ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅をクリアしたので、思ったことや気になったことを書く。

思いっきりネタバレしているので未プレイ、完全クリアしていない人は見ないように。

 

  ストーリー

 

魔王の父ランディオルと人間の母ミオレとの間に生まれたピサロ。ランディオルによって人間界へ打ち捨てられたピサロとミオレは森の小屋で暮らしていたが、ある時、ピサロが魔族の王子であることが町の人間たちにばれ、彼らに住んでいた森の小屋を焼き払われる。病弱であったミオレの身を案じたピサロは魔界へ赴き、ランディオルにミオレを助けてほしいと頼むも拒否。ランディオルに刃を向けたピサロは魔物を攻撃できない呪いをかけられ追放される。その後ミオレは病死。ピサロはランディオルに復讐して自らが魔族の王になる野望を抱き、モンスターマスターの道を歩むこととなる。


発売前はピサロの前日譚といった印象だったが、実際は原作のアナザーストーリーとなっており、もしピサロが原作通りの結末を迎えなかったら...という内容となっている。

具体的にはピサロはある出来事がきっかけで原作の未来を回避。人間を滅ぼす野心を捨て、人間と魔族の共存を考えるようになる。

 

  キャラクター

 

ピサロ

主人公。

本作では魔王の父ランディオルと人間の母ミオレから生まれたハーフという設定。腹違いの兄にディオロス、弟にリュノがおり、第二王子の立場にある。

ランディオルによって母ともども捨てられ、母を助けてもらえなかった事からランディオルへの復讐を決意。

父を倒して魔族の王になる野心を抱く。

しかしランディオルに魔物に攻撃できない呪いをかけられた為、モンスターマスターの道を歩むことに。

愛するロザリーをエビルプリーストの謀略によって失い、復讐心に駆られて原作通りの破滅を一度は迎えるものの、ベネットが時の砂を用いたことでその未来を回避。人間を滅ぼす野心を捨て、人間と魔族の共存のためにランディオルを倒し、魔界の王を目指すというもう一つの未来(IF)を歩む事となる。
勇者の村の焼き討ちはピサロの名を騙ったディオロスの仕業に変更され、原作で人間を殺めるシーンも改変されるなど、悪役らしい描写はサッパリ消えている。

 

ロザリー

ルビーの涙を流すエルフの少女。

欲深い人間に追われていたところをピサロに救われ、彼からロザリーヒルにちなんで「ロザリー」と名付けられる。

エビルプリーストの謀略によって一度は命を落とすも、ベネットが時の砂を用いたことでその未来が回避され無事生存。さらにピサロに人間を滅ぼす野心を捨てさせる事にも成功する。

 

ベネット

ピサロの旅に同行する魔法研究家の青年。

ピサロと似た境遇を持ち、彼に親近感を覚える。公式サイトでは「ちょっと手クセが悪い」と言われているがちょっとどころではなく、平然と盗みを働き、盗みという行為に全く罪悪感を覚えない。

しかしその手癖の悪さで魔法研究家のアグルカ博士から盗んだ時の砂でピサロのバッドエンド回避に貢献。一生の相棒としてピサロを支えていくようになる。

 

アゲぴぴ

モンスターマスターを指南するギャル精霊。

ストーリー序盤にピサロに基本のイロハを教えてくれるだけで、以降はストーリーに一切関わる事はなくロザリーヒルの塔でオンライン対戦などの案内役に落ち着く。

 

ランディオル大帝

ピサロの父。

魔界では絶対的な覇者として君臨しており、時系列的にミルドラースの先代の王だと推察される。

人間の女との間にピサロを、エルフの女との間にリュノを、魔族の女との間にディオロスを儲ける。

自身の後継者に強さを求め、ピサロへの非道な仕打ちも彼を強い後継者として成長させるためのものであった。

 

暴将ディオロス

ランディオル大帝の長男。第一王子。ピサロ、リュノの腹違いの兄。

父に匹敵するほどの実力と名声を兼ね備えた魔界の大将軍。

リュノからは「全魔界で最強と謳われている」「大帝の後継者はディオロスに決まっている」と評される。

見た目からして力押しな印象があるが、勇者の怒りを邪魔なピサロに向けるために彼の名を騙って勇者の村を焼き討ちし、そのためにあえて本物の勇者を生きて逃すなど謀略も得意。

 

エビルプリースト

ランディオル大帝の直臣だが、内心では自らが新たな支配者になろうと目論んでいる。

今作でも様々な悪事を行い謀略を巡らすものの、最終的にはその浅知恵をランディオルに見透かされ、因果応報な結末を迎える。

 

ホイミン

温和で中性的な雰囲気をした少年。

その正体はアグルカ博士の進化の秘法の実験により人間へと生まれ変わったホイミスライム。

かつてライアンと共に旅をしていたことが示唆される。

その可愛らしい見た目から全国のショタコンの心を掴むも、本編ではほとんど出番がなかった。

 

リュノ

意味深な唄を詠む謎の青年。

公式サイトでも「謎の青年」と紹介され、あからさまに怪しい雰囲気を漂わせていたがその通りだった。

その正体はランディオル大帝の末男・第三王子で、ディオロスとピサロの腹違いの弟。そして裏ボス。

悲しみに満ちたこの世に絶望しており、魔界、人間界、天界、すべての世界を終焉させ新世界の王になろうと目論む。

 

ミオレ

ピサロの母。

夫のランディオル大帝によって息子ともども捨てられ、住んでいた森の小屋も焼き払われるなど不幸が続き、最期は病死する。

悲惨な晩年を送りながらもピサロに人間として正しく生きること、そして父を決して恨んではいけないと教え諭すなど気丈な人物。

後にリュノが語るところによれば彼女とピサロはランディオルに捨てられた訳ではなく、彼女がピサロを連れて魔界から逃げたようだ。その理由はランディオルが後継者(ディオロス)以外の子供を殺す恐れがあったためとされる。

発売前は彼女の死がピサロに人間根絶やしの意思を芽生えさせたのではないか?と思われたが全く関係はなかった。

 

エヴァン

ピサロと一時期仲良くしていた人間の子供。

ピサロは母ミオレから人間らしく振舞うこと、そして人間に決して抵抗してはいけないと言いつけられており、その結果人間の子供たちからいじめられていた。そんな状況にあって唯一ピサロを庇ったのがエヴァンであった。

そんなエヴァンだが、不幸なことに父親をカズルの悪魔に殺害され、自身や妹の命まで脅かされるという危機に陥る。

エヴァンから助けを求められたピサロはカズルの悪魔を退治するも、カズルの悪魔が息絶える直前に「ピサロが魔族の王子である事」を口にしたため、そばにいたエヴァンに知られてしまう。エヴァンはピサロを恐れて絶縁、更にその事実は町の人々にまで知られる事となり、彼らによってピサロとミオレの住んでいた森の小屋は焼かれてしまう事となった。

 

マスタードラゴン

天空城にいながら世界の全てを知ることができる竜の神。

今までの公式ビジュアルと比べて見た目がダサくなっていたり、声がCDシアターのジャミラスと同じだったりとドラクエファンであれば突っ込みたくなるような設定の持ち主。

 

勇者ソロ

もう一人の主人公。

故郷をピサロの名を騙ったディオロスに滅ぼされるが、ソロ本人は村を去っていく本物のピサロの姿を見ていた事からその事実に気づかなかった。真相はディオロスからピサロへと伝えられるのみで、ソロ本人は最後までその事実を知る事はなかった為、ピサロに対して「お前が魔界の王になった時は必ず倒す」と敵意を向ける。

 

リュシカ

公式サイトでも触れられなかったキャラ。

天空人の女でマスタードラゴンに逆らって天地創造の秘術を盗み、後の世にエスタークと呼ばれる三体の地獄の帝王を生み出し、世界に災いをもたらした。

クインメドーサか?と思いきやそうでもないし、裏ボスか?と思いきや厳密にはそうでもないし、何がやりたかったのかもよく分からないといういまいち評価の難しいキャラ。

 

  良いところ

 

アナザーストーリーとして見ればそれなりに面白いが、勇者の村焼き討ちの犯人が兄ディオロスになっていたり、ベネットが時の砂を用いた事でピサロのバッドエンドがあっさり回避されるなどピサロ贔屓でご都合主義的な作りともなっている。リメイク版Ⅳ第六章のピサロの扱いに批判的なプレイヤーは楽しめないかもしれない。

 

キャラクターに声優が充てられたことでより没入感が増した。演技のレベルも高く、ベテラン声優や大御所も多く出演している。

 

ドラクエ4の音楽がふんだんに使用されており新鮮味が増した。

 

性別、プラス値が撤廃され、配合や育成がしやすくなった。


モンスターのサイズがS(普通)とL(大きい)のみとなった。全てのモンスターの基本サイズがSなので枠を気にせずに編成ができるのは楽。モンスターにはそれぞれサイズの個体差があり、小さいモンスターと配合していくとより小さく、大きいサイズのモンスターと配合していくとより大きくなる。Lサイズにしたい場合はLサイズのモンスターと配合し続ける必要がある。Lサイズになると特性が増え、能力値や耐性も上昇する。


スカウト時に味方モンスターの攻撃アクションが入らず、テンポよくスカウトできる。


スカウト成功率が上げづらい敵でも肉をある程度与えて倒すと割と仲間になる。

むしろ肉をあげて倒した方が仲間にするのが楽な場合もある。


フィールドのモンスターに逃げられても画面から消えることがなくなった。そのためメタル系や目当てのモンスターに気づかれても必ず戦闘に持ち込むことができる。

 

モンスターと別れることでアイテムが手に入るようになった。

 

タマゴは今までの作品では時間経過が必要だったが、本作ではすぐ生まれるようになった。

 

  悪いところ

 

イルルカSPでは903種類ものモンスターが出演していたが、今作では526種類まで減少。
更に色違いが非常に多く、水増し感・手抜き感がかなり強い。

人気の高いジャミラスをリストラする一方で色違いのサイレスを続投させるなど、モンスターのチョイスそのものが謎な部分もある。

特性、スキル、技などが一新されており、削除されたものも多数存在する。
 
音楽が一貫して使いまわし。新曲はない。(すぎやまこういち氏が亡くなって後任が立っていないという事情もあるが)
 
配合方法が一新された。特定の種族の組み合わせでしか作れないモンスターも多くなり、今までのように適当にやっていれば好きなモンスターが作れた、というようなお気軽さはなくなっている。
 
とにかくロードが多くテンポが悪い。

Switchのソフトにしてはグラフィックはあまり良くない。
フィールドを歩いているとモンスターのカクつきもよく起きる。
 
エラー落ちが頻繁に起き、特に戦闘画面に突入する時のロードで発生しやすい。
そのため、オートセーブをOFFにしているとかなりの巻き戻しを食らう危険性がある。
 
声優が充てられたことで没入感が増した一方で、配合担当のモンスターじいさんや、モンスター預り所のおっさんにまでわざわざ声が充てられているため、利用する度にその声を聞かされテンポが悪い。
 
モンスターを入手した際はリストなどにチェックが入るが、それが隅っこで赤く小さいため見づらい。
 
モンスターリストは存在するが、特性やスキルの一覧表がなくなった。
 
モンスターの特性は一定のレベルに達しないと全て開放されない。

モンスターのサイズに個体差が導入された。小さいモンスターと配合し続けると小さく、大きいモンスターと配合をし続けると大きくなる。そのため配合に気をつけないとせっかく苦労して作った魔王モンスターがまるで迫力のない赤ん坊のようなサイズで生まれてしまう事がある。この辺の調整の面倒くささはマイナス点と言える。

ピサロが冒険する魔界の各エリアには支配者がおり、主に彼らを倒すことでそのエリアのモンスターのスカウト成功率が上がる。言い換えれば支配者を倒さなければモンスターのスカウトがまともに出来ない。そのため、モンスター収集ゲームなのにモンスターのスカウトが後回しになってしまうという本末転倒な事態に陥りやすい。

モンスターのスカウトに失敗すると怒り状態(スカウト不可)になりやすくなった。また不機嫌になることもあり、こうなるとスカウト成功率が低下する。もっとも本作は肉を与えて倒すと怒り状態でも仲間になる事があり、ある程度はバランス調整されている。

魔界の各エリアには強敵モンスターが一匹おり、レベルが非常に高く、到達時点のパーティではまともに戦っても倒すことはできない。ここで多くのプレイヤーは彼らに肉を与えたりスカウトしてパーティ強化を狙うわけだが、これが出来ないようになっている。厳密に言えばパーティが強敵モンスターのレベルを超えていなければスカウトできない。レベルを下回っていると肉を与えようが受け付けず、スカウトしようが一切成功率が上がらないのだ。ロマンのかけらもない残念な仕様と言える。

クリア後のエリア「精霊の森」で入手できる季節のフルートを用いることで次の季節に変えられるが、季節そのものを指定できない。季節変更後はすぐに使用できず多少時間を置かないといけないなど不便な面もある。

昼夜と天気を自在に変えるアイテムが存在しない。

おまかせ戦闘や2倍速戦闘といった機能はあるが、イルルカSPなどで実装されていたオートラン(勝手に走るモード)、オート戦闘(戦闘後すぐに結果が出るモード)、らくらく冒険といった便利機能はなくなっている。特にオートランは本作では重宝されそうな機能だっただけに削除されたのは残念というほかない。

過去作にあった新生配合、紋晶強化、悪魔の書といったシステムがなくなった。よってモンスターの高度なカスタマイズやスキルの保存ができない。

歴代作品ではイベントボス、ラスボス、裏ボスを配合で生み出す事ができたが本作ではできなくなった。(リュノ、ディオロス、ランディオル大帝、イシュカ、エスターク・ジュマ、イスナ、結晶の番人など)おそらく今後なんらかの形で配合方法が実装、もしくはモンスター自体が配信されるものと思われる。
 
他国マスターがいなくなった。

牧場フリーバトルがなくなった。

お気に入り編成機能がなくなった。ただしモンスターをお気に入り登録する事はできる。
 
冬眠機能がなくなった。

ステルス機能がなくなった。
 
メタルエリアが撤廃された。その代わりにフィールドの一定のポイントにメタルキングなどが沸く仕様となっている。裏ボス撃破後であれば高確率で出現するので、そこまで苦ではない。
 
モンスターのタマゴは各フィールドにランダムに出現。その場でモンスターが孵化・入手する形となっている。タマゴの種類は白、銀、金、虹とあり、色が豪華になるほど生まれるモンスターのランクも高くなる。だが、どの種類のタマゴになるかは割った瞬間まで分からない。タマゴ限定のモンスターやスキルも存在し、最上位の魔王モンスターを作るにはタマゴ限定モンスターが必須となる。
 
また、タマゴを割る前にセーブして目当てのモンスターがでなければリセットという事はできず、リセマラをする際は目当てのフィールドのタマゴを全て回収し、10回以上戦闘を行い5分ほど待機した後に別フィールドに移動、オートセーブを切ってセーブし、その後タマゴを全て回収したフィールドへ戻り、二つか三つほどタマゴが再配置されるのでそれを割り、目当てのモンスターでない場合はタイトルに戻り、再びセーブデータをロード、フィールドに戻りタマゴを割るという作業をする必要がある。
 
過去作のめぐりあいの扉・鍵に当たる「追憶のモグダンジョン」が有料DLCとして登場。その割に使いづらく、目当てのモンスターがいなかったら一旦外に出て、ロードとキャラクター会話を挟まなければ再利用できないためテンポが悪い。また、モンスターのサイズもまちまちで、中には凝視しないと分からないほど小さくなっているモンスターもおり、見つけにくい。ダンジョン内に井戸があるが、これはより上位のランクのダンジョンに移動するためのもので、なぜか過去作で採用されていた「目当てのモンスターがいなければエリア変えして再配置」ができなくなっている。このため、モンスターのコンプ率が上がるほど、目当てのモンスターを探しにくくなり、利便性が失われるという本末転倒な仕様となっている。
 
マックデリバリーとコラボしている関係から、このサービスを利用しないと手に入らないモンスターが三種類いる。そのための出費は最低でも3900円以上とかなりの割高。それだけならまだマシな方で、地方ともなるとお届けエリア対象外でそもそもサービスが利用できない。つまり、地方民はモンスターコンプリートができない。これは本作最大の問題点の一つに数えられる。
 

  総評

 
歴代作品と比べると大幅に劣化しているが、クソゲーというほど酷い出来ではなく十分遊べる内容となっている。
モンスターズが好きな人ならある程度は楽しめるだろう。
ストーリーに神経質な人やハイクオリティなゲームを求める人にはオススメできない。