皆さんはニコニコ動画という動画サイトをご存じだろうか?
かつてはオタクたちの青春、今ではオワコンと化した有名な動画サイトで、最盛期には様々なムーブメントを引き起こした元最大手である。
しかし運営側の無能、度重なる改悪によるユーザーの信用低下、大してお金にもならないという諸々の理由から、今ではすっかりYouTubeにお株を奪われてしまった。
今の10代の間ではニコニコ動画の名前すら知られてはいないだろう。
 
初期の頃のニコニコ動画は普通にアニメ番組がアップロードされているという無法地帯ぶりであった。
だが、その影響なのかアニメの映像、声、音楽などをミックスし組み合わせるMAD動画(音MAD)が大流行した。

その題材は遊戯王、るろうに剣心、らき☆すた、涼宮ハルヒの憂鬱、デスノートといったアニメ作品から、ねるねるねるね、ヴェルタースオリジナル、マクドナルドなどのCMまで幅広く、音楽は主に弾幕シューティングゲーム「東方シリーズ」とそのアレンジ曲が用いられた。

また、遊戯王はこのMAD動画の影響でリバイバルブームを起こし、アニメーターの加々美高浩が注目されるきっかけともなる。

著作権的にはアウトなのだが、完成度の高いクリエイティブな作品という事もあり、それを問題視する者もおらず、ニコニコ運営側もこの流れをプッシュしていた。
 
そんなニコニコ動画も過渡期に入ると「例のアレ」と呼ばれるジャンルが流行するようになる。
その御三家とも言えるのがレスリングシリーズ、エア本さん、真夏の夜の淫夢である。
人によっては非常に好き嫌いの分かれる「例のアレ」だが、いずれも独創性に富んだ音MADやBB先輩劇場がバンバン投稿され、大いに隆盛を見せた。
 
しかし一方ではレスリングシリーズのシンボル、俺たちの兄貴とも言えるビリー・ヘリントン氏が2018年に事故死するなど、悲しい出来事もあった。多くの人が兄貴の死に涙したものである。
 
そんな色々な思い出がつまったニコニコ動画も、今ではすっかり人が減り廃れてしまった。
なんとも切ない話である。栄枯盛衰とはこの事か。
オワコンと化したニコニコ動画が再び人気を取り戻し、YouTubeを凌ぐ日はおそらく来ないだろう。
だが、思い出は色褪せることはない。
せめて、楽しかったあの頃の日々だけは忘れないようにしたい。
それがニコニコ動画へのせめてもの手向けだろう。
 
合掌。