「言いたくない言葉」-茨木のり子詩集③ | 遊歩徒然(NOBUのつぶやき)

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日常の思いを風に乗せてつぶやくように・・

 

 心の底に 強い圧力をかけて

 蔵(しま)ってある言葉

 声に出せば

 文字に記せば

 たちまちに色褪せるだろう

 

 それによって

 私が立つところのもの

 それによって

 私が生かしめられているところの思念

 

 人に伝えようとすれば

 あまりに平凡すぎて

 けっして伝わってはゆかないだろう

 その人の気圧のなかでしか

 生きられぬ言葉もある

 

 一本の蝋燭のように

 熾烈に燃えろ 燃えつきろ

 自分勝手に 

 誰の眼にもふれずに

 

           茨木のり子詩集「言いたくない言葉」

 

茨木のり子の詩の言葉に何時からともなく共感するようになっていた。「倚りかからず」が有名になって、知りえた同胞ののような感覚の詩人。

特にこの詩はまさに自分の表現の奥に圧縮され、外には出せない、言葉では表現できないもどかしいこと、大事なこと、苦しみなど、ぴたっと詩に現されている。

言葉に出来ないことが一番言葉にしたいことなのに・・・

人は、共感することは出来ても、全く同じにはなりえない孤独がある。

 

だが、共感出来たら喜びを感じ、それで生きていける。

 

               2020.10.17(土) 雨後曇 16℃