『ぜんぶ本の話』を読み終えた。

夕方から、未読部分を一気に150ページ。

久しぶりに、まとまった時間、読書した。

気分がよろしい。

 

父娘の対談は、全7章に分かれている。

1章 児童文学

2章 〃

3章 少年小説

4章 SF

5章 〃

6章 ミステリー

7章 父たちの本

 

7章については、先日触れた。

で、今日は、1〜6章について書こうとしているわけだが、

児童文学、少年小説、SF、ミステリー、

いずれのジャンルにも、残念ながら深い関心がない。

 

学生時代には、あれこれ読んだ。

とくにミステリー。

ここに登場する作家でいえば、江戸川乱歩、松本清張、

そして、アガサ・クリスティ。

 

しかし、それは遠い昔の話。

最近はまず読むことはない。

とにかく、熱くは語れない。

 

2人の話から、宮部みゆき、結城昌治など、

1度読んでみたくなった作家もいたが、

残りわずかな人生の読書計画はおおむね決まっている。

そこに割り込ませたい、とまでは思わない。

 

面白かったのは、春菜さんの中学時代の友達キヨちゃんの話。

ある日、キヨちゃんの家に遊びに行くと、

半村良の本がたくさんあったので、

この人の本好きなの? と聞いたら、

なんと、うちの父なの、という返事。

 

なんでキヨちゃんという名前を出しているのか、

不思議に思ったので調べてみると、

半村良の本名は「清野」。

苗字からの愛称だった。

納得した。

 

あと、目を引かれたのは、

夏樹氏が村上春樹について語っているくだり。

いちばん面白かったのは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。

ある時期から、気持ちが離れていった。

理由は、あの文体は飽きる。

 

そして、『ねじまき鳥クロニクル』に、

科学的な嘘を見つけたと述べている。

満洲で井戸の底に真上から日が差した、という描写。

〈北回帰線から北にある土地で、そんな現象は起こらない。〉

 

あともうひとつ、春菜さんの、

作家池澤夏樹について書いた文章を引用しておこう。

〈池澤夏樹の魅力は世界との距離感だ。中ではない、外でもない。

中と外の境、境界、波打ち際。端っこから世界を見ている。

中にいては見えないものを見ようとする。それはたぶん、灯台守とか、

船の不寝番のような、ひとりだけの孤独な場所だ。

だけど、中にいては見えない美しいもの、

離れすぎては気づけない愛しいものを見ることができる場所でもある。〉

 

池澤夏樹氏の本ということで、優先して読んでしまったが、

今回はあくまでも単なる道草。

この本の内容の中から派生しての次なる展開はない。

読みかけの『21Lessons』に、急いで戻る。