あの国民的漫画「ドラゴンボール」の生みの親にして、ドラゴンクエストやクロノトリガーといった名作ゲームのイラストレーション、キャラクターデザインを手掛けた伝説の漫画家、鳥山明。

 

今回はそんな鳥山明の魅力について少しだけ語ってみたい。

 

まず鳥山の魅力といえばその圧倒的な画力とセンスであろう。

特に印象に残っているのがドラゴンボールのフリーザ編におけるギニュー特戦隊の初登場シーンで、五人揃って立っているだけなのだが、その構図の決まり具合がまるで一つのイラスト作品かのようにカッコよく、惚れ惚れした事を覚えている。

表紙や扉絵なども本当にレベルが高く、鳥山の画力の底知れないパワーが感じられたものである。

 

また、キャラクターやモンスターのデザインセンスの素晴らしさも挙げられる。

ドラゴンボールなどは名物キャラクターの宝庫だが、ドラゴンクエストでは愛嬌のあるものから恐ろしいものまで多種多様なモンスターを大量にデザインしており、特にスライムのぷるっとしたデザインは革命的であった。

 

クロノトリガーでもそのアートセンスを存分に発揮。本作を名作へと押し上げたのは鳥山の力も大きかったと思われる。

 

ストーリーの巧さも鳥山の魅力であり、ドラゴンボールの名作っぷりがそれを物語っている。

もっともこの漫画に関しては担当編集者のかじ取りも大きく作用していたようなので、どこまでが鳥山の意思で動いていたかは定かではない。

 

一方で鳥山といえばそのタッチの変化も最大の特徴であり、ファンの間では未だにその是非をめぐって議論が交わされる事もある。

鳥山はドラゴンボールの連載終了後は漫画アレルギーと呼べるほど疲弊しきっていたのが、パソコンで手軽に絵が描けるということを知ってからは持ち直すようになった。

しかしこの結果、いわゆるデジタルイラストへと舵を切るようになり、以前のアナログな線画やメリハリのある色彩が失われていくこととなる。

ドラゴンクエストで言えば7あたりからこの変化が見られ、8、9、10、11と進むごとに明確にタッチの変化が伺えるようになった。

また、本人の高齢化も影響しており、ジャンプ流のインタビューでは若い頃のような細かい線が引けなくなったと述べている。

 

しかしそれでもなお鳥山の画力の高さやセンスは健在であり、その魅力は未だに生き続けていると言える。
 
そんな鳥山明も今では68歳。
願わくば長生きしてわれわれに素晴らしいイラストや漫画を見せ続けてほしいものである。