子どもたちがどう考え、どう読んだかが分かります。表にしたところが、うまくコピーできません。本時の指導計画の所は乱れていて読みにくいです。

五  本時の授業(4/8)
① 本時の目標
 (1) イルカが目ではなく別の感覚で餌をとらえたり、選び分けたりすることが分かる。
 (2) 何種類もの魚を与えての実験をしたケロッグの科学的な考え方に気付く。
 (3) ケロッグの実験や考え方に感想や意見を持つ。
②  本時の展開

学習活動  /   教師の働きかけ・指示・ねらい  /   指導事項間 内容  /   おさえるべき表現
前時までの想起 /・ケロッグがやった実験はどのようなものでしたか。 / ・プールに障害物を置いて泳がせる実験(実験1) / 「真っくらな海やにごった水の中でも、~自由に泳ぎ回る」
/ ・前時の感想意見を発表をしてください。 / ・暗闇で同じ実験(実験2)
                           / ・透明なプラスチックの障害物で実験(実験3)

本時の動機付け / ・今度はどんな実験をすると思いましたか。 / ・目でないことを確認する目隠しの実験 / 目を使わなくても水の中の物がわかるのかもしれない
ひとり読み / ・分かったこと・知りたいこと・疑問・感想意見・知っていること・ケロッグについて・予想・前との関連 / ・書き込みの視点とそれぞれが予測した実験が実際に行れるのかを確認しながら読むしれない / ・そう考えたケロッグ
音読 / ・話し合いたいことを考えながら代表の人に読みを聞きましょう。 / ・指名音読=段落ごとに3名
話し合いの項目づくり / ・目隠しをして餌を与える実験 / ・項目立ては、分かったことが中心になる 
              / ・ケロッグの考えた実験について / ・目隠しをして餌のニシンを与える(実験4)
              / ・いろいろな魚を混ぜた実験 / 
              / ・ケロッグの次の課題=疑問
話し合い / ・実験4で分かったことや思ったことを発表しましょう。 / ・話し合いでは、それぞれの実験の意図が問題にされる。
                                         / ・目隠しをし、餌はニシンにした

        ・実験5で分かったことや思ったことを発表しましょう。 / ・目隠しをしてニシンと他の魚を混ぜて与える(実験5)
        ・実験5は、どういう考えからしたのでしょう。       / ・目隠しをしていない時と少しも変わらない
                                         / ・同じ餌をやる実験だが、魚の種類が増えている
        ・目でないなら何で餌を選べるのでしょうか。      / ・魚の種類まで確実に選り分けている事に気付く(イルカの秘密)
        ・ケロッグの実験についての感想やイルカについての感想で言い残したことを発表しましう。 / ・ケロッグさんは、2つも実験を繰り返して慎重だな。

                           // ・ただ魚を捕るのではなく自分の好きなニシンを選び取ることを確認しようとした。
まとめ / ・話し合って分かったことや考えたことをノートにまとめましょう  / (感想意見)
音読表現読み / ・今日の部分を読んでください。 / ・今までの実験を振り返る
次時の予告と評価 / ・発言した人は立ってください。
            / ・○○君は、良く自分の考えを言いましたね。
            / ・目以外のどんな能力の秘密があって障害物を避けたり、大好きなニシンを選び分けたりしているのでしょうね。 / ・目以外の何を使うのかについての自分なりの予想をする(超能力? 勘?)

            // ・何度も実験をしてすごい
            // ・目隠しをされても大好きなものをしっかりと選ぶ能力はすごい。

押さえるべき表現=まず 今度は できるでしょうか 目かくしをして 今度は いっしょに どうして まず~あたえてみました 今度は~何しゅるいかの いっしょに すると 食べてしまった 目かくしをしていない時と少しもかわりません 何しゅるいかの他の魚 めがけて 

 


六  本時の授業記録    
【前時までの想起・ひとり読みの動機付け】
T tさん、昨日のまとめの下の所を読んでください。
t 最初はケロッグさんは、目で見ているんだと思って、夜に同じ実験をしてみたら、昼と同じようにすいすい泳いでいたから、目が良いと思って、透明のプラスチックの板を入れて実験をしても当たらなかったから、目ではないと思って、餌を与える実験をした。
T 十一人ぐらいの人が、「目が良い。目が良い」と言っていたんですよね。
i 最初は、いるかは目で見ていると思ったんだけれども、プラスチックをよけられたから、目じゃない。 読みの過程で自分の考えを変えていくことができることも大切な論理的思考力です。

T i さんの心が変わったんだよね。プラスチックの板の実験の部分で変わったんだよね。はい、今日はその続きなんですけどね。どんな実験をするか予想してみたら、いろんなのが出ましたね。今日の「目のつけどころ」を考えるのに、k 君のを読んでもらいます。
k ケロッグさんが「目じゃないーかな」と思った。ぼくも、そう思った。
T ケロッグさんは「目じゃない」と思った。君もそう思ったんだよね。ケロッグさんの考え方がある程度変わったことに、納得したんだよね。n君も同じようなことを書いたんだよね。
b 最初ケロッグは、目が良いと思っていたけど、実験をしたら、違うと分かった。
T 分かった。だから、この「目のつけどころ」の所に、今日は付け加えを
します。ケロッグについて自分ではどう思ったのかを目のつけどころとして      『目のつけどころ』
読んでもらえたらいいかなと思います。目のつけどころ「書きぶり」=これ     実験    結果説明  考え
は強めている言葉があったんだよね。その次は、論の進め方について、   という枠組みを考えて論理展開を押さえましょう。
実験は二重四角、結果や説明は四角、考えたこと吹き出しと、やったんですよね。ひとり読みをしてください。分かったことや思ったこと、感想意見が沢山書けたらいいと思います。(分かったこと・思ったこと・感想意見・前との関係づけを高めに貼り、様子・疑問を低めに貼る)前との関係づけもできたら沢山書いてください。
【ひとり読み・銘々読み・指名音読】(個々の読みの確認をしていく)
【話し合いたいことの確認】
T 何について話し合ってみたいか言える人は言ってもらえますか。
g なんでいるかは目を使わなくても自由に泳ぎ回ることができるのか。
T ⑩の所ね。目を使わないで自由に泳げる訳ね。(「目でないなら何?」と板書)
o どうして目隠しをしても、大好きなニシンだけ捕れるのか?
T 餌のニシンのことですね。
T ⑧のところで、自分の思ったこと・分かったこと・考えたこと・感じたこと・感想意見何でも結構です。本さん。
h いるかは、目隠しをしてもニシンを食べちゃうから、すごい。
今 エーと、hさんも、目隠しをしても餌のニシンを食べるのがすごいといったけれど、私も、いるかに目隠しを当てて、人間は目隠しをしても、食べれないけれど、いるかは食べたからすごい。
n 目隠ししても、多分イルカには目で見えている。
o ケロッグさんの用意した目隠しが薄かったとか、そういうことじゃないと思うんですけど。人間は普通目隠ししたら、ぱくってやった時に、当たらない可能性がある。水だけ入ってニシンが入らない可能性があるのに、「すぐ食べた」って言うことは、……「すぐ食べた」からすごい。友だちの発言に関係づけて発言したり、反論したりするのはとても大切な論理的思考力です。関連発言を大切にしたい。

T 「すぐ食べた」ってどこで分かった?
o エーと、「素早くニシンを食べた」というところ。
i イルカは目じゃなくて、魚の匂いで分かる。

g 人間がもしもイルカだったら、ニシンじゃない魚を食べちゃうと思うから、イルカはすごい。
i 前は、目で分かっていると思ったけど、やっぱり匂いで好きな魚が分かる。
n ケロッグは、イルカは目隠しをしても餌がある場所が分かるから、驚いたと思う。
T ああ。目隠しをしても餌の所に行ったから驚いた。この様子見て、目隠しをしたのに、ケロッグは目だ目だと思ったのに、素早く行ったから驚いた。
y 前との関係づけてなんですけれど、夜に杭とかをかわせたんだから、自分の食べられるニシンぐらい、目でも鼻を使わないでも見つけられるでしょうと思ったの。
T その夜にやった実験は幾つ目の実験だ?
y 二つ目。
T (前時までのまとめの所の二重四角の所で数字を打ちながら確認していく)「杭や障害物を置いた」が1。「真っ暗な夜に」が2。「透明なプラスチック」が3。さて、今日が、四つ目。これが四つ目。で、なんて言ったんだっけ? 忘れちゃった。もう一回言ってくれる。
y え~、前、暗い時に、杭に尻尾とか触れずによけられたんだから、自分の獲物ぐらい目も鼻も使わないでも捕れるでしょう。
 全体の論展開を押さえる時に、子どもの発言にリンクさせると、意識が高まり効果的です。

a イルカは目隠しをしても、あまり変わらない。
T 変わらないね。何て書いてあった。⑧の所には?
a その動きは、目隠しをしていない時と少しも変わりませんでした。

T 目隠しをしていない時と変わらないんだよね。だから、「素早く」と言えるんだよね。目隠しをしていない時と同じように素早く動いちゃうんだよね。だから、目隠しはどうも性能が悪かったのではなくて、目じゃなさそうだという感じになるよね。
t 今のa君に関係して、目隠ししても、してない時と変わらないということは、あのう、目隠ししてても、目を使わなくてもニシンをとらえられるから……動いている。生きているニシンを捕まえられるから、多分、多分じゃなくて、目は使っていない。
k 私は、イルカは頭が良いから、ニシンはここにいるなと分かって、考えていって分かる。
s イルカは、多分餌をとる時のスピードは時速五十キロメートルものスピードで行く。
T 前との関係づけで、目隠しをしても素早く動いているから、時速五〇キロメートル位で動いているんじゃ
ないかなというわけね。
y 遼君と関係して。イルカは目を隠していても、隠していないのと同じ。  前との関係づけで、内容が具体的に押さえられます。

i  人間は目で見ないと何がどこにあるか分からないけど、イルカは分かるから、イルカはどうして分かるんだろう。

T イルカはどうして分かるんだろうね。人間は目でないと無理。一応、一つの予想は、匂いという予想があるね。他に予想を書いた人いる?  匂い以外に予想を書いた人?
C 音。耳。
T 耳って音だよな。一応書いておくよ。  予想は、読みの意欲づけとしてとても大切です。先をしっかりと読みとれます。
 C 超音波。
T  超音波って音?  音じゃないの?  どっち?
C  音。池  予想で匂いなんだということに関係なんですけど、イルカは目隠ししても変わらないから、匂いで餌がある所に所に近づいて行っているんじゃないかな。
T 目が見えないから、匂いで行っているんじゃないかなと、君は思うわけね。じゃあちょっと聞いてみよう。匂いかなと思った人?  一〇人。音だなと思った人?  一五人。中にはテレパシーなんて書いた人もいたんだけれど、手を挙げなかったからね。テレパシーは?
C テレパシーは、超音波なの。
T テレパシーは、これなの。はい分かりました。はい、それでは⑨の方へいきます。
n  イルカは、何種類か他の魚もあげたのに、大好きなニシンだけ食べたのがすごい。
i  似ているんだけど、ニシンの所にイルカが行ったから、イルカはニシンが大好き。
o  ニシンだけどうして分かったのか。私は予想してみたんですけど、匂いじゃなくて、音なんですけど。ニシンを、ニシンの泳ぎ方の音を覚えていて、他の魚と見分けて近づいた。
k  美ちゃんと全く同じなんですけど、他の魚がいっぱい泳いでいるのにニシンだけ食べに、めがけて泳いで行ったから、すごい。、
  予想が、書かれていることから発展してより具体的にイメージ豊かに読みとることを可能にしていきます。
T これはすごいというわけね。他の魚が一杯いたらどうなっているの?
k  他のやつを食べちゃったりする。
T 他のやつを食べちゃいそうだよね。だけど、ニシンめがけて行って、食べちゃうから、すごいというわけね。
n  大好きなニシンと他の魚も一緒に与えて、なんでニシンだけ食べたかというと、ぼくは親から教えてもらっているから、食べられるんだと思う。
i  ニシンだけでなく他の何種類かの魚も一緒に与えてみましたという所で、多分、ニシンとかの匂いや他の魚の匂いや泳ぎ方が、なんか音とか匂いで違う。
k  思ったことなんですけれど、えーと多分。他の魚も食べたかったけど、ニシンの方が好きだからニシンを先に食べた。
f  ちょっとkさんと関係なんですけど、好きな魚で、多分匂いなんですけど、他の魚の匂いとニシンの匂いが違うから、ニシンの方を先に食べておいた方が、逃げないですむ。逃げないから。
T 逃げないうちにニシン食っておこうと。大好きなニシンを。匂いか。匂いで分かるのかね?イルカが泳いできたら、魚はどうすると思う。
C 逃げる。  
C ニシンが逃げる。時速五〇キロメートル位で行かないとだめ。
T 時速五〇キロメートル位のスピードで行かないと、ニシンが逃げちゃうよね。それで、匂いが分かるの?
C 口の中にただ入っちゃうの。
T  偶然行ったら、口の中に入っちゃうのか。ラッキーか。だったら、何種類かの魚入れて、ニシンめがけて
にならないじゃないか。偶然じゃ無理か。匂いか?  泳ぎ方の音か?
s  ぼくは、今日の所で、目隠しをしても、餌を食べれるというのが、一番びっくりして、そのことが⑧と⑨の二つに書いてあって、ぼくは⑨
の方がすごいと思いました。何でかというと、いろいろな魚の種類を入れてもニシンだけを食べたから、⑨の方がすごい。 二つの実験の違いを意識して比べていくという論理的思考ができています。

T すごいね。目隠しをしてもだもんね。こっちも目隠しをしているんだよね。(5の実験の所に「目隠し」と板書)それなのに、他の魚があって、君たちが予想した時には、疑似餌でやるんじゃないかとか、そういうのが出たんだよね。でも、疑似餌じゃなかったんだね。生きている餌でやってみたら、とにかくニシンに行ったんだね。他のと混ぜたら、迷うかなと思ったら、大好きなニシンに真っ直ぐ、「めがけて」だから、行っちゃったんだよね。だから、こっちの方がすごい。⑨は実験なの? 
C 実験
T じゃあこれが5なのね。そうすると、……。目隠しをして餌のニシンを与えた実験と、何種類かの魚を一緒に与えた実験と二つやって、一応結果分かったのね。それでは、⑩の所に行きます。目じゃないといえた理由は何なのかも言ってください。
h  多分ケロッグが実験するのは、耳を聞こえないようにして、目隠しはしないで餌を与える。
k  本ちゃんと同じように、次ぎの予想なんですけど、多分、その目隠しもして耳栓もやって、二つとも隠してやってみる。
T ダブルかい。
g  「イルカは目を使わなくても、自由に泳いだり餌を見付けたりすることができるのです」という所でケロッグは目を使わなくても大丈夫ということが分かった。
T 多分目を使わなくても大丈夫ということが分かったんだよね。で、今言って くれたみたいに目を使わなくてもできることが二つあったよね。
o  目を使わなくても食べれることと、物をよけられること。
T まあ、そこに書いてある言葉で言えば、「自由に泳ぐ」。今太さんの言葉で言えば、食べ物ね。「餌を見付ける」。こっちはよける。
o  うまくよける。書かれたことの繰り返しではなく、自分の言葉で言い換えられることは大切な論理的思考です。

T 自分の言葉で言っているんだよね。ちゃんと理解しているね。目を使わなくても自由に泳いだり、餌を取ったりできる。食べたりできる。目を使わなくてもうまくよけられるし、食べ物も取れる。とることができる。それが、いるのかのことについてケロッグさんが分かったことだよね。実験と結果は分かります。すぐ書けます?  問題はケロッグについてどうかということだよね。「みんなと話し合って」という所に、今日の実験が二つあったわけで、その実験と、それからその結果を書いて下さい。それから、ケロッグさんが考えたこと。ケロッグさんについてはまとめの所に書いてくれますか。時間は三分ぐらいです。
【まとめ・感想意見発表】
C 書き出しノートに作業する。
C ケロッグはイルカには詳しいけど、ちょっとだけ間違えちゃうから完璧とは言えない。
T ケロッグは完璧ではない。確かにそうだ。
C ケロッグさんは、今までにいろいろな実験をして、目を使わないで自由に泳いだり餌を見付けたりできるということが分かって、ケロッグさんは次もいろいろな実験をしようと思っていると思う。
T だろうね。おそらくね。完璧でないケロッグさんだから、それで、何か面白い失敗をするかもしれないね。初めは、目だと思ったんだもんね。所が、目じゃないということは分かったみたいだね。納得したみたいだね。だんだんケロッグさんふうになってきたんですね。
 aさんのまとめ
  まとめ「イルカは、目かくしをしていても、ニシンをとれるからすごい。後、いろんな魚を入れたのに、 ニシンだけを選んですごい。」みんなと話し合って「実験したこと。目かくしをしてニシンをあげた。で も、イルカはニシンがあることに気付いている。だから、目で見ていないことがはっきりした。ケロッグは、いろんな魚をあげたらどうなるか実験した。でも、イルカは迷わなかった。だから、耳や匂いで分か
 るのかもしれない。」 


七  説明文の読みの過程での論理的思考が鍛えられる場面
  話し合いの過程は多様な思考力が要求されます。自分の考えと他人の考えの異同を瞬時に判断していきます。そうしたダイナミックな話し合いの過程が一番子どもたちの論理的思考力を育てます。個別に列記します。
  ① 書かれていることを中心にして思考が始まり展開していく過程
  ② 根拠を元に自分の考えが変わっていく時  
  ③ 自分の経験を想起して考え始める時
  ④ 友だちの発言に関係づけながら発言している時
  ⑤ 読み進めながら自分の考えが変わっていく時
  ⑥ 書かれていることからについて、同感したり反論を展開していく時
  ⑦ 書きぶりや文章の個々の表現に着目している時
  ⑧ 各段落の関係を吟味したり、比較したりしている時 
  知識の羅列でない「探求型」の説明文を読む時には、いろいろな場面で論理的思考力が鍛えられます。そうした場面を意識的に授業で取り上げることが大切です。