秋晴れのこの日。

6年生にとっては最後の都大会を迎えた。

車で約1時間移動し、早めに到着して近くの公園でレジャーシートを広げてお昼タイム。

おにぎりをかじりながら、緊張の中にも無邪気な小学生の顔があった。6年生同士語り合う姿も見られた。

(予想)

いよいよ試合だね。

悔いのないように全力出し切ろうね!


(実際)

◯◯スラ見た?

今度映画もやるよね。観に行こーよ!


よく聞くとバレーボールとまったく関係のない話題もあったが、微笑ましい光景(笑)


食べ終わって少し休み、「集合ー!」の声がかかると、子どもたちの顔がピリッと選手の表情に変わった。


最終予選での惜敗から約1ヶ月。

悔しい気持ちは大きかったが、それ以上に自分たちに足りないものは何かを突きつけられた試合だった。

負けから学ぶものは大きい。

1ヶ月間で、チームとしても1人1人の個人としても、目に見えて成長したと感じる。

その裏には、課題の発見と、そこから目をそらさずガチンコで自分の弱点に向き合った克服の日々があった。


アップを済ませ、いざ体育館へ。

コロナ禍で、ここ2年は混合のみの都大会会場で試合をして来たが、今日は久しぶりの大会場。隣コートでは女子の白熱した試合が行われている。


第一試合。

まだ会場の雰囲気に慣れず、緊張した様子で動きが硬い山野ジュニア。

相手の長身選手の高いスパイクが打ち込まれて失点する。しかし、こちらもつないて攻めて、徐々にリズムをつかみ先制して行く。

相手コートの空きスペースを良く見て、奥を狙ったスパイクが何本も決まった。冷静にプレーできている証拠だ。


ライトのブロック、セッターのトス回しとブロックフォロー、レシーバーの粘りとガッツ、そしてアタッカーの強気な攻撃…

都大会直前にポジション変更をした両選手も、見事にそれぞれの役割を果たし、チームの総合力は確実に上がっていた。


最後は相手コートの穴にフェイントを落として、第一試合を制した。

1、2セットとも21-18。

これで準決勝進出が決まった。


ゲームセットの瞬間、選手たちの顔にホッと安堵の笑顔が現れたが、同時に次の試合への闘志がみなぎっていた。

(後編へつづく…)