人生起き上がりこぼし 海老名香葉子
結婚して驚いたことは、毎晩のように友人知人が来て、泊っていった
こと。 まだ十代で何もわからなかったけど、貧乏でも、楽しかった。
ただし、ずっと妹として生活していた。
そのうちに、夫は真打ちになり、影になり、日向になり支え続けた。
いろいろ辛いこともあったけど、ある日を境に、それまでの妻の苦労
を知ってか、夫はすっかり変わってくれました。
初代林家三平の妻であり、9代目林家正蔵・2代目林家三平の母の
人生。
恵まれた環境で育った香葉子さんは疎開先で東京大空襲に遭い、
一人のお兄さん以外家族全員を亡くされました。
小学生の時で、親戚や知人を頼って転々とした、戦災孤児の生活
だったそうです。
そんな時、三代目金馬師匠に拾われて、今に至ったそうです。
何に対しても、感謝!感謝!・・・と、本当にこの方は腰が低いのだと
尊敬します。
お姑さんはけっこう厳しい方だったようですが、時には嫁の味方をし
三平さんを怒ってくれたとか。
嫁だったら黙ってしなさい!の時代だっただろうに、このお姑さんも
働き者の香葉子さんにすごく感謝していたのでしょうね。
お弟子さんたちも含めての大家族、子供たちの躾も、こんな大家族
の中だからこそ、教えなくても自然に覚えさせたことも多かったかも。
お二人の息子さんたちのお嫁さんがとても明るい方のようで、
遠慮のない、本当の娘みたいに感じ取れました。
今、87歳。 100歳までは頑張って生きると仰っていられます。
嫁の世話になりながら~ ・・・って本当に正直に。
子供の世話にならない!なんて絶対ないですからね、その時は
お金の苦労だけはさせちゃいけないなぁ~なんて、私もちょっと
思ったりしました。