弘田三枝子さん亡くなる。

梓みちよさんに続き、大きな星が消えていった。

 

魅力的な歌手だった。

若いときの、元気あふれる歌いっぷりに惹かれたが、

歳とってからの渋さも、一流の味わいがあった。

 

彼女の歌で好きなのは、

カヴァー曲では、「砂に消えた涙」

オリジナル曲では、「渚のうわさ」

 

とくに後者は、車を運転しながらよく口ずさんでいた時期があって、

2年前、人前で最後に歌ったときにも選んだ曲である。

しかしそのときは、これなら間違いなくいける、

と思って選んだキーが高すぎて恥ずかしい思いをするという、

残念なパフォーマンスになってしまった。

 

職場の若きベトナム人女性たちにせがまれてシブシブ歌うことにしたのだが、

いま思うと、若い女性を前にして歌うということで、

年甲斐もなく、入れ込みすぎていたのだろう。

 

いずれにせよ、職場は無くなってしまったし、

もはや誰かとカラオケに行くということもないだろうし、

「渚のうわさ」が記念の曲になるのは間違いなさそうだ。

 

ちなみにこの曲は、巨人・筒美京平氏の最初のヒット曲とのこと。

筒美氏といえば、おびただしいヒット曲を世に送り出しているわけだが、

この曲が最初とは意外だった。

 

筒美氏のたくさんの名曲の中では、

自分的には、この「渚のうわさ」と「さらば恋人」が双璧。

もちろん、あまりに数が多いので、

別の機会に選べば、また違う曲になるかも知れないが、

いまは、とりあえずこの2曲。

 

「さらば恋人」も、歌い手がいい。

マチャアキのあの甘い声には、

スパイダース時代から、ずっと魅了されてきた。

「夕陽が泣いている」

「太陽の翼」

「あの時君は若かった」

みんなサイコーだった。

 

ところで、

「砂に消えた涙」が64年、

「渚のうわさ」が67年、

「さらば恋人」が自分の誕生日前の71年。

つまり、3曲とも自分が10代のときに発売されている。

 

先日書いた、マイベストソングの、

「君のために」(67年)、

「思い出の渚」(66年)、

も10代のときの曲だし、

自分の源泉を求めていくと、

やはり10代に行き着くということか。

 

そういえば、もうずいぶん昔のことになるが、

テレビで彼女の歌を聴いたあと、

彼女のブログを覗いてみたことがある。

すると、かなり右寄りの文章が綴られていて、

その徹底ぶり、あけすけぶりに、驚いた記憶があるが、

それはそれとして、彼女はまさしく昭和の偉大な歌姫。

いま、訃報を受けて、同時代人はまたしても淋しい気分。

 

今日は昨日の続きを書こうと思っていたのだが、

突然の訃報に、そちらを優先することにした。

続きは明日、いや、またいつか、ということにしておこう。