今回はマーサ誘拐事件がなぜ起きたのか?について考えてみたい。

 

マーサ誘拐事件とは主人公の母マーサが、人間界と魔界との門を開くエルヘブンの力を持っていたために、人間界への進出を目論むミルドラース(の意を受けた何者か)によって誘拐された事件である。

 

いわばドラクエ5における全ての始まりとも言える事件だが、なぜマーサの秘められた力が知られたのか?なぜグランバニアにいた事が分かったのか?誘拐を実行したのは誰なのか?そのあたりが一切明らかとなっていないのだ。

 

マーサ誘拐事件にはどのような経緯があったのだろうか?

 

  ミルドラースが予知能力で特定した?

 

 

マーサの力や居場所がどうして分かったか?

まず真っ先に考えられるのはミルドラースだろう。

ミルドラースはエルヘブンの民と因縁もある事だし、かねてから彼らの力に目をつけていたとしても不思議ではない。

 
そして予知能力によって最も強い力を持つマーサが誕生すること。

彼女がパパスと共にグランバニアに駆け落ちする事も予見していた。

 

こう考えれば辻褄が合うようにも思われる。

 

だが、ミルドラースの予知能力(予言)は本編を見る限りではかなり曖昧なもので、自身にとっても魔族にとっても危険な存在である天空の勇者の誕生ですら「高貴な身分のもとに生まれる」としか予言していない。

 

一体いつ?どこで?高貴とは具体的に?と部下なら言いたくなるスッカスカな内容である。

実際、リメイク版ではレヌール城の滅亡(幼年期から十数年前の話)に光の教団が関与していた疑いがあるので、かなりの年月をこの予言に振り回されていた可能性がある。

 

この程度の予知しかできないミルドラースに、そこまで詳細に把握できるものだろうか?

 

  光の教団が調べた?

 

 

光の教団が調べて情報を掴んだという可能性もあるが、彼らも彼らで本編を見る限りではいい加減な仕事ぶりが目立ち、その調査能力には疑問符がつく(どれくらいいい加減かと言うと有名なドラゴンクエスト大辞典の【光の教団】や【ゲマ】の項目でボロクソに書かれているぐらいである)

 

ミルドラースの予知能力より可能性はありそうだが「彼らの調査の賜物だ」と断定するのは難しい。

 

では他にどのような可能性が考えられるのか?

 

実は彼らの仲間に、マーサの力と居場所を知っていた可能性のある人物が存在するのである。

それは光の教団の大教祖イブールである。

 

  事件の影にはイブールがいた?

 

 

 

なぜイブールなのか?不思議に思う人もいるかも知れない。

 

実はイブールは小説版では元人間・エルヘブンの民であり、マーサを愛した幼馴染だったという設定があるのだ。

であればマーサの秘められた力や、パパスと共にグランバニアに駆け落ちした事も知っていて、それをミルドラースに教えたとしても不思議ではないだろう。

 

「小説版の設定であって、ゲームとは関係がないのでは?」

 

そんなツッコミが入りそうだが、まあ待ってほしい。

 

ゲーム本編でもイブールはマーサのぬくもりが残る(とわざわざ表示されたり、マーサの声が聞こえてくる)いのちのリングを身に着けていたり、主人公たちと戦う際はわざわざ馬車を呼んでくれたり、負けた際は潔く認め、彼らに母親の所在を教えた上に、その思いに応えるべく母親の元(魔界)に送ろうとしてくれたりなど、妙にそれっぽい描写が存在するのだ。

 

多くの人間をさらって奴隷としてこき使ったり、たかが皿を割ったぐらいで、か弱い女性(マリア)を奴隷の身分に落とした薄情さが嘘のようだ。

 

そんなイブールの二面性、意外なところで垣間見える優しさから、実はゲーム本編でも同様の裏設定があり、マーサとその息子に思うところがあったのではないか?

 

ついそんな想像をしてしまうのである。

 

もしイブールがマーサを愛していたとしたら、その胸中は如何ほどのものであっただろう。

 

イブールはマーサの情報をミルドラースに教え、誘拐事件を手引きすることで、パパスに復讐し、マーサをその手に取り戻したかったのかも知れない。

 

  誘拐を実行したのは誰なのか?

 

これに関しては光の教団(ゲマ一味)の仕業と見てほぼ間違いないだろう。

そしてそれを立案し、影で操っていたのはイブールだった。

ミルドラースはこれらの計画を承諾したのみで、殆ど関わりはなかった。

大体こんなところではないだろうか?


なお、イブールの腹心ラマダはマーサの姿に完全に化け、描写から見て声も似せていたっぽいので、マーサに直接会った、つまり誘拐に関与していた可能性がある。変身能力で監視を欺いたのか?