにわ)にもニワトリをかたどったものがみられる。現代のニワトリは卵,肉などの食料生産を主要な目的として飼われているが,家畜化の初期には報晨(ほうしん)(時を知らせること),闘鶏,愛玩が主目的であった。主要品種を飼養目的によって分類すると次のようである。[観賞用種][卵用種][肉用種][卵肉兼用種]とあります。ニワトリを上位概念として出し、その上で、「鳥」とすべきだったでしょう。省略の行き過ぎです。
「昆虫」は、仲間という括りではありません。リュウキンから「金魚」のなかま・「魚」のなかまというように「なかま」ということで、くくっています。白色レグホンも「『鳥』のなかま」とくくっています。)

⑨ それでは、今度は、この三つのなかまを、何かほかの一つの言葉でまとめてみましょう。なんという言葉か、わかりますか。
(「昆虫」は、仲間という括りではありません。「魚」のなかま、「鳥」のなかまとくくってあるので、三つの仲間がすぐに思い浮かぶか? 吟味しておく必要がありそうです。シオカラトンボの横に「昆虫」、リュウキンの横に「魚」、白色レグホンの横に「鳥」と書かせておくことが大切になるでしょう)
⑩ 「動物」がそれにあたります。これを絵にかくと、「動物」の箱は、こん虫・魚・鳥の箱を入れても、ほかにまだいろいろな箱が入るほど大きなものになるでしょう。
(動物の例は、昆虫・魚・鳥の三つです。クジラ・イルカ・獣などの例を出させておくことが必要になります。上位概念に対して下位概念を補うことが大切です)
⑪ こうしてみると、「動物」は、たいへん「広い言葉」だといえます。かなり「広い言葉」だと思った「こん虫」が、「動物」とくらべると「せまい言葉」になってしまうのです。トンボ・チョウなどは、もっと「せまい言葉」になります。
(逆思考を促すことで、復習を要求しています。上位概念⇔下位概念の関係をしっかりとおさえたいところです)
⑫ では、「動物」より「広い言葉」はないのでしょうか。わたしたちは、「動物」と「植物」をまとめて、「生物」という言葉があることを知っています。
(どんどん上位概念を考えさせる方向に行っています。子どもたちは「生物」の上の概念を必死に探ろうとします。「物質」とならずに、地球だとか宇宙だとか言い始めます。どう対処すべきか考えておく必要があります)
⑬ この「生物」にくらべると、あれほど「広い言葉」だと思った「動物」も、実は「せまい言葉」になってしまうのです。
(結論部分は抽象的です。具体化(下位概念探し)と抽象化(上位概念探し)を常にさせていくことが大切です)